こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?
国内コロナ発生から10ヶ月経ちました。ほぼ3ヶ月ごとに1波・2波・3波と続いています。
地域差はあるものの外出自粛がそのまま入店客数に結びついてる側面もあり、商売そのものが厳し
い状況が続いています。きっともう少しこの状況は続くのでしょう。
それにはどう対応していけば良いのか?
兎にも角にも目の前のお客様に満足していただくしかないです。小売業では客様が満足してくだ
さっているのかそれとも不満足なのか?その微差を嗅ぎ取る力が求められます。
その微差の重なりに「変化」を見つけ、その変化を咀嚼して進路を調整する事で時代に対応して
いけます。小売は変化対応業と言われる所以です。
ではそれを自社で、自店で変化対応を行うにはどんな人材を雇えば良いのか、またどんなチーム
作りが良いのかを考えてみましょう、というのが今日のテーマです。
Contents
少数精鋭は実現出来るものなのか?
マルチタスクに対応して欲しい
以前にコロナを受けて「少数精鋭」で業務を遂行するには。。という記事を書きました。少人数
で現実に対応していくには、業務が「見えて」ないといけない、準備できることは準備しておく事
の大事さという内容でした。
皆様、地方専門店様の現実としては、従来と同じ人数で店頭販売の他に、時代変化と共にEC運営対
応、SNS運用と業務範囲の拡大と対応時間が長くなっていると思います。否応なく時代変化の方向
がオムニチャネルなので(それは顧客を24時間満足させる事ですから)業務過多は必然の流れとな
っています。
ですので、現在の人数・メンバーでそれら業務を複業的に対応していくには自ずと役割の兼務をし
なければ行けない状況になっていると思います。いわゆる「多能工」(工場で溶接から組み立てな
ど複数の工程を1人でこなせる)と言われるが人(多能職)がチーム内で求められているはずです。
オーナーからするとメンバーには店頭だけでなく配送の手伝いもして欲しい、空いてる時間は進ん
でSNSの撮影を手伝って欲しい。。これがチームで出来ないと特定の人に(たいがいオーナー)負
担がかかりそのうち疲労で潰れてしまいがちです。
前回はそういう意味で、現状のメンバーで少数精鋭にならざるをえない(人は増やせないから)。
それにはどうすれば良いか?という視点で書きました。
少数精鋭は白昼夢
少数精鋭でチームを作っていきたいと思うのは普通ですが、そもそもそんな事はできるはずは無
いと言う考え方があります。少数精鋭というのは雇用側の「願望」に過ぎないと言うのです。
「そんな気に入った人材ばかり雇う度に引き当てるなんて、宝くじ並だ!」言う意見です。もし本
当に少数精鋭のチームを編成したいのならば、(現実は思う様な人材に巡り合えないので)雇って
は辞めてもらう(試用期間のうちに)の繰り返しをしなければならないと言うのがその根拠です。
そこまでの人材の高望みをしないとして、一定の面性は行うにせよ人材雇用とチーム作りでコツは
あるのでしょうか?そこで提案は2つの視点を持つと言う事です。
1、「価値観は妥協しない」
2、「チームで対応する」
価値観で妥協しない
求人側、求職者側それぞれに理想はある
そもそも求人に対して反応がどれほどあるのか?と言う問題がありますが、私の知る限り「地元
にいながらクリエイティブな仕事をしたい」と言う人は一定数はいらっしゃると思います。
雇用側から見るとそう言うクリエイティブ志向の方は仕事全般一見上手く出来そうな気はする。
おしゃれに興味があるし人と話すのも好きだと。働く側は自分が働くイメージを持っているわけ
で、仕事にそれ(クリエイティブな場面)を期待すると思います。
一方、雇う側はクリエイティブな仕事以前の細々とした雑用を片付けてもらいたい、しかも一々
指示をしなくても気働きがある人に入ってもらいたい。すでにチームに中にある能力では無い部
分、欠けているピースを出来れば埋めて欲しい。それでこそ少数精鋭のチームになれると言う理想
があります。
理想とのギャップはお客様の存在が埋めてくれる
共に理想はあるわけですが、理想があれば現実がありそこにギャップ(だいたい失望)が出ます。
このギャップに固執していると「損得」の話になってきて、このお店にいてもキャリアの無駄だと
かあの仕事ぶりに払う給与がもったいないなんて考えてしまいます。
もし出来れば、こう言う時はこんなイメージを浮かべてはどうでしょう?お客様が真ん中にいて、
周りに従業員とオーナーがいる図です。簡単な図です。でも全てはお客様から始まると言う意味が
あります。
お客様がいて、お金を落としてくださってるから従業員として働くことができる。また一からお
店を立ち上げて従業員を雇えるようになったのもお客様のおかげだという意味の図です。
言ってみれば、図の真ん中にあるのはお客様でありお店の「理念」でもあります。従業員がお店に
不満があるのは理念に照らせば単なるわがままなのか、お店のいい加減さに対しての不満かはわか
ルはずです。
一方、雇用側も理念に対して従業員のどこが見過ごすことが出来ないのかわかります。個性なのか
不得手なのか?そう言う理解のもとで本人と話し合うことは大事だと思います。
採用面接では「価値観」の確認はしっかりする
入社後の日常のオペレーションは訓練ですからトレーニングする事で出来るようにはなるでしょう
。小さなお店で「教育」する余裕はないと思うので、複数のチームがあったりする場合のリーダー
養成などを除いて教育する時間と費用はないと思います。
それだけに採用面接は重要です。地方採用だと算数もできないと嘆く話もよく聞いています。しか
し、重要なのは「心」の部分ですね。接客商売なのですから人に興味がないと始まりません。
同じく採用する側も自分の店がどう言う考えなのか、「理念」がないと始まりません。それがない
と会社のどこに共鳴すれば良いのかわかりません。仕事を通じてお客様に何をすべきかもわからな
くなってしまいます。
もし、お店の理念が「ファッションを通じてお客様の心を豊かにする。お客様のお困りごと不満足
を解消する」と言う内容でしたら、そこから思い描く事で日々何をすれば良いのか従業員は発想す
る事ができます。
理念も掲げず従業員に常識が無いだのスキルがないだの嘆くのはお門違いと言えるでしょう。
理念を掲げた上で、採用面接では本人の「価値観」を聞き、会社が考える「価値観」に共鳴できる
か理解ができるかを聞いていくのが良いでしょう。レジを間違えると言うミスと、価値観が合わず
にチームの雰囲気を壊していくと言うのは大きな違いがあります。
価値観の合わない(例えば、あくまで自分のクリエイティブスキルを高めたいので、そう言う仕事
だけしたいとか)事、お客様が中心にいる事が理解できない人は残念ながら諦めた方が良いでしょ
う。
凸凹がある方がチームはまとまる
当たり前だが人は平均的では無い
これはそうですよね、すでに4人のメンバーがいて5人目を迎え入れる時に5人目の方だけが「平
均的」ではありえないです。
会社の評価システムも「平均的」な人を高く評価しますが(欠点がない)、そんな人はいないので
誰も高得点はもらえなくなってしまいます。基本的に人材は長所で見た方が良いのです。
とはいえ、チームとしては平均的でなければ困ることになります。何かの欠点や短所が大きく存在
するチームでは困ります。人見知りばかり5人では困りますので。科学忍者隊やスーパーヒーローの
特技もそれぞれ違えど、一番力を発揮するのはチームの時です。
ですので、それぞれが特徴を生かしてチームで補い合う事で、オムニチャネルな商売に対応していく
のが理想になります。
チーム運営で大事にすべき事
1、目的を与えれば人は行動する
2、理念が自分事として身近に感じるられるようにする
3、チーム内が支え合う絆がある
4、自分が1人の人間として扱われる
1、目的を与えれば人は行動する
目標という数字を与える事がありますが、これには歩合給のセールスマンでない限り心は動かない
でしょう。チームワークを信じれば「お客様のために」という共感できる目的を与えなければ、気
働きや気づきは出てこないでしょう。
2、理念が自分毎として身近に感じられるようにする
理念を掲げたからと言って、すぐにそれが浸透するわけではありません。繰り返し繰り返し、永遠
にオーナーやリーダーは話し続ける必要があります。それもなるべく噛み砕いて、従業員が自分ごと
として腹落ちできるように工夫すべきです。それを永遠に続ける事が最重要です。
3、チーム内で支え合う絆がある
終礼の大事さは以前も書きましたが、今日のできなかった事、お客様の問いに答えられなかった事
など告白しやすい時間であり場でもあります。その場で感謝や労いも伝え合う事ができます。あの
場面でのヘルプがありがたかった、撮影の時の工夫に感心したとか気持ちを言葉にするのは大事です。
こういう場面はオリンピックのチームスポーツを観戦してれば学ぶ事ができます。
4、自分が1人の人間として認められる
人間性とは「個性的」であると言う事にスタートしています。自分の個性を活かしつつ会社の理念
に沿って社会やお客様に貢献する事で成果を得るのです。
完璧なマニュアルで機械人間のような動きを要求するのならば、それはやがてロボットやAIに置き
換えらてもおかしく無い仕事領域だと思います。
それぞれのメンバーが、それぞれの仕事の中に一部自分らしさを織り込むことは認めてあげましょ
う。従業員も自分らしさを仕事の中に織り込むことで、誇らしさとクリエイティブへの好奇心も増
すでしょう。今ならインスタでのお店情報の発信など積極的な行動は求められてます。
「その人らしさ」を評価することで、そう言う風土は生まれてきます。その人らしさの過剰感が問
題となるのであれば、理念と照らし合わせることで行き過ぎかどうかは判断が付くでしょう。
成果主義より山分け
仕事にあった人を常に選別するのが成果主義。ダメなら辞めてください、Cランクの人をシーズン
毎に切り捨てるなど「人」よりも結果の追求に徹します。
投資銀行の業務のようにゲームのようにお金を増やせたかどうかで成果給をもらう人がイメージで
す。その様に働いた方が良い職種、環境がありますので否定するわけではありませんが、小売業に
は向かないと個人的には思っています。
成長してる時代や、動けば動くだけ成果が得られる「攻め」が利く時代には成果給は効果的だと思
います。一方で助け合いの要素はなくなります、レジ付近にいて全て自分の売り上げにしてしまい
裏方をしない人も出てきます。
これからの市場が縮小していく中で、少人数のメンバーで複数の業務に対応していくには「助け合
い」は不可欠です。チームワークは守りにも強いです。ダメなシーズンやダメな週末を作りません。
誰かのために頑張れると言うそれぞれの行動はお互いに希望を生み出すのです。
その様な希望を生み出す「人の心に火を灯す」事ができるのがチームワークです。
少数精鋭のイメージだけ持つ
少数精鋭のままなのは業務が拡大してないから
一つ説明しておきたいのですが、説明というより持論です。
少数精鋭というのは良いことでは無いと思います。それで収まっているのは業務が拡大してない
からですよね?
今は業績拡大中だけど雇うのが怖いとか、管理がめんどくさいとか経営者としての責務を直視し
てないのではないですか?もし、そうならそのしわ寄せはお客様か従業員のどちらかに行くでし
ょう。もしくはオーナー自身の過労ですが、これもやがてミスを発生させお客様不満足へ繋がる
でしょう。
成長すれば組織は拡大するもの
地方専門店様の場合、先代からの承継でない方はベンチャー起業家です。まず職人の立場から起業
して、次に経営者の役割をにない(この時点で兼務)、次に人を雇い管理者も兼務して行きます。
3つの役割を兼務した時点で多くのオーナーはお手上げとなるそうです。もともと服好きであるも
のの経理や教育のスキルがあるわけではないからです。
自分がいっぱいいっぱいな上に、凸凹のある人材教育にまで手が届かない。この時に上手くいかな
いジレンマに答えが出ないイライラの上に行ってしまうのが「人を放置する(苦手なので目をつぶ
る)、もしくは事業が縮小しても良いと開き直る」のどちらかではないでしょうか?
たまたまセカンド(右腕、番頭さん)が人の管理を引き受けてくれれば良いですが、なかなか人間
関係に強い人はいないのが現実です。
ですので、思うのですが前回と今回で書かせていただいた(「少数精鋭」「少数精鋭2」)の要素
1、業務の見える化をする
2、隙間時間の活用
3、理念を作っておく
4、チームワークを信じる
を行ってみることをお勧めします。
この番外編として、個性の強い社長が(そのアクが)強いほど従業員は社長を遠巻きに見るという
「社長孤立」の場合があります。
社長は起業家ですからその個性が商売のためには重要なのですが、会社という信用を積み立ててい
くときは、その個性が邪魔する場合があります。そういう時はコーチングを頼んで客観的な人から
灰汁抜きをしてもらうと良いと思います。
ということで、ではまた次回