36:「ブランド戦略番外編〜イノベータ理論」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

今日は、知ってて損はない「普及学」についてです。耳慣れない言葉ですが、マーケティングで自

社のブランドがいかに市場に”普及”していくか?なんて使いますね。その普及です。1962年に

社会学者のエベリット・ロジャースが本の中で述べたのが有名で、これを「イノベータ理論」と言

います。

 

イノベーターとは「革新者」「新しい作り手」という意味でマーケティング用語です。イノベーター

と名のついた商品は食器・スーツケース・時計であります。革新的なスプーンとはどんな感じでしょ

うか。。w

 

Contents

イノベータ理論

原題がマーケティングの普及学ですから、ブランドの市場浸透度に関する理論になります。

(図引用:ウイキペディア)

図の見方は、青の曲線の下に仕切りがあるののが、消費者の特性が5つに区分けされています。それぞ

れの市場占有率が書かれていて、黄色の線はその合計を表しています。3つ目の消費者区分まで足すと

ちょうど50%ぐらいになっています。

 

ではこの区分けを説明します。皆様のご商売にも同じ状況があるかお考えください。

 

イノベータ:先駆者:占有率2.5%

革新的な商品やサービスをいち早く取り入れる人達です。4Kテレビが凄いとなったら初期の段階で

100万円しても(少し待てば安くなると分かっていても)買う人達です。次は電気自動車となれば

テスラに乗り換え、気になるホテルにもすぐに予約します。そういう哲学を持ち、そういう生き方を

する人々です。皆様の商品も直感的に納得すれば値札を見ずに買っていただけてる方です。

 

ある意味変態wwですが、スタイルのある愛すべき変人の人。50人に一人ぐらいの存在です。

 

アーリーアダプター:初期採用者:占有率12.5%

イノベーターよりも人数が増えます。いわゆる情報に敏感な人、トレンドを聞くと試してみようと

思う意思がある人達です。インフルエンサーと言われる人達がイメージでしょうか。人脈も多く情

報を交換してます。ファッション業界だと業界関係者はほとんど含まれると思います。

 

情報を掴んで咀嚼する意思があるので、アップルの発売日前には当然列を作ります。試してみて自

分の意見を述べるのです、口コミには大事な層です。イノベータと足すと市場の15%を占めます。

 

アーリーマジョリティ:初期追随者:占有率34%

いわゆる情報に敏感な一般大衆に位置付けです。ボリュームはグッと増えて34%もあります。テ

レビでタピオカやパンケーキの店を知り、並びにいく人達です。イノベータグループを足すと市場

の50%を占め、平均よりは情報に敏感な人々です。

 

2000年当時のビギンやホットドックプレスを読んでいち早く情報を集めていたグループです。この

グループが反応してくれるとブランドの浸透は成功の部類へと格上げになり、経済的なメリットも

大きく出てきます。開店前やレジに並びが出てブランドを当てた手応えが出てきます。

 

レイトマジョリティ:後期追随者:占有率34%

やや遅れて、または周回遅れで情報に反応する人達です。これも大きく34%もいるグループです。

先に試して人たちの反応聞いて「それなら」「なるほど」と納得したり、安心感のもとに消費に

参加します。自分が損したり、不快な思いをすることはしたくないと考えており、情報に敏感な

層が「早めに買って多少失敗したけどそれも楽しかった」とは思わない人達です。

 

ファッション業界ではお得感やセールと聞いて腰が上がるか、暑くなる寒くなるまで店に行かな

い事になります。ここまでのグループを全て足して84%です。

 

ラガード:頑固者:占有率16%

遅滞者と呼ばれ遅れてくる諸費者ですが、実際にはサービスが打ち切りになるまで新たなバージョン

を購入しようと思わない人達なので、消費者の枠からは省いた方が良いと思われます。安売り型落ち

大歓迎なので自ずとディスカウントストア大好きです。安ければ買うというよりも、情報に対してま

ったく価値を感じない、世の中のイノベーションに興味がなく、電話なら通話できれば黒電話でもガ

ラケーでも気にしないグループです。

このグループの16%は商売の相手にはならないので、市場は最大で84%しかないと考えておきましょ

う。

 

動画でこのイノベーター理論を上手に解説しているのがあります。その記事を書いてますので参考に

して下さい。

 

 

自分の顧客を分類してみる

この理論の良いところは、具体的に顧客グループの特性と占有率が出ているので自社ブランドや専門

店顧客の分類が当てはめ易い事です。

 

市場の攻め方がわかる

スタートして間もない店やブランドであれば、今の状況はイノベーターやアーリーアダプターに

しかメッセージが届いていないことがわかります。アーリーアダプターまでは好意的に情報を解釈

してくれたり、進んで情報を取りに来てくれ反応してくれるやり易さがあります。

 

しかし、これに甘んじているとアーリーマジョリティは取れないので、地域1番店にはなり得ず、知

る人ぞ知る隠れた名店だけど売り上げはイマイチという商売的にはありがたくない立ち位置に甘んじ

る事になります。ですからSNSで情報を出していくのに粘り強さが求められるのはアーリーマジョリテ

ィ対策のためだからです。

 

商売の損益分岐点を考える

セールをしないとか、ハイブランドやこだわりでスタートしていく場合、しっかりした商売の継続性を

考えておくことは大事です。そういうサービスや商材はイノベーターから先に広がらない可能性もある

のですから、アーリーアダプターを入れても全体の15%向けの商売をしている感覚が必要です。

 

つまり思いっきりつらぬくコンセプトに対して、固定費を管理していくバランスが必要になります。その

ようなコンセプト店が駅前にある必要はなく、わざわざ立地に来ていただく発想にするなどの発想の展開

が大事なことがイノベータ理論から学ぶことができます。

 

以前、青森下北半島の恐山の麓のセレクトショップを訪ねたことがありますが、国内には市街地から車で

2時間範囲の立地にわざわざ行きたいお店がいくつも存在します。この10年でスマホ進化で道に迷うこと

はまずあり得ません。そのお店にワクワクするストーリーがあれば、消費者が行きたいと思った瞬間から

その店まではレッドカーペットが引かれている様なものです。長いカーペットですが、楽しい2時間になる

得るのです。

 

ZOZOインタビュー、顧客の15%

1月23日の繊研新聞にCEOインタビューが載っており、興味深い内容が出ていました。

ZOZO顧客分布

10〜50代の国内ファッション人口分布

15%:服好きで情報スタイルを自主的に選ぶ

50%:ファッションに関心があって価格次第

35%:こだわりがない

 

今までZOZOは真ん中の50%を取りにいっていたが、これからは頭の15%をゾゾタウンで狙う、一番

下の15%はぺいぺいモールでと棲み分けするそうです。

 

このインタビューで参考になるのは、イノベーターとアーリーアダプターまでは理論の%と同じ構成と

いうこと。またアーリーマジョリティ以下は価格が影響してくると言うことです。

 

そう言えば都心のセレクトショップは現在たまたま立地(たまたま駅前を歩いていたら知ってる名

前の店があった)になってますので高い経費構造的にも駅前にたくさんいるであろうアーリーマジョ

リティの方を呼び込まなければいけません。しかるに価格調整の融通が効くオリジナルで対応せざる

を得ない事になっているのだと思います。

 

よって、専門店の方はまず自店の15%をしっかり取っていくのが大事になり、その上でアーリーマ

ジョリティにより噛み砕いた、より寄り添った情報提供と接し方を考えるのがよろしいかと思います。

 

メーカーさんの場合、最初の15%を取りに行くのに全ての予算を使ったりしがちです。スタートの時

の褒め言葉をあまり鵜呑みにしているとその後が続かない。。と言うことがない様にしたいです。

また経営側はすぐにでもアーリーマジョリティが取れると思い込んでますが、実際はアーリーアダプ

ターとアーリーマジョリティには大きな溝があるので、そこでつまづくのに注意が必要です。

 

その恐ろしい溝を「キャズム」と呼びます

ブランドが干上がる「キャズム砂漠」

溝というより実感としては「砂漠」です、アーリーアダプターまでブランドが浸透したとして、次の

アーリーマジョリティのグループにブランドが浸透するには一定の間が存在するのです。これを渡り

切るのにいつまでかかるかわからない。。

 

情報に敏感な女子高生がタピオカをインスタに上げて、アーリーマジョリティまで通じれば、すごい

ブームになります。しかしすごくCMを見るけど、ブランドが浸透しない例はザラにあります。例えば

アップルウオッチはどうでしょう?アーリーマジョリティまで届いているでしょうか?周囲で半数が

していれば届いているでしょう。しかし10人に1人ではそれはアーリーアダプター止まりです。

 

近頃の芸人ブームでも、売れないと嘆く若手芸人は多いのですが、そういう売れない芸人を応援する

イノベータ的愛好家は存在するので、応援がある以上芸人を続けようともがきますが、努力の先に必

ずキャズムを超えられるか実感ないのが継続の苦しさなのでしょう。

 

もし自分の店やブランドの伸びが止まっていればそれは「キャズム」の中をを進行中です。キャズムは

時間を食うので、高コストで運営しているとみるみる体力(資金)を失います。立派な旗艦店を出して

派手なパーティをして3年で10億ぐらいの赤字を出して。。というのは業界よくある話で、下手にお金が

あるとキャズムにどハマりしてえらいことになります。

 

いまだに金の力で(宣伝)一気にこの砂漠を渡りきったという話が聞いたことがありません。そうい

う浸透の仕方だと忘れられるのも早いですね。これには人間の脳の反応の仕方もあるのですが、それ

はまた別の機会に。

 

一番良いのは、ブランド浸透の準備がしっかりしていること、コンセプトと4つのストーリー。

もう一つSNSの魔法を使う、今までは砂漠を渡る時に、現在位置が分からないので苦しい思いをし

ましたが、SNSがあればフォロワーの伸びと反応がわかります。これは断然ありがたいです、ただ

一足飛びの人気を金で買う様な姿勢は、そのブランドのもろさに紐付いてくるでしょう。

 

4つのストーリーはこのブログで紹介しました

 

 

バルーン

以前も、ブランドの立ち上げを風船を膨らますのを例えにしました。これからブランド立ち上げる方

はまず15%に届けば良いというリラックス感と、その人達に焦点を当てるという意味で風船に息を

吹き込んで欲しいと思います。

その15%に届かなければ、その先は望めないという意味で、最初の15%はブランドのペルソナでありま

す。ペルソナはまだるっこしいという人も多いのですが、砂漠にはまって太陽がグルグル回って見え始め

ると「しっかり準備すべきだった」と思うことでしょう。そうなって息絶えた数々のブランドにアーメン

 

ではまた次回

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