こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?
今日は「組織には柔軟性が必要だ」というテーマで書いてみます。
果たして組織には柔軟性は必要なんでしょうか?世間では安定という言
葉と対で使われることが多い様です。
安定(固定)と柔軟
「安定の既存事業」と「何があるかわからない新規事業」の様な対比
です
結論として書くのは、「今の時代(安定しないんだから)既存事業だ
けでなく(多少波風立てても)新規事業をする必要がある」です。
それには柔軟性が必要だと。
でもその考え、「選択と集中」に反してない?共倒れにならない?と
いう疑問に答える内容です。
そこでF1レースに例えて考えてみました。
Contents
組織に柔軟性は必要か?
直線でパワーを活かすかコーナーで機敏さを出すか
もし、自分がF1ドライバーだとして次のレースに向けて車のセッテ
ィングをするとしたらどうするでしょうか?(車のプロじゃないんで
細い事は突っ込まないでください)
車のセッティングが戦略に似ているとおもうので。。
天候の話はややこしくなるので置いておいて、論点は次戦のコース直
線が長いのか、カーブが多いコースなのかという2つの選択があると
します。
こういう譬え話を持ち出したのは、選択と集中戦法の相性がいいのは
直線が長いコースだと思うからです。
主力の既存事業のエンジンフルパワーが出るようにセッティングすれ
ば思ったような結果が得られるのではないでしょうか?例えコーナー
で失うものがあったとしても。短期的に稼ぐ事業で大きく稼ぐ。
一方で、これと言ったパワーは望めないものの、コーナーで柔軟なバ
ランスを保てばレーストップとの差を上手く詰められるかもしれませ
ん。(1周した時に大きく計画から乖離しない作戦)
言ってみれば時代のニーズは多様化しているので、主力事業以外にも
新な事業で細かく時代対応をするのはどうでしょうか?しかし、その
分リソースは分散して仕舞います。
直線で馬力を活かしつつ、コーナー場面でも市場にグリップ力を持つ
と言うのはリソースの分散という点では優先度が対立する事になりま
す。
こうやって考えてみると、主力事業に集中するのは2度役に立つ場面
があると思います。
1、創業期:何かでNo1になり、名前とストーリーを覚えてもらう。
2、成長期:主力事業に資金と人材を集中し、一気に拡張させる。
一方、コーナリングがうまくいく様に、車体を軽くしたりタイヤのグリ
ップを持たさせる様な柔軟性の効果は3つの場面が想定されます
1、成熟期:時代に振り切られない、主力事業の陳腐化を補完する
2、成長期:新たな事業の芽を見出す、主力を複数にしていく
3、衰退期:赤字が膨らむ前に、大きなパラダイム転換を図る
多様化と一口に申しましても、子会社で分散させたりメイン事業内に
孵化機能を持たせたりします。通常どこの会社でも「社内アイデア募
集」は行われていると思います。
そういうアイデア出しは1や2の部類であり、集めては試して大きく
出来ないうちに無くなっていく繰り返しなのではないでしょうか?
よく言われるのはテストをくぐり抜けたアイデアを採算ベースに載せ
るスケーリングが困難なためですが、今日はスケーリングの議論は外
します。
これらアイデア出しはどちらかと言うと短期戦略になります。大概プ
レゼン時に「投資しても良いがいつになったら黒字化する?」と言わ
れますよね?早く貢献してほしいと。
一方で、3番は違います。大きな発想の転換を求めるものです。出来
るかどうかわからないけれど、会社として大きく一歩を踏み出す類の
選択です。
短期には成果は出ないが、中長期的には会社の立ち位置を変える程の
壮大な取り組みです。
例えば、
・工場が本業なのにD2Cで直接販売をしていく。
・国内事業から海外事業へ主軸を移す。
などなど大きな方向転換を目指すものです。
「選択と集中」と「柔軟性」の両方必要
例え話の前提が選択と集中もしくは柔軟性のどちらかを選ぶとしま
したが、レースである以上どちらかは選べないですね。
レースコースは直線とカーブの組み合わせなんですから、両方とも必
要でどちらに比重を置くかならわかりますが。。
既存事業でエンジンパワーを活かして競争優位性を活かしながら、コ
ーナーリングで時代性に対応している。だから経営者はF1ドライバー
並みに難しいのだと言えるでしょう。
既存事業と新規事業開発の両立はどこのアパレル会社でもやっている
といるわけですがここへ来て、この市場縮小という環境変化でじわじ
わと直線コースが短くなるような事態に直面しています。
店舗数が多い、在庫を多く持つだけでは競争優位性が保てない事態で
す。コースの路面が荒れてしまい、だんだんフラットなコースから野
山の様なダートコースに変わっているような感じです。
タイヤを履き替えたり、車体の重心をいじったりでは対応できないよ
うな変化だとしたら、レース戦略自体を(柔軟に)考え直す必要があ
ります。
ステージへの挑戦者あらわる
この業界、皆出来ないなら自分ができない理由にもなるでしょうが、
先月マッシュスタイルラボのビックニュースが出てきました。
驚く要素満載のニュースでした。まず2,000億という規模感、外資が
日本企業の成長性を高く評価してるという意外感、それに海外売上を
10倍にするという大きな戦略展開。この3つがその驚きには合わさっ
てます。
そして上場を目指す訳ですから、主力事業は維持しつつ新たなマーケ
ットを探り当てた上で同規模にスケーリングするわけです。柔軟性の
極地です。
既存事業は1,500億の規模を保つわけですから、集中と柔軟性の両利
きは出来ると考えているという事です。
ここで「両利き」という表現を出したので参考図書を上げておきます。
知っていただきたいのは副題にあるように「二兎を追っても良い時代」
という事です。
選択と集中思考の方には受け入れ難いかもしれませんが、ぜひ読んでみ
て下さい。従来の新規事業の立ち上げが上手くいかない理由や事例が多
く出ています。
時代にあった戦略が求められている
改革すべきは戦略である
勤勉な部下、管理職は既存の事業に従事しています。
それは選択と集中のもとに、日々余計な経費や行動を削減しながら得
られる利益の最大化に情熱を費やしています。有能なマネージャーほ
ど短期計画に忠実です。
もし彼らに新たな事業開発を命じると、既存事業をスライドさせた市
場や類似商品開発あれば彼らは出来ます。
しかし、発想の転換のような(工場運営の知識で物販に挑戦するよう
な)アイデアを求めてしまいますと、彼ら中では葛藤が起こります。
日々の美点(コストカット)が新規事業(とその失敗)で垂れ流され
てしまう事に心理的に耐えられないからです。
同僚ですから口には出さないまでも、新規事業チームに(進んで)協
力しない、助け舟を出さない、リソースを援護するような事はしない
というのは私自身の体験でも数々現場を見てきました。
求めるべきは戦略の改革です。その為には思考の柔軟性が必要です。
両利きが正しいとしなければマッシュやアダストリアのような海外展開
、工場のD2Cという発想は出てきません。思考の柔軟性が求められるの
です。
思考に柔軟性をもたらすものは「謙虚さ」だそうです。
謙虚に人の話を聞く。同じ話でも新しいコンセプトを聞く必要がある
のでそう言うニュース持った外部情報が得られるルートを持つ必要が
あります。
組織(車)にエンジンパワーとコーナリングの柔軟性を要求しがちで
すが、現実には優先順位の混乱やリソースの分散でそれは困難です。
それよりも車に乗っているドライバーの思考を両利きにする、柔軟さ
を持つことが重要だそうです。
ビジョナリーカンパニーで失敗例に挙げられているのは、創業社長か
ら引き継いだ2代目の時に事業拡大に走りやすく、そこで戦略の切り
替え時期が遅れがちだと書かれています。
(引き継ぐ時点で、先代の暗黙の圧力に応えようと過剰に事業拡大さ
せるから)
2000年前後に創業された会社はそろそろ二代目に引き継ぎされてい
ると思いますが、アクセルの踏み込み過ぎ、直線が長いとの思い込み
が過ぎてないか?同時にその思考を転換させる謙虚な情報収集を行っ
ているのか?
この2つを点検いただきたいと思う次第です。時代にあった戦略が生
まれるベースを整えることが今の時点では大事だと思います。
ピンチの時こそリーダーは求められる
独断専行の方が上手くいく
これは聞いた話ですが、会社を改革しようとする場合は独断専行の方
が結果として上手くいくそうです。
譬え話としては刺激がありすぎるかもしれませんが、政治で言うとこ
ろの民主主義と専制主義です。いわゆる独裁者です。
独裁者が戦争を始めれば戦争になるし、コロナ対策も専制主義の国は
対応が素早くきっちりしています。良いか悪いかは別にして。。
独断専行が良いという話の理由は、大きく状況が変わる局面で、素早
い決断をするにはそれしかないだろう?と言うことだと思います。
チーム型経営や抜きん出たトップがいない会社も多々あると思います。
大きな決断をする場合は大概ネガティブな要素が含まれています。
それらの副作用や障害を無視して議論する事は難しいのですが、それ
らの解決を待っていては期日を逸する恐れがあります。
もし多数決であれば創業していないだろうと言うのと同じで、今こそ
第二創業として新たな市場へリーダーが前に進む決断する。
今はそういう重要なターニングポイントというわけです。
慣性の法則
質量が大きい物に加速がつくと慣性が生まれます。車は急に止まれな
いというような運動エネルギーです。
ですので、大きい会社を経営している場合、大型トラックを運転して
いる場合は急ブレーキや急ハンドルが危険なことは十分理解してるは
ずです。
現在の市場は大きな決断、独断専行が必要な局面と言えますが運営を
乱暴に行うという意味ではありません。
冒頭でF1ドライバーに例えましたが、彼らのようにギアをシフトチェ
ンジする様な仕組みを用意する必要があります。
トラックのスピードを緩めればハンドルは切りやすくなるでしょうが、
スピードを下げすぎることは売り上げの急減を意味するかもしれない
以上、適度な減速とグリップの維持を図る必要があるわけです。
会社のグリップ力
会社におけるグリップ力の例える物は、いわゆる求心力です。
例え、違う事業やマーケットをそれぞれの持ち場で担当していても、
会社の目指すものは見えている、方向性は全員が理解していると言
う事です。
急成長する会社の特性でもありますが、そういう会社にはカリスマ
的リーダー(創業者が多い)の存在や強烈な聞いただけで一致団結
出来るほどの理念の浸透があります。
このどちらかがあれば、多少のハンドル回しでも会社が分裂する事
はないと思います。
皆様のご経験にも当てはまる事はありませんか?
現在、次々と新たなマーケットに向かっている企業には強烈なカリ
スマトップの存在があるように感じます。
以上の様なことをこの下半期に考えていました。そこで新たな戦略を
立てるには?と言う視点で背景に必要なことを書き出してみました。
皆様のお会社でも同じ様な悩みがあると思います。問題はその起点、
どこから出発するかです。
新たな戦略が必要なことはどの会社様も同じだと思います。リソース
は限られている。そう言う場合はまず外から話を聞いてみる。
繰り返しますが柔軟性の前提は「謙虚さ」だと言うことです。本にも
書いてありますが(本業への)自信を持ちつつ(新たな発想を、情報
を得る)謙虚さを同時に持つのです。
そう言ういみで、このブログも外部の情報として社内で活用していた
だければ光栄に感じます。
ではまた次回