60:「自滅の刃から身を守る」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

資格試験で間が空いてしまいました。

 

さて今週は、いついかなる時でも顧客の悩みに寄り添えれば商売が細ることはないという話です。

 

 

商売は上手くいかない時は、外的要因に理由を求めがちです。それは人間の3大心理の一つに「人は

人のせいにしがち」と言う事があります。「そんなこと考えてるのは自分だけじゃないんだ」wwと

多少の慰めになるかも知れませんが、できる人はこんな時でも何かしているはずです。

 

 

2020年の年明け以降はまさに外的要因オンパレードですので、畜生めとゴミ箱でも蹴り飛ばしたくな

る気持ちはよくわかります。しかし、ベテランの航海士は一度外海に出た以上、自然の危険性は知って

ます。自然は豹変しますから。気象の確認や何もない時にこそ、その平穏さを注意深く疑い、もしもの

備えに余念がありません。

 

このコロナでも傷が浅いところや、しまむらの様にどういうわけか前年よりも良いとこさえあります。

たまたま、前年に悪く早めに改革を始めていたのかもしれませんが、赤字決算企業の原因が全部が全部

コロナのせいは違うと思います。

 

果たして外海に出る時は持っているべきの注意深さと危機管理は各社持っていたのでしょうか?洋服業

界はただでさえ調子良いと思ってたら急に3割落としたという様な振り幅の大きな自損事故の様な話が

転がっている業界です。現在も昔からある「自滅」のパターンに環境とは関係なく当てはまっていたの

ではないでしょうか?

 

Contents

商売は自滅しやすい

商売にはいくつか落とし穴があります。それらは大概成功した後にやってきます。落とし穴というぐ

らいですから、そもそも気付きにくい失敗なのか、それとも気の緩みから見落としてしまうのでしょう

か?

 

慢心・奢り

地方の専門店様で成功されると、家を建て、車を2台でほぼ満足。あとは遊ぶ時間が欲しいというのが

一昔前成功の一般例でした。地方は街が狭いので車を買い替えると懐具合がすぐに知れ渡ります。

 

成功する人ほど地味な車にして、家も換金し易い物にする社長は実るほど首を垂れる覚悟もあって、そう

いうところは経営もぶれることは少ないのですが、一時の成功に浮かれた社長の場合は右腕や番頭たちの(

俺も同じ様に浮かれる権利があると錯覚して)彼らの失望からの裏切りに会うのがよくあるストーリーでし

た。慢心やおごりは商売の大敵です。

 

守りに強いか

どの企業も創業するタイミングは潜在意識で選んでます、創業が成功するのはその時代にあった手法を備え

ているからですが、その手法は永年勝てるオールラウンド戦略ではないのです、大概その時代限定です。で

すのでトレンドが3年または5年ぐらいで周期が変わる時には環境は得意から不得意へと流れが変わります。

 

例えば、合繊からウールに、ブーツがスニーカーにオーバーサイズがスキニーにと裏に流れが変わった時に

得意でないトレンドでどれだけ持ち味を出せるかが生き残りの秘訣になります。その様な守りの場面に強く

ないとリスクの大きいファッション業界では生きていけません。そう考えると、この業界では5年周期なら

5年ごとに不得手な守りの時期が来ると言えます。

 

この業界、攻め手ははっきりしています、商品在庫を積めば良いのです、増員、出店すれば良いのです。

ところが守りとなると狼狽する方が多いのです、攻めで操業したので守りでどうすれば良いかわからない。

人と在庫を減らしてジッとしてれば良い?と悩む。まさしくコロナ渦の今です。

 

守りの野球と言いますが、スポーツの世界では守りから考える名将がいます。点を取られなければ負けは

ないからです。商売の老舗と言われるところも守りに強い傾向があります。出店一つ考えても守りに強い

ところは出店に慎重なゆえに好況期に儲けにくさもあるのです。攻めと守りは裏腹の側面もありますが、守

りに強い会社は日々選択する人・物・器への投資に守りの要素が入っています。

 

思った様な仕入れができない時も、売り支えるのが販売力と考えるのが守り型。商品に鮮度が欠けても「あ

そこには何かある」と思わせる”本店”としてのたたずまいが器効果。そういう視点での投資を行っているのが

守りに強い企業の特徴です。

 

守りに強く、攻めはそこそこの経営の方が時間を味方につけてじわじわと会社が大きくなっています。いつ

しかその価値はネームバリューで称されることになります。奢りや慢心に傾かないためには、守りの局面を

(まさしく今)どう過ごすかを考えると良いでしょう。

 

情熱がルーティーンに変わる

この業界、大勢のかたが90年代に創業されているので、約30年で経営もバトンタッチが進んでいます。

 

創業者が引退した場合、2番手以降は先代の手をなぞる範囲に留まりがちです。同様にカリスマバイヤーの

後を引き継ぐと同じ仕入れ先をなぞる。偉大な先人を崇めすぎるとそれが続くとまるで儀式の様になります。

儀式が明文化されると、戒律となりちょっとした間違いも非難され、減点法の評価へと傾きがちです。

 

先代の成功事例、ここまでの戦法を続けるべきか、変化させるべきかは2代目以降の大きな課題です。しかし

、先代の成功も”たまたま”であったと考えれば良いのであって、創業期の苦労(あれこれやって上手くいかな

いプロセス)の伝承が行われていれば、成功の陰で見えない地道な改善努力の必要性は伝わるはずなのです。

成功の表側だけをルーティーンで引き継ぐので失敗や変化に弱い組織になっていくのです。

 

 

自分で掛けた暗示に掛かる

ブランドマジックは市場に向けて発していくのが、言ってみれば催眠術の様な物を消費者に掛けるのです。

もちろん誠意と情熱を込めて術をかけるのですが、情報を発信する側が”自ら掛かる”ことがあります。

 

立派な社屋で、センスあふれる内装で高級ソファーで絵に描いたような振る舞いをしていると、舞い上が

る人は多くいます。日本の様な大きな市場でセレクトショップのバイヤーの仕入れをしていればパリの高

級メゾンのショーに行けば最前列の席が用意されています。

 

パリから帰ればOEMメーカーと泥臭いセール品の仕入れをします。そういう振り幅の大きい世界なので

、「利益」の尺度を忘れてしまうと華やかな世界に身も心も麻痺してしまい商売から外れていく人もいま

す。

 

では、その様な自滅の刃にかかり身を落とさない様にするにはどうすれば良いか?私の知る限りの体験談

をお伝えします。

どんな能力が自滅を防ぐのか

 

徹底した客観性と嗅覚

成功して大きい数字をクリアしてもそのまた一桁うえを目指せる人は客観的だと思います。成功している

自分から一歩離れ客観的て周囲を見れる、どこが良くてどこがまだ足りてないかがわかる。感覚的に少し

醒めているので先の落とし穴も見える。成功している人と話すと何か幽体離脱してかのように客観的にコ

メントするのに驚くことがあります。

 

また成功者を近くで見ていると危機察知に優れているのですが、強力なアドバイザーを社外に持っています

。社内はイエスマン中心になりますので、信頼する外部の警告を重視します。特に商売では数字が落ちてく

る前に店頭に匂いだす「天狗臭」「スノッブ臭」「保守臭」「上から目線臭」に代表される商売の死臭を嗅

ぎとる能力が必要です。

 

その察知情報を周囲、特に外部、旧友や社外取締役から得ることに長けています。忌憚ない意見を持つ感覚

の鋭い人脈を持っているのです。

 

万年新鮮病

マーケティングに強いともいう、要するに消費者の気持ちがわかる人。自分が金持ちになったから三ツ星

でしか食べない、安い酒は飲まないではただの成り上がり。B級グルメもわかるし、安くて味のいいチリ産

のワインを勧められる。つまり自分はもっと良いものに興味があるが、庶民の生活観も掴んでいるのです。

 

そういう人の特徴は、いつも「鮮度」に飢えている、好奇心が高いし萎えない、もちろんミーハーでもある

。新しいところで見かける、遊んでいる。いつでも何処でも、新しい物に目がない試す。スノッブ系の新し

物好きはいますが(スネ夫がパパに買ってもらったと自慢する様な)、価値観がしっかりしてるのでブレま

せん。

 

 

人物器に再投資する

利益の半分は税金になりますが、残ったお金をどう使うか?いい人材を引き抜いてくる「うちに来なよ」、

「仕入れる・契約する」「新店・改装・調度品」またはアート(本物を知る)に投資して従業員に見せる。

 

少し前に一時代を築いたセシル・マクビーが幕を下ろしましたが、創業期が8年、成長期、成熟期、衰退

期と製品ライフサイクルの4期が大体8年ずつの約30年でした。企業30年説に当てはまる例です。

(この4つの期は研究している人曰くだいたい同じ年数になるそうです)

 

 

成長期から成熟期に入る局面で、来客は新規客が少なくなり固定客の比率が高まります。固定客は要求す

る期待値も高まりますので、生産、販売と全てのプロセスにプレッシャーが高まります。その状態で、せ

っかく築いた事業が衰退しない様にするには、「何かを捨てて、何かを加える」未来への投資をしていか

ねばなりません。

 

イケイケどんどんの成長期から成熟期に差し掛かると、いろんな事をルール化して成熟期が長く保てる様

に図りますが、野生味を失い保守化へと行きすぎるのが現実です。そこからまた「変化」を優先する組織

に切り替え直すのは至難の業で、たいがい保守化のまま寝たきりの状況へと悪化し30年の幕を閉じる事態

になります。

 

業界自体が30年経過し、成熟期から衰退期へと入りつつ、またはすでに入っているのです。

 

車ならギアチェンジできる様に作ってありますが、組織はそうは行きません。これを見据えた投資をしてい

く必要があります。内部人材と外部人材の組み合わせですがそういう目線で投資をできる会社は長続きしま

す。

 

その様に考えると、コロナが原因ではなく、コロナが衰退期に差し掛かっていた業界の背中を押した様です。

そういう経営者がいなくとも誰でもできる、自滅を防ぐ方法は3つお勧めです。

 

いつしか潮の流れに流されていないか?

ヘンゼルとグレーテル

残酷な昔話で、幼い兄弟が口減らしに森に捨てられますが、ヘンゼルの機転でパンクズを分かれ道に目印に

置いておいたのでそれを辿って兄弟は家まで戻る事ができます。私たちも、日常で変化に対応するため選択

を繰り返して対応していきますが、目先の売り上げを負っているうちに自分の居場所が分からなくなること

はよくあります。

 

顧客管理のためのポイントカードがいつの間にか値引戦略に変わってしまうとか、あるあるです。

 

もしここ3年の打ち手で、理由が不明確でも売り上げが落ちているならヘンゼルとグレーテルの様に一定の

ニュートラルゾーンに戻る事をお勧めします。

 

下記のの3つにポイントをチェックし、どの程度潮に流されたかを客観的に分析しましょう。洋服は感覚で

やってますので上手くいけば良いのですが、裏に回ると失敗の原因が分からなくなりがちです。対策は3つ。

 

1、ヘンゼルのパンクズの役割を持つ記録をつける。会議や朝礼の議事録。

2、定期的にバランスチェツクする。調子が落ちたらペルソナを見直す習慣づけをする。

3、そういう指摘役を社内外にモニターとして置く。厳しい意見を言える人

 

いわゆる「虫の目・鳥の目・魚の目」です

虫の目:議事録で短期の目の役割(草取り、問題早期発見早期対処)

鳥の目:中期で流れを掴む(市場の変化、傾向を掴む)外部のモニターや意見を活用する

魚の目:長期、魚眼レンズで俯瞰する、社長の役目(旅して消費して感じて掴む、次の鮮度)

 

遭難しない様にしましょう。

 

コロナは予想できなかった、突然だったという事はできますが、創業から30年、しっかりと手入れは出来て

いたのでしょうか?創業者から引き継いでより鮮度は上がってたのでしょうか?暖冬対応もできないまま、

在庫を積み上げて出店数を羽のように広げる戦略を見直していなかったのではないでしょうか?

 

それらは、いつしか凪の海面に慣れた航海士のように慢心に浸っていた「自滅」なのではないでしょうか?

ただ、最後に顧客商売はどんな時も不滅であるという話をさせていただきます。

顧客の悩みは決して無くならない

インスタに投稿した内容ですが

(登録お願いします:https://instagram.com/kasikaya)

 

顧客の悩みは環境に影響されない

天候や経済に左右されると思いがちですが、それは一括りに「市場」と見ればそう見えるだけ。顧客は

個々である以上、一人ひとりの視点に立てば顧客の数だけあなたを必要とする悩みが存在しています。

 

悩みの相談相手になれているのか?

ただ、あなたのお店のお客様があなたに心を打ち明けるのかは別です。その様な相談しやすいところに

立っているか?相談しやすい関係を維持しているか?頼りにされる信用残高は積まれているのか?

 

そもそも資格はあるのか?

商売だから相談してくれという人に相談するのか?プロだからという割り切り、専門分野があれば人間性

は必要ない?しかし人間的に好きになれない人と長く関係は続くでしょうか?

 

そもそも皆様は自分の家族に愛されてますか?家族の困っている時に頼られる存在でしょうか?なんでも

割り切れる様に人生は出来ていませんから、困りごとは重なった時間に起きたりします。そんな時に仕事

優先でなく家族の味方になれてますか?

 

家族や友人からあてにされる存在でない人が、職場だけ良い人になれるでしょうか?

 

身近な人の延長がお客様

家族なり友人なり、人に関心を持つ人は相手に質問します。

「何している?」「今日はどうだった?」古い記憶を辿れば、自分が輝いている時代は誰かしら気になる

相手や仲間と過ごしていたと思います。思春期からの生活ではまだ登場人物も少なく好きな仲間と過ごす時間

の余裕はありました。

 

しかし、今は大人になり私達は公私共に多くのミッションやタスクを抱え、自分の時間が削り取られる中で生

活していると思います。放っておくと人のことばかりで自分の時間はなくなりすり減ってしまいます。そんな

中で自分の関心や時間を守りたいと考える人は、人間関係の優先順位を作って割り切った生活をしたいと思う

かもしれません。そこはスタイルの違いですからとやかくは言えませんが。。それで関係はうまく行きますか

 

相手に関心がある、愛情があると示すのに一番良いのは「質問の力」を使うことです。裏返せば言葉の一つ

もかけてもらえない人は、「自分は無視されている、私には関心がない」と思っています。パートナーも部

下も「私はいなくても困らないんだ」と感じています。

 

子供は親が忙しい時に甘えてきます。その心は自分を何と比べても一番大事と言って欲しい、態度で示して欲

しいからです。忙しい時に与える時間はそのまま愛情です。相手をしてもらえることで愛情を確認できるのです。

ですからお客様から悩みを聞く前に、相手に関心を示す「質問」をする事は重要なのです。

 

もちろん大事な人に時間を与える分、それ以外の時間はやりくりしなければいけません。悩みを聞き、相手に関

心を示してあげられる人は時間管理ができる「できる人」なのです。(SNSでもここが難しいところです)

 

お客様にただその時、媚を売るのと普段から質問jをしてしっかり時間を使うのは別なのです、誰でもできる事で

はないのです。できる人は家族にも出来てます。そういう顧客とのつながりを維持できている人には環境による不

調期は訪れないでしょう。

 

お客様は悩みを解決してくれる人に会いにきます、それ以上の顧客満足はないからです。ぜひ皆様、その心

意気でコロナを跳ね飛ばしてください。

 

(匿名とは言え意見交換もしやすいので、ぜひインスタ登録よろしくお願いします)

カンパニー・メン

失業時代

上場企業の第一四半期決算が発表され、通期の予想も出始めています。ほぼ業界ごと赤字の様態が明ら

かになりました。雇用を守るところ、なりふり構わないところいろいろです。なんとも自分を含めた業

界関係者の方々、言葉もありません。

 

どこも赤字の規模が大きいので、業界中の早期退職等の人員整理は免れないと思います。

 

下に紹介するのはリーマンショックの頃を描いた映画ですが、気持ちの整理に少し役立つかも知れません

。劇中ケビン・コスナーが言ってます。「上がる奴がいれば、下がる奴もいる。でも結果は最後にならな

いとわからない」

 

人生は続きます。信念・勇気・熱意があればなんでも出来る!上を向いて行きましょう。

 

「I will win.
Why?

Because I have faith,courage,
enthusiasm.」

俺は勝つ!なぜかって?
なぜなら俺には信念がある、勇気と熱意が
あるからだ。

ではまた次回

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