50:「少数精鋭主義」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

レナウン倒産の一報を聞いた週末に書いています。先行き不安な日々ですが、こんな不気味なツイ

ートも出ていますし、いつも慎重な業界新聞が珍しく「レナウンは氷山の一角」と19日付で書いて

ます。ここまで来ると仕方がないものは仕方がない、人事を尽くして天命を待つ、運命は受け入れる

しかないです。

 


どうせならニュースポンサーに「 キリング・ミー・ソフトりー。。優しく殺して」が今の業界ムー

ドかな?。

 

Contents

逆転の発想

しかし、元気なところは元気なんです。あらゆる逆境を成長に変える企業もあるんです。コロナ後に

ついて語っている企業インタビューで、感銘を受けたのがニトリ。自分も初めて知りましたが、過去

も惨事を商機に変えています。

・85年プラザ合意 円高になると予測し、海外品の輸入に動き経営の基盤を作る

・93年バブル崩壊 土地が下がると読み、そのご本州に進出、市場を広げる

・08年リーマン 海外不動産バブル崩壊とみて外債を売却、手元資金で値下げ宣言

 

ここまでが過去ですが、今回アフターコロナの読みが

・20年コロナ 建築費と土地の値段が下がる&EC化率が上がる という読みだそうです

(ニュースピックス、アフターコロナ特集より参照)

 

過去3回に続き今回もチャンスと見ているそうです。転んでも起き上がる時には何かを掴んでる!

商人精神に溢れた会社です。今後洋服の取り扱いもするそうです。

 

不動産不況の時に安く土地を買うという逆転の発想ですし、上げたいと思っていたECの稼働率を上げ

るチャンスだと考えているということですね。

 

逆転の発想

悪くなる事があれば良くなることもあると考えるのが野武士的とでも言いますか、逆境に強い経営者

の特徴だと思います。前回紹介した星野リゾート社長も、今は苦しいけれど先に光があると戦略を語っ

ているところがすごいです。既存客が凹む分、新たな需要として「これまで海外に行っていた観光需要

が出て来る」「お膝下需要が大事になる」と分析をした上で、得るものもあると言っています。

 

大変ためになる13分の動画だと思います。(広告がうるさいですがw)

 

 

 

星野リゾートのアイデアを地方専門店の立場に置き換えてみると、今まで近隣の都市部(例えば長

崎のお客様が福岡に出ていた、長野から東京に)に流出していた客層を呼び込むチャンスである。

 

 

また密を気にしない人と気にするお客様がいる、空いている時間帯の表示や、現在の来店客数表示な

どの情報を出してあげるのが差別化になる、というところでしょうか。

 

 

逆転の発想ができる人が近くにいると頼もしいですね、勇気が湧いてきます。さて、今回のテーマは

アフターコロナ予測第二弾、「少数精鋭で乗り切る」。従来の店舗オペレーションに加え、EC業務が

必須となる中で、業務は増えるが増員はしたくない!となると、各自が複数の業務をしてもらわなけれ

ばなりません。

 

その様な状況がうまく作れるのか?という場面を想定してまとめてみました。一番良いのは番頭さん、

野球でいえばヘッドコーチ、組みで言えば若頭がしっかりしてくれれば安心なのですが。。そういう

右腕がいないと嘆く(育ててないの裏返し)方へのアドバイスです。

 

 

(右腕問題は過去の記事を参考にしてください)

Wオペレーションを兼業でこなす

 

ECと店頭の二足のわらじ

今の時点でECを無視できる専門店は哲学があると思うので、そういう先は別として大多数は現状の

スタッフで両方の販売チャネルを強化したいと考えていると思います。もともと店頭販売でオペレー

ションを組んでいると思いますので、営業時間やシフトもそれに合わせて組まれてるでしょう。

 

その場合こういう事象はないでしょうか?

・専属のEC要員を雇っており、販売サイトと問い合わせ対応など役目が限定・固定されている。

・それぞれの役割が固定されているゆえに、他チームと距離があり話しかけることは少ない。

・SNSを強化したいが担当者が決まってない。名乗り出る人がいない。

・スタッフ個人ではSNSはしているが、店のためにするつもりは無いし担当業務ではないと思う。

・何となく全て社長(もしくは特定の人)がやるものだと(暗黙の了解)任せてしまっている。

・特定の人が深夜まで自分の時間を犠牲にして情報発信している。業務はエンドレスで疲労している。

 

Back To 創業期

確かに創業期には少人数で頑張っていたわけですが、その当時は店舗販売だけのシングル・オペレー

ションでした。誰が休憩に入るとか、誰が出張に出るとか勤務表管理が主体でした。ところが今回は

EC販売、店頭販売、SNSでの訴求、SNSでのライブ販売そして仕入も少数精鋭で行わなければなりま

せん。これは大変です。

 

少数精鋭の難しさは4つあると思います

①何をすれば良いかわからない

②段取りが整っていない

③ECやSNSにはデジタルリテラシーが必要、専門性の壁

④もともとあった組織の問題の表面化

前提:気の合う人と組む

そもそも、雇用の段階で気の合う人を選びたいです。スキルは後から覚えられます。ご本人にお客様

ファーストの意識のない人にいくら後から注意しても無理なものです。その様に接客の素質(ファン

サービス精神)を優先して雇用してる企業にサウスウエスト航空があります。記事を参考にしてみて下

さい。

 

対処法

では対応の仕方を見ていきます

 

①そもそも何をすれば良いかわからない→3層ですべきことを見える化する

やるべき仕事が見えている様にしなければ行けません。阿吽の呼吸で働いてもらうには何をして貰い

たいか分かりやすくしてあげる必要があります。

 

三層で見える化した上で依頼する

A>その日の状況・優先でやるべき事 ←朝礼・終礼での伝達

B>個人のTO DO リスト ←準備

C>個人行動目標 ←スキル・習慣

ベースはC層の個人行動目標です。求めている基礎的な「して貰いたい事」です。笑顔を出してとか
元気よくとかお店の理念(こういう店にしたいという想い)に紐づく目標です。時間をかけて習得し
て欲しい技術などです。
一つ上の階層のB層では、個人行動に基づいた上で個人の役割を踏まえた今週の(今日の)すべき
仕事がリスト化されています。特別な事がない日であればそのリストを手際よく行います。
その上のA層は、その時、その日の状況で優先して貰いたい仕事です。これも経営者の機嫌で伝える
のではなく「見える化」してあげなければ行けません。お客様のクレームが入れば緊急ですから優先
しますし、誰かのヘルプをお互いが相談することになります。
特に急に言われても困ることは終礼できちんと伝え合う必要があります。朝礼で押し問答になって
はいけませんから。
居酒屋でも小料理屋でも、基本的には「仕込み」という準備があって、専門の持ち場があります。
優先するのは客のオーダで、それに合わせて臨機応変に対応します。洗い物が溜まれば、誰かが
フォローに入ります。料理屋さんの声の掛け合いは活気も演出しますが、今自分は何をしているか
を伝える役目もあります。程よい活気の演出は参考にしたいものです。
②段取りが整っていない←戦略・戦術の見える化と外注の選択

店の理念もそうですが、行き当たりばったりで経営しているお店を手伝うとなると、手伝う人の困惑

顔が目に浮かびます。口が達者な経営者は喋っている割には部下に伝わりません。無口な人も考えて

んでしょうが同じく伝わりません。見える化しましょう

 

 

段取りの見える化

①戦略:少し先の仕事。どういう客層に何を売るか、どういう方法で売るか。

②戦術:目先の仕事。目の前の方に喜んでもらえるか。どんなSNSにするか

③内製化か外注化か:自前でするのか、お金ですますか

戦略が決まってなくて、仕事だけ与えられると戦略と戦術のはざまでシコリます。朝礼でそんな話聞い
てない!ともめたり逆に全員が下を向いたりします。こういう時は、やるべき事をちゃんと書き出せば
照らし合わせが効きます。
「問題」を当事者の”間に”書き出す事で、お互い人を非難せずすみます。課題を責めて、個人を責めない
様に仕組みで解決するのがスマートです。戦術の範囲の事は、任せた人に任せて自主性を尊重しましょう。
任せてもらえる権限の範囲がわかれば、個人のTO DOリストにやりたい事が出てきますので見守りま
しょう。子供の勉強と同じで、”やる気”が出ない限りはアドバイスは役に立ちません。やる気ファー
スト!!
ECやデジタルは専門性が出てきます。自店の個性を出したい、カスタマイズしたいなら自分で学習し
ましょう。時間が惜しければパッケージソフトを買うなり、外注に依頼します。「時間」の価値は経
営者の判断になります。
時間には経営者の時間を買うという意味もあります。社長が3人いれば仕事も楽でしょうが、あいに
く限りがあります。例えば従業員が5人いたとして個人目標を回そうとすると、1ヶ月に5時間は面談
をする必要があります。その時間を買うとすれば、我々の様なコンサルタントに外注すると考えれば良
いです。(半期に1回は社長自らの面談は必要です)」
社長の力(時間)をそうやって1、2倍〜1、5倍にする事ができたとして、出費に見合うか?と検討さ
れるのがよいでしょう。
③ECやSNS、専門性の壁 ←自分でする事をお勧めする、各自の隙間時間を使う

 

ECは販売サイトですから、BASEの様なあるもので良いと思います。ECサイトは遠くの人に売る為

に設置するものではありません。私の考え方でもありますが、既存の顧客の利便性の為に設置する

ものです。ですから基本は来店される方に、「忙しい時はここで買えます」と伝えれば良いのです。

 

遠くのお客さんがECに来るのは、人伝えに評判を聞いたか、インスタのあなたの笑顔に惚れたww

のどちらかです、「美女がいると隣の中学から覗きに来る」までは時間がかかります。ECはとりあ

えず買う機能があればこだわる必要はないと思います。

 

 

一方、SNSは2つの意味で重要です。

①顧客へのダイレクトメッセージ。感謝が伝えられ、価値観も伝わり宣伝の

役割も果たし、反響をつかめる上に、店のストーリーも理解していただける。

②お店が小さい弱者の立場からすると、長い時間接客や販売ができる。

SNSは顔見知りのお客様との会話です。みょうに構える事なく自然体でUPしていきましょう。
10年以上経験がある方は、昔のDM葉書の効果を知っていると思います。ハートフルな気持ちが
込もっていれば十分効果があります。ですので、スタッフ全員で行うのが理想的です、それぞれ
の顧客はいるはずですから。
画ズラにこだわりがあるなら、最終修正だけするのも良いですが、勉強会形式で誰もができる方
が理想的です。ただ、フランス料理を食べてサラダやデザートの様な箸休めがある様に、ヘビー
な(買ってください)アピールばかりであると重くなってしまいます。
お勧めの中に清涼感のあるライフスタイルが伝わる構成が求められます。そういう、プロデューサ
ーな役割は重要です。この部分は担当者任せではいけません。
店頭来客が減っていますから、隙間時間は増えているはずですのでSNSにはこの時間を使います。
30日もトライすれば専門性の壁など破壊できます。これができればSNSと店頭の一人二役Wオペレー
ションになります。

 

 

重要なのは②の弱者の戦略です。商品量も少なく販売員も少ないのですから、広い商圏の広い顧客層

に向かって販売するやり方では競合に勝てません。特定のお客様に絞り込んでじっくりと見ていただ

く、何度も試していただく方が効果的です。ですので接触の時間が長くなるのは弱者からすると有利

なのです。

 

その点で店頭時間の後にSNSで問い合わせ対応や、インスタライブを見ていただくことは、店の坪数

が増えたり、別の場所でPOP UPをする様な効果があります。21時から23時の黄金タイムを活用すべ

きです。ただし、従業員にさせるには、理解の上で残業シフトを組むべきですし、逆にこの時間なら働

けるという方に手伝ってもらう事です。

 

④そもそもあった組織問題の表面化←コミュニケーションと個別最適

 

創業期の会社や店がそうである様に、「誰かがやらなければいけない事」が山積みの前では「それが

誰の仕事かなど言ってる暇はない」のが日常です。小規模なメーカーではデザイナーも営業の仕事

をするものです。この歯車が狂うとすれば2つあります。

 

1、仕事の時間軸や方向性の違い

同じベクトルの仕事は理解されやすいのに、少し違う方向の仕事は理解されにくいのは不思議な事

です。販売と生産、店舗販売と卸、またEC販売と店舗販売。それぞれの専門性に分かれて仕事をして

いると個別で見える景色と全体で見る景色の違いが分からなくなる時があります。

 

2、コミュニケーション

個別で活動しなければ行けない会社は、そのデメリットを埋めるために工夫をします。全員参加の

イベントや慰労会や表彰式が代表例です。お店であれば終礼が(うまくいかなかった、うまくいっ

たという報告共有ができる)大事になります。全員で気持ちの共有ができた上で、コミュニケーシ

ョンの芽が育ってきます。

 

コミュニケーションは他の記事でも書いてますので参考にしてください。

 

 

関係がこじれてる場合←担当者の立場を変えてみるのが一番

 

会社が大きくなると担当別に分かれます。これは仕方ありあません。この立場の違いで起こる意見の

相違解消の特効薬は、担当者の入れ替えです、お互い逆の立場になってみる。

 

仕事の効率が落ちると反発あるでしょうが、違う立場では違う景色が見える事が理解してもらえれば

そちらのメリットの方が大きいです。理解したら元に戻します。

 

ジローは鮨の夢を見る

オバマ大統領が食べに来た、ミシュラン3星5年連続の名店における親と子、弟子たちの姿を追うド

キュメンタリー映画です。「少数精鋭」にぴったりな映像です。AmazonプライムかNetflixで見てく

ださい。

 

 

狭い厨房で、ミシュラン3星のレベルを継続するのはどんな仕事をしているのか?と知りたくなりま

せんか?隙間時間、開店前と閉店後に弟子の上達ぶりを日々チェツクします。(自主性とコーチング)

そして本物を食べさせて違いを体に染み込ませる。(感性を鍛える)看板の板前だけではなくチーム

の力を保っている姿が学べます。

 

そして店主はどこまでも完璧な鮨を夢見て追求する(ビジョン・理念)、その思いにチームは引っ張ら

れていく姿は美しいです。最高に参考になると思います。

 

本当に少数ならば、一人暮らしなら独りで家事をしますが、夫婦になれば家事も分担する様に協力し

あう仕組みが必要です。協力し合うには家事の内容を書き出して見える化するのか大前提です。書き

出した仕事タスクを毎日する事、週に一回で良い事、月に一回で良い事という具合に分け、負担に耐

えられる内容で分担します。

 

 

お互いが辛い時は声かけあって替わってあげたり助けたり。。何よりもそうするのはその家庭の幸せ

のためにお互い頑張ろうという気があるかどうかです。そういう意味では、少数精鋭を成り立たせる

に大事なのは、お店への(ひいてはお客様への)熱い思いと見える化のスキルの2つと言えるでしょう。

 

ではまた次回

「見える化」の御用命はカシカヤまで。。宣伝でしたw

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