28:「ジレンマは”クラウド”で解決する」〜結

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

今日は前回の続きとなります

 

結論から言いますが、これから申し上げる手法だけでは会社の問題解決にはなりません。

中島みゆきさんの「糸」ではありませんが、縦の糸は会社の社風や鉄のおきてや人事シス

テムがあります。それらは良い時は鉄則として会社の規範となり重要な役目を果たします。

 

しかし、変化の時代に社内に例外や不可侵の領域があると思い切った手は下せないことが

あります。内装で動かせない柱や壁があると自由な間取りはなし得ないのと同じです。ま

た時間の経過とともに鉄則が諸悪の元凶のようになる事もあるのです。

 

それらは「鉄則」ゆえにそれらが本当の真因なのだという確たる証拠がないまま、それを

触ろうとするとインディジョーンズの失われたアークのような積年の呪いを掛けられる羽

目になる可能性があります。冗談でなく信じる人が多い事を合意なしには触ることは組織

ではタブーです。サラリーマンが軽々しくそれを口に出来ない雰囲気があるものです。

 

実際そんな事を申し立ててうまくいくケースはレアです。会長や親族の逆鱗に触れて石

にされるかもしれませんww

 

機会があるとすれば、会社がまずい状況になる事です、3年連続の業績悪化、役員交代

のような時、御家の一大事にようやく縦糸「本質的真因」の探検捜索チームが組まれる

ので、真因を探る手法(可視化)はそういう時に取っておきましょう。

 

(真因を探るだけなら別にいつでも出来るのです。脂汗流して痛がってる患者が腰を

押さえていればその辺りに病巣があるのはわかります。ただ問題は、手術をしますか?

という勧めに「参りました、いう通りにします」という経営の承諾をとらないと治療

は難しいのです。手術台の上で暴れて従業員が巻き込まれる事もあるのです)

 

一方で、横糸的な日常の業務で発生するジレンマ・対立は、会社の状況を問わず取り

掛かりやすいと言えます。会社の根本から変えるような治療でなく、現状のある手段

とリソースでベターな対処法を見出す事だからです。

 

これだけの説明ですと根本的な治療に対して中途半端な一時凌ぎに見えるかもしれま

せんが、対立の解消は会社の生産性を上げるのに非常に役に立ちます。言ってみれば信

号機のない交通量が多い交差点に「交通整理の機能」が付いたらどうでしょう?今日の

テーマは「感情的な対立を生産的な議論に変えられる社内を望ましいと思いませんか?」

という交通整理手法のご紹介です。

 

5つの対立

組織には代表的な5つの混雑する交差点(対立)があることは前回紹介しました。

  1. 短期と中期
  2. 集中と分散
  3. 全体と個別
  4. 結果とプロセス
  5. 市場とマネジメント(ルール)

とこの説明は前回を参照してください

 

身近な対立(意見の違い)を可視化する

ゴールドラット博士のクラウドには、博士の考える前提が2つあります。それは

・問題はそもそもシンプル

・人はもともと善良である

シンプルな問題が複雑化するのは「人の感情が絡むから」と考えています。では前置き

は置いておいてある家庭の悩みを例題として取り上げます。この例からクラウド方で図

を作成してきましょう。

 

 

設定>
4人家族の夫婦の悩み。
次の大型連休の計画について夫婦間で意見が合わなかった。

夫の意見

「久々の休みなので、家族を喜ばそうとキャンプを計画し、妻にサプライズで打ち明

けたら喜ぶどころか不機嫌な表情になった。子供達は小学生で今のうちに家族で野外

活動する大事な機会だと思う。今回の休みを取るのも大変だったのに、なぜ不機嫌に

なるのかわから無い」

 

妻の意見

「夫はもともとアクティブな人でインドア派の私とは真逆。先日ご機嫌に連休の計画

を話していたが、内容は自分のやりたい事を中心の計画で疲れそうな予感。そもそも

仕事中心で休日を家族ですごすことなどここまで無かった。今回は唐突過ぎて喜べ無

い、それが私の表情に出て怒ったようだ。しかし、怒る前に自分中心の姿勢を謝って

ほしい。

 

連休の計画より心配してるのは、子供達が最近疲れてる様子なのが気になっている。

勉強や友達関係でそれなりに悩ん出るのだと思う。だから私としては夫には言えない

が外出よりも、近所で子供達と触れ合いたいと思っている。」

これはとある夫婦の問題であるから、解決に正解はないです。ですから人生相談の回答者のよ

うに皆さんそれぞれ考えてみて下さい。

 

可視化してみる

まず、最も意見が食い違っている「行動」を抜き出して下の図のように配置します。

  • 夫は連休は「キャンプに行く」
  • 妻はゆっくりしたいので「家や近所で家族団欒」

矢印の印が行動の対立を表します。

 

 

例文を読めば気付く事ですが、この夫婦はお互いに一歩踏み込んで相手の気持ちを聞く余

裕はないようですね。夫婦間のコミュニケーションにもともと思いやる習慣がないのか、

「別れるべきだ」と言うほど悪化してるかはさておき、多少のコミュニケーションの問題

があることがわかりますが、ここは一旦横に置いておきましょう。

 

対立行動を書き出したら、次に一致している目的を探します。生活で大事にしている

価値観や目的」を見つけます。ここは大きく考えれば良く、家庭であれば家族の幸せや平

穏な暮らし会社であれば事業の成功や発展となるでしょう。

 

 

一致する点が見つかるならば、これは実は対立ではないと言うことが分かります。同じ

目的に向かって意見を出してる、方向性は同じだがたまたま具体的な行動プランが真逆

に近いと言うことがわかります。ですから感情が絡んでいい争いのように見えたとしても、

質の悪い争いでないことを早めに理解して共有する必要があります。

 

先ほどの夫婦も家族のことを大事に考えている様です。お互い素直にそこを褒め合いまし

ょう。話し合いができれば決して別れる必要はありません(笑)でもなぜ相手違う行動を

取ろうとするのかが分からないから不信感は募るものです。心から目的(家族の平和)を

望んでないのではないか?と疑念が湧くものです。

 

ゴールドラット博士はこの図を描き、行動と目的の間には「前提がある」と教えてくれ

ます。その目的に対して、その人なりの感じたり思いついたりする前提が後の行動を決め

ていると言うわけです。

 

しかし、お互いに目に見えたり、相手の発言として聞けるのは「行動」だけなのです。

前提」は質問しない限り見えない、すなわち理解できないのです。「前提」は掘り起こさ

ないと出てこないというのがミソです。

 

人生いろいろ人もいろいろですから、考え方は経験や育ちで違うことはわかるはずですが、

どうしても同じ目的のためには相手も同じ行動をとると決めてかかる節があります。

 

と言うことで、このような上図が出来上がります。(前提はこれから埋めます)これが博士

のいう「クラウド」です。(昭和の名作「カモメのジョナサン」からインスピレーションを

得たそうです。問題解決とは空の雲を消し去ればいいと言う意味です)」

 

もちろん、ここまででは違いを描いただけで解決はしてません。しかし、見える可の土

台が出来た事で、順を追って解決策を探っていけば良いのです。

 

と、その前に大事な事として、自分の前提はわかります。妻は自分が家にいたい理由は

わかります。しかし、夫の前提は想像でしかありません。夫も然りです。このクラウド

で一番難しいのは相手の前提を質問し合う事です。質問する力が必要になります。

コミュニケーションは放っておくと腐敗するのです。相手に質問をしないと言う環境を

見過ごすと言うことは「あなたについて私は全く興味がありません」と言うことだからで

す。愛情の反対語は無関心です。質問をすると言うことは興味があると言うのと同じです。

ですからパートナーや部下に普段から声をかけているか?たわいもない質問をしてるか?

は問題解決の前提条件として不可欠です

 

これができないと、家庭はラジオの人生相談へ、会社はコンサルやファシリテーターを

立てる第三者へ代弁してもらう必要が出てくるのです。と言うことを強調しておき、こ

のケースでは妻が一歩踏み出し夫へ質問して見たとします。前提のコメントを記入してい

きます。

 

心の余裕が出た夫は妻の気持ちもようやく聞くことができ、今までの家族への不義理をサプ

ライズと称してまとめて返そうとしている自分の都合の良さ、自分の好きなことに巻き込め

ば喜ぶだろうと言う自己中心さに恥ずかしくなりました。

 

一番驚いたのは子供達の悩み事です、それをわかっている妻を尊敬の念が湧いてきました。

と言うことで、夫婦が「質問の力」を使って書き上げた「クラウド」が下図です。

 

とここで字数が尽きましたので、解決に向かってどのような話し合い方をすれば良いか

は次回にさせていただきます。ゴールドラット博士は4つのアプローチを教えてくれてい

ます。

ではまた次回

 

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