100:「極大化からの反転」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

今日は「トレンドの反転はわかりやすい」というテーマで書こう

と思います。

 

私たちの業界はトレンドが中心ともいえるほどその言葉には存在

感がありますが、その実態が掴みにくいのは多分に世の中の抽象

的な”気分”を具体化するようなものだからでしょう。

 

しかし”気分”を掴んだところで商品作りには前工程が必要でどう

してもその分長い間合いの先読みが必要になる上、実売には消費

のモチベーションも必要です。

 

そういう事もあり、トレンドは知りたいが知ったところでお金に

なるかはまた別ともいえるでしょうが、不鮮明な予測を繰り返す

仕事上多少なりともヒントがあるだけ助かるのも実情だと思いま

す。

 

私の体験値になるのですが、データーアナリストとして長期で業

界観測されている方の長期変化予測は当たるというのはキャリア

上の体感です。

 

(個人のキャリアと言ってもせいぜい2〜30年ですから、こういう

記憶に基づく尺度は伝承して上書きしていって欲しいと思います。)

 

”気分”はバイオリズムですので波動の形をしています。仕事上、

短期の変化に価値があると感じがちですが、アナリストの方は中

長期の波動を発見する事があります。視野の違いですね。

 

例えばK先生の「シルエットの変化は極大化した時に一気に反転す

る」と発言されてるのは個人的に正しいと思います。

 

その様な業界の巨人お二人から私が学んだ長期トレンド予測につい

てまとめてみました。

 

Contents

極大化からの反転:主軸テイスト 観測有り

世の気分(主軸テイスト)の30年周期説

とある大手アパレルIR資料を参考にしています。個人の解釈で補

足しています。

 

まず大きく2つのテイストコンサバとカジュアルが約15年周期で

交互に循環してると捉えます。

循環は逆時計回りの流れです。

コンサバの中間でドレスアップ(極大化)になります。カジュア

ルのトップがドレスダウンのピークと見ます。

15年という時間軸、中間で極大化になるというヒント(仮説)

をもとに時代を巻き戻してみると、コンサバ前半はトラッド後

半はセクシー、そしてカジュアルの時代に入りノームコアの様

な流れからアウトドアへと移って来ました。

 

そう推察すると現在位置は旗印の辺り、アウトドア終盤からコ

ンサバの入り口だと思います。

 

最もこの図が示すのは、日照計測のように陽が当たっている部分

がそこだと言ってるだけで日陰になったテイストが全滅するわけ

ではありません。

 

また、これは主軸テイストの大まかな変化であり、合間にカルチ

ャーやストリートの変化も組み合わさって来るので、ご商売のス

タンスによって見える世界も違うでしょう。

 

現在だとコンサバ+モードやコンサバ+エッジの様なブランドが

勢いある様に見えますが、自分の店で再現しようとする場合、主

軸テイストに何を加えるという分解をすると研究しやすくなると

思います。

 

例1>

反対方向のテイストをトッピングするとGAP感が大きくインパク

トが出る。

カジュアル⇔モード

コンサバ⇔エッジ

ラグジュアリー⇔ストリート

 

例2>

主軸テイストの左右、親和性の高いテイストのトッピングパター

ンです。テイストが近くコントラストは出ませんが引き出しが増え

厚みが増す感じです。

ミニタリー⇔カジュアル⇔スポーツ

トラッド⇔コンサバ⇔(クワイエット)ラグジュアリー

カジュアル⇔ストリート⇔エッジ

 

トレンド変化への市場の影響速度を考えますと、ウイメンズ

よりもメンズは遅いと思いますし、価格帯が高ければ影響を受

けやすく低いと逆だと思います。

 

ですので、前の主軸テイストを簡単に捨て去ることは得策とは

言えないでしょう。フェードイン(徐々に)、フェードアウトで

良いと思います。

 

お客様もやっと取り揃えたワードローブがもう陳腐化してますと

頭越しに言われるのは気分が悪いでしょうから。

 

シルエットの変化

これも主軸テイストの変化に連動するところが大きいと思います。

スリムの極大化したイメージも私の記憶ではコンサバの極大期と

重なります。オーバーサイズ(ジェンダーレス)の極大期もカジ

ュアルピーク期と重なると思います。

 

ということは現在は緩さからニュートラルへ差し掛かった辺りで、

もう4〜5年かけてスリム化していくと予想します。

 

極大化からの反転2:素材、光沢 観測有り

素材も反転している

この業界に入りたての頃、素材も20年周期ぐらいで反転している

と聞いた事がありました。

 

その話も上記の主軸トレンド循環図に重ねると理解が進みました。

極大気がそれぞれウール全盛で光沢無し、その反対が合繊主軸の

光沢キラキラです。

 

冬の主役のダウンメーカーで考えると、光沢のあるイメージはタト

ラスやモンクレーのコンサバ後期からカジュアル期にに入るとカナ

ダグースの様なマット感。

 

カジュアル期は足元もスニーカーになりそのスタイルに合うダウン

ブランドは限られていました。

 

この素材の循環で面白いのは中間地点(ニュートラル)で革が出て

来る事です。(これもK先生の教えです)そう考えると革が店頭に

で始めたのが2021AWからですので、現在位置は少し光沢ありに

振れた辺りかと思います。

 

大手アパレルやブランド企画の方はもっと先を読んでらっしゃるこ

とと思いますが、地方専門店様のお立場だとこれぐらいの理解図が

ちょうど良いのではないかと思います。

 

定点観測は興味深い

イノベータ理論

情報に対する人の感じ方を説明するのに便利なイノベータ理論があり

ます。

イノベーター理論とはサービスが市場に普及するプロセスのまとめ

全体を100とすると

・最も情報に敏感に消費する(イノベーター)2.5%
・早めに情報をキャッチして行動(アーリーアダプター)13.5%
・情報を大事にするもお得感も必要(アーリーマジョリティ)34%
・やや保守的、お得感重視(レイトマジョリティ)34%
・頑固、情報に必要を感じない(ラガード)15%

 

イノベータという人たちは本能のままに”鮮度”を求めてますし、ア

ーリーアダプターという人たちも情報ありきです。

 

私たちの業界にはこういう先駆的感性の人が多く、ファッション感

度が高いと言われる人たちも同じグループです。しかし全体では15

%ぐらいしか存在しません。

 

私たちが商売していくにはいわゆるマス層と呼ばれるマジョリティ

ま情報が届かないと消費していただいている手応えが出て来ません。

 

大事な点は、それらの方に情報が届くには時差があるということで

す。それとレイトマジョリティまで届くと価格優位性で判断される

ということです。

 

チョー情報通の方、15%で商売するのならマーケットが小さいの

で固定費が低い組織で商売する必要があります。

 

テイスト循環が見えると便利ではありますが、商売に使うにはまた

別の変数を加えて戦略にしていく必要があります。

 

今回のテーマは、確立された理論ではなく「仮説」の域ですので、

皆様がどうお感じになるか?役に立つのか?検証いただければと

思います。

 

ではまた次回

 

 

 

 

 

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