92:「売上のボリュームを上げる」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

 

専門店様と中小メーカー様の立場で売上底上げ策を考えてみました。

オーソドックスなテーマなので色んな切り口があると思うのですが、

今回はマーケティング戦略の視点でまとめてみました。

 

ご存知の手法と比較しながら参考にしてみてください。

 

Contents

力を注ぐべき3つのポイント

まずはユニバーサルスタジオジャパンを再建された事で有名な森岡

さんの本から参考にしてみたいと思います。マーケティング視点です。

 

戦略のポイントは3つ「知名度・好感度・配荷」

もし手早く売り上げを上げるならば、クリアすべきポイントが3つ

あるという話です。

 

経営者の立場ならどこから手をつければ良いか悩まれると思います。

営業力向上(接客)、企画力(仕入れ)の改善など売り上げを構成

要素は複数あるので、弱点から手をつけるか強みをより伸ばすか悩

みどころは多いはずです。

 

今回は、その様な自社、自店の能力アップではなく、顧客が皆様

のブランドや店を見つけて買うに至るその過程を確かにする方法

についての解説です。

 

つまりマーケティング戦略です。ぜひお客様の立場になって考えみ

ましょう。

 

知名度向上

消費者は何かを買いに行く時に、候補を2〜3思い浮かべるそうです。

好感度の高い店やブランドを皆持っているのです。いわゆるお気に入

りです。

 

ですので、我々が売り上げをより上げたければ、そのお気に入りに入

る必要があります。顧客の記憶リストに入らなければいけません。

 

記憶に残るにはその前提として、ブランドや店舗が知られる必要があ

ります。つまり知名度です。皆様の知名度はどのくらいでしょう?

 

会社を経営出来ていたり、店舗が存続しているという事は最低限の知

名度はあるのでしょうが、知名度の上限はなく、いつでも努力を継続

する必要があります。

 

幹線道路沿いに目につく看板を上げるか、目立つことより顧客が駐車

し易い立地(少し裏通り、女性は軽自動車が多いことへの配慮)を選

んだりします。また有名店のショッパーは目につきますね。

 

SNSをメーカーさんや専門店さんが始める意味はここにあると思いま

す。まずは知ってもらう。SNSでこの知名度向上をどのくらい意識さ

れてますか?

 

(ツイッターにイーロンマスクが経営に参加して、良いねとか足跡残す

は”同じように感じた人達”の10%ほどだと言っています。

 

ですので、インスタのフォロワー数が2,000いけば推定2万人のフォ

ロワー母数があると考えれば、この辺りが目標値になるかと思います。

(Twitterと同じとは限りませんが))

 

となると、SNSで出す内容もそういう趣旨を踏まえた物である必要が

あります。(とは言え、はなから見ず知らずのしかも遠方の潜在顧客

を意識すると難しいので、ご近所の知ってる顔をイメージした方がや

り易いと思います。)

 

SNSで成功される方を見ていると、その地域のパン屋、カフェ、美容

院などの地域商売の方とフォロワーをシェアしたり、一緒に活動した

りされてます。まずは近場の知名度向上。

 

どういうお店とシェアするかにも「個性」が含まれますから、通りが

かりの視聴者には理解の助けになると思います。(個性を知るのは

好きになる前提です、物の紹介に終わらずに仕入れの視点も加えては

どうでしょう)

 

知名度向上で大事なのは”姿勢を崩さない”事だと思います。ある程度、

名前が知れ渡ると一気に広がりますが(ティッピングポイントと呼び

ます)、そのポイントがいつ来るかわからない以上辛抱強く続けるし

かないのです。

 

好感度向上

知名度が上がる場合、店なりブランドを知った人が友人に広めてくれ

流「口コミ」があります。

 

これはただ知ってるから伝えるのだけではなく、”好印象”を併せ持つ

から友人に勧めてみようという事になりますので、知名度向上を加速

させるには好感度向上が必要になります。

 

好感度向上を計る場合にはまず顧客との接点を見直してみましょう。

メーカーさんなら顧客が直接アクセスするポイントは、ECサイトや

HP、インスタライブにポップアップ、また代理人として卸先に接す

るのは展示会や日々の営業活動があります。

 

一つ指摘したいのは、これからの活動に対して「好感度向上」を指

標として組み込んでいるか?です。いきなり刈取的な収穫として売

り上げ視点だけ持ってないかという事です。

 

例えばポップアップ催事を期間限定で行うとして、期待するのは売

り上げ報告でしょうか?知名度の反応ですか?好感度やリピーター

の手応えですか?

 

これが行き当たりばったりですと、数打てば当たるのジレンマで本

当に数多くの能力を浪費しかねません。これでは戦略がないと言わ

れても仕方ありません。

 

この点専門店を運営されている方は、日頃の接客で学んでいます。初

見のお客様でも会話や挨拶で距離を埋めて、心開いていただける関係

になり、やがてアドバイスが功を奏してお買い上げ頂ける様になるま

でのプロセスを日々の経験で学んでいらっしゃいます。

 

ですのでメーカーさんの直接販売は、中々頭で理解しても売上までの

プロセス(顧客の心理的開放)がもどかしく感じる方が多いのではな

いかと思います。

 

これは私の独断と偏見ですが、専門店の方が「好感度を向上させる」

策を考えた場合、それは中々大変だと近道はないと捉える事で、SN

SやEC販売で顧客に接することを難しく考えがちではないでしょう

か?

 

その品質を提供するリソースやSNS運営の自信が無いとなると、手

控えてしまう。自信のないことよりもやれる事だけに注力しようと

される方が多いように感じます。つまり謙虚すぎるのです。

 

一方メーカー様の場合は、好感度向上のプロセスを飛ばしてしまう。

自信過剰で乱暴です。

 

作り手として自社製品に自信を持つのは良いのですが、商品が良け

ればすぐに気に入ってくれるだろう。。と消費者が認知して好きに

なるまでの心理的プロセスを簡単に考えがちです。

 

EC販売を始めるまでは、卸先様がそのプロセスを担当してくれて

いたので学ぶ機会がなかった、また学ぼうとしてもそのきっかけが

見つからないのだと思いますが、ECに在庫を積む以上まなばなけれ

ばいけません。

 

 

配荷率向上

「配荷」、この単語は私も森岡さんの本を読むまで知らなかったで

す。

 

要するに、お客様がその製品を手に入れる事ができるか、そうい

う手段があるかを数値で表す事です。

 

日用品や食料品の担当者であれば、お客さんが訪れるコンビニや

スーパーで自社製品が手に入れ易くする為に競合メーカーと棚の

奪い合いをします。

 

より目立つ所、より手に取りやすい棚の高さなども配荷に含まれ

ます。多くの店舗にあれば配荷の量を提供してると言えますし、手

に取りやすい陳列は配荷の質を提供していると言えます。

 

ドンキホーテの陳列や一昔前のロードサイドジーンズショップも

大量陳列はそのような配荷を意識した提供方法になります。

(高級ブランドでは逆に陳列量はあえて少なくしてます)

 

ですので、このコロナでの厳しい状況を経験したメーカー、専門

店はそれぞれの思惑で配荷の「量」を確保しようと動かれるよう

になりました。

 

昔は資金力がないと複数店舗を持つ事は難しかったのですが、今

はEC販売の敷居が下がったので、取り入れやすくなりました。

 

地方専門店さんにEC販売をお奨めする理由は、この配荷率を引き

上げられるからです。

 

昨今、共稼ぎで家族の仕事を分担して行ってる家族には時間が貴重

です。隙間時間を狙ってあらゆるSNSも奪い合いをしています。

 

好感度を上げる為にもお店はぜひ来店して接客を体験してもらいた

いと願いますが、時間の優先順位が回ってくるかはわかりません。

 

「何かシーズン物の服が欲しいいが時間がない」というお客様には

そういう手段を提供すべきでしょう。(品揃えこそが最高のサービ

スと大きな店舗を構えたスーパーの想いとは裏腹にコンビニに利便

性を見出した消費者心理はお分かりかと)

 

このように知名度、好感に並び配荷が戦略上重要なポイントという

事ですから「配荷」のルートを活用することは有効な手立てと言え

ると思います。

 

配荷が充実しているのが大事なのはわかりますが、アパレル事業

では気をつけるべき点があります。それは賞味期限の短さと季節

を追いかけるので展開品番が多くなる事です。

 

売れ筋かどうかもわからない商品が多数の店舗で販売されるとそ

の後始末問題が出てきます。その点については後で検討する事に

しましょう。

 

3つのポイントを掛け合わせて考える

知名度と好感度

そもそも皆様のブランドや店舗の知名度はどうでしょうか?知って

る人は知ってる、知らない人は知らないww計測するのは難しそう

です。(前述のフォロワー数の増減過程が一つの目安にはなると思い

ます)

 

好感度は如何でしょうか?

 

これはまだ調べる手段はありそうです、聞く事ができます。また人

は感激すると周りに伝えようとしますから感謝の手紙をもらったり、

「あの人が褒めてた」という話を回り回って聞く事ができます。

 

皆様の会社では年間の売り上げ計画はあると思いますが、知名度・

好感度のような指標はお持ちでしょうか?

 

これはマーケティングの指標になるので、そういう部門があれば指

標にしてると思いますが、中小企業ではなかなかそういうわけにも

行きません。

 

自分が買う側になってみればわかりますが、知らない、世間の評価

も不確かなものには飛びつく人は少ない(飛びつく人は統計で6%

ぐらいはいます)わけです。

 

ですので私から申し上げたいのは、インスタやライブなどは売ろう

売ろうと力まずに、知名度を上げたいのか?好感度を上げたいのか?

目的を持って活動して下さいという事です。

 

(初めての人と挨拶するのに名刺を使うと思いますが、それに変わる

手段を用意してますか?例えば、ブランドのホームページには(商

品の紹介でなく、自社の考え方か価値観をしっかり伝えてますでしょ

うか?))

 

そういう具合に目的を持つと、誰に届けたいかも絞れてくるかもし

れません。年齢や収入や家族構成などで対象を思い浮かべて表現に

工夫をすると相手に届けやすくなるのではないでしょうか?

 

このインスタライブで売り目標○○円となると、テレビの通販と同じ

です。揺さぶりや景品を付けたり無理に視聴者の背中を押す行為に

なりますので、知らず知らずのうちに乱暴になってきます。

 

知名度も好感度もない中で売り上げを出すには値引きしかなくなっ

てくるのです。

 

配荷率のわな

こうやって順序立てて考察すると知名度も好感度もない中で配荷率を

上げるのが危険なのが良くわかると思います。

 

メーカーさんがZOZOに口座を作り、初年度に思ったより売り上げが

とれ喜ばれるケースがあります。思ったより知名度もあるし商品力も

あると思うのは当然です、売れたのですから。(飛びつく人はイノベ

ーターと呼ばれ6%〜ほどいます)

 

ところが2年目になると売り上げが下がります。これはどういう事か

と推測すると、知名度があると思ったのは勘違いで、参加したプラッ

トフォームのAIが似たものが好きな人に「お奨め」として配信してた

ので試し買いに繋がっていたのかも知れません。

 

テレビで似たような番組名で同じ演者で流れてくる視聴者を稼ぐのと

同じです。

 

その番組に対する好意がある視聴者でない以上、その番組の視聴率は

流動的になるのは理屈としてわかると思います。

 

ですから、せっかく初年度に売り上げがあったのなら、その点での接

点を線にする様に、購買者と会話をする戦略が必要です。やるべきは

好感度向上です。

 

ところが、2年目の顧客離れに対して数字を目標にしていると、投入

型数を増やしたりします。配荷率を上げるわけです。

 

一般論としてアパレルメーカーの展開型数の2割にしか売れ筋はない

ので、よほどの好感度がない以上、投入の8割は数を間違えると残し

ます。

 

残した8割を値びくと(上代の3割は下げるでしょうから)、値引き

優先の消費が発生します。売れ筋は得手して追加は難しいので、そ

の後の売り上げは足の遅い8割の商材中心の売上構成になってしまい

ます。

 

プロパー中心で、優良顧客を増やしつつ(好感度を上げつつ)知名

度を広める戦略が、いつしか裏返ってしまいます。

 

そうなったのは

失敗の背景

・プラットホームに参加する前に、知名度と好感度を上げる目標意識(戦略)
や具体策(戦術)がない。

・知名度が弱く、好感度が上がる手応えがないまま配荷率を上げて数字を取り
に行く。

 

なのはお分かりかと思います。

 

強引な配荷戦略でもある程度成果が出るのは

・安い商品、衝動買いでもあきらめられる

・多くの人のツボにハマりやすい(日用品の便利商材)

・強力な推薦者がいる(推薦者は自分の推しである、コマーシャルが秀逸)

ぐらいだと思います。

 

新年度の3つのポイントで戦略を立ててみる

まず大事なのは自店やブランドの立ち位置を知ること

自店やブランドを運営していれば「自信」があるはずです。「良い

物を提供している、賛同できるストーリーを発信してる」という

自信です。

 

一方で謙虚さも必要です。「良いものかどうか、心が動くかどうか」

はお客様が決める事ですから、顧客の側から見る視点を失うと傲慢

な運営になってしまいます。

 

見つけにくい場所に、一切妥協しない視点で運営されてる店もあり

ますが、それで商売をしてる以上、そういう裏張りの方法論という

事では同じだと思います。

 

自信と謙虚さをバランスよく持った上で自信の立ち位置を確かめま

しょう。(自分の立ち位置は周囲360度の人に聞けば見えてきま

す。5段階評価の紙を渡して印をつけて貰えば見えてきます)

 

もしダイエットをする場合、日々の体重を測らずに、食べたものの

カロリーを気にせず、運動量も無頓着ならばまず効果は期待出来な

いでしょう。

 

3つのポイントは等しく強化する

これはチームワークで向上させていくという意味になります。

 

今までの説明でどれか一つだけ強化すれば良いのではないとわかる

と思います。一つよりも複数の度合いが向上した方が相乗効果は望め

るでしょう。

 

そういう意味で、それぞれの担当者が求める会社成長の山頂は同じで

も違う方向から山に登っていると理解し合うのが大事になります。お

互いがお互いの仕事を尊重し合えのないと少数精鋭のチームになれま

せん。

 

急に配荷を上げるのは危険だと強調しすぎたかもしれません。かつて

セレクトが代官山や原宿の裏通りから新宿駅ビルの目立つ場所に出て

来たこともある種の配荷率の向上です。

 

圧倒的に買いやすくなりました。

 

注意していただきたいのは、配荷率向上を測る前にセレクトブームで

知名度は上がっていて、同時に知名度に依存しない接客サービスの向

上に務めていた事です。

 

そうやって3拍子揃えたことで思いがけない相乗効果を生んだ事は皆

様の記憶にあるかと思います。(ビームスさんが銀座に初出店で3億の

予算で締めたら10億行っていたと聞いて驚いたのを覚えています)

 

やっている打ち手の効果を振り返る

何が足りないか?何が余計なのか?

今日のテーマの3つのポイントに視点を絞ると、自社の戦略に何が足

りないのか、余計なのかを見つけやすくなります。

 

全体最適

限られたリソースの優先順位や、目標の対立が起こった場合、全体と

しての得られる効果を判断基準にしましょう。

 

認知の担当者も「お金があれば広告を出せる」、好感度担当者が「サ

ービスできれば再来店が期待できる」と資金の奪い合いをしない様に

効果が高い方を照らし合わせて選ぶべきです。(できればお金がかか

らない方法で)

 

打ち手の正しさに努力を乗せて、その結果を共有する

打ち手の正しさというのは戦略です。戦略とは方向性です。

もし自店には圧倒的に来店客数が少ないのであれば、知名度向上こ

そ優先すべきです。

 

その方向が合ってるのか?間違っているのか?を確かめるのが大事

です。

 

方向性(戦略)が正しい上で努力(戦術)になります。口コミなの

かインスタフォロワー作戦か、駅前チラシなのか?

 

戦略と戦術の効果は区別して評価します。

 

一心同体の1年にする

この様に、会社の売り上げボリュームを上げるために3つの戦略視

点を持ち、自社の立ち位置を確認し、顧客の立場ならばと考えて強

化すべき戦略の優先順位を決めます。

 

できればその戦略の成功イメージを短期(1年後)中期(3年後)長

期(5年後)にわけて表に書き込んでみます。

 

短期は出来てなくて恥ずかしいレベル、長期は理想的な姿になるで

しょう。書くことがアウトプットになり書く作業で考えがまとまり

ます。

 

また書いたらそれがご自身への約束になります。実行しなかったら

自分への裏切りです。

 

これをチームで共有し同じ山に登るイメージを共有します。一年後、

何合目まで登れているか?楽しいイメージ実績を追いかけます。辛

くなる登山には誰も着いてこないでしょう。

 

配荷率の「質」

アパレル特有の問題として配荷する内容が大事と申しげました。こ

れは配荷の「質」になると思います。

 

アパレルは食事に例えるなら、普通の方はカロリーのあるおかずだけ

が食事ではないでしょう。

 

ボディビルダーのように目的がはっきりしてる人は同じメニューで食

べ続けますが、一般の人は無理です。

 

食事は楽しく食べると考えれば、いろんな食材がその料理人の腕で工

夫と共に提供されるのが理想的でしょう。

 

ですので、色んな商品のバリエーションは否定するものではありませ

ん。専業として扱うなら、それなりのメリットが消費者側にあるのが

前提です。(生地や工場に特性があり、その記事指定、工場指定がブ

ランドであるとか)

 

物理的に型数を絞るのはアダストリアさんの様に什器をそもそも減ら

す。ECに投入型数を競合先より増やさないなどの縛りをつけるのも

方法です。

 

質の見抜く方法は、未来を当てることなので基本的は不可能です。し

かし、方法論としてはテスト・市場調査になります。

 

S・A・B・Cに分けてしまうとB・Cは不要と考えがちですが、あまり

細かく見るのはお勧めしません。大事なのはS・Aを見抜くテストをす

る事です。

 

アパレル特有の「売れる」感覚が優れているタレント(才能)を集め

て事前テストをするのが一番です。

 

これ以上の、詳細は他の記事で書いてますので参考にしてください。

 

ここで取り上げた配荷の意味は、認知も好感度もないまま配荷で勝負

する無謀さを説明しました。配荷で売り上げ目標を達成しようとする

戦略もキャッシュの流出につながるので注意しましょう。

 

前例のドンキホーテやジーンズショップも認知があるから大量陳列して

いたと思います。順番やバランスをお考えください。

 

今回は以上です

ではまた次回

 

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