こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?
今日は必見の動画を紹介します。決して新しいものではないのですが、特にマーケティングでは伝説級の
動画です。喋ってる方は実業家で、スピーチの場は「TED」です。TEDは”広める価値のあるアイデア”を
オンラインで無料公開してる取り組みで1984年から始まったものです。
Contents
TED
過去の有名なスピーチは日本語訳もついています。短くて3分、長くても40分ぐらいまででしょうか。
誰しも身近に”スピーカー”と呼ばれる、思わず聴き入る話上手な人がいると思いますが、TEDには極上の
アイデアを持ったスピーカーが絶えず登場し続けています。
毎年、5日間ほど講演会が催されますが、登壇するにはオーデションで選ばれる必要がありますし、世界
のどこかで行われる会場までの移動費も自腹です、しかも会費は有料で100万円ほどです。
前回の記事で、情報システムの話でGoogleがオープンソースで作られたLinuxを活用している事を取り上
げましたが、TEDも同じように世界中の知恵を善意で持ち寄理、それをオンラインで共有するスタンスで
す。
富める者に富が集まり、富が再分配されず資本主義が息苦しくなっている今「シェア経済」「限界費用ゼ
ロ経済」と言われる動きが広まってきています。自分が持っている物を周囲と無償で共有したり、ウーバ
ーのように空いている時間や部屋を費用と交換する経済に移行することを指しています。このTEDもその
ような動きに重なる所があります。
TEDで最も有名かつ短い動画と呼ばれているのが下記です。スピーカーはミュージシャンで実業家の方。
題目はリーダーシップとフォロワーシップの関係です。きっと皆様の店や会社で役に立つ話です。時間は
3分!
サイモンの輪
今日話題にしたいのはサイモン・シュネック氏のスピーチです。このスピーチは有名になり、その中で
出て来る概念図から「サイモンの輪」と呼ばれるようになりました。本も出ています。
まずは動画をご覧ください、有益な18分です。
リーダーは本質に重きを置く
これが「サイモンの輪」です。本人は「ゴールデンサークル」と説明しています。人はより本質的な「
WHY」に影響されると言っています。真ん中の部分です。
このブランドは、またはあなたのお店は「何のために」存在しておりそこで服を販売する「目的は何な
のか」が大事だという事です。また同時に皆様は提供者として「何を信じているのか」?それこそが、
ブランドやお店に一番重要だ、つまり消費者が最も興味を示す部分だと言っています。
多くのCMは外から内に説明する
ゴールデンサークルは3層の円になっています。一番外側が「何を」次が「どのように」一番内側が「な
ぜ」です。そして一番内側が大事だと説明しました。
多くの宣伝や説明は外から内に向かうことが多いです。「これは○○をするための商品やサービスで、それ
は機能的でで消費者のことを考えた丁寧さや親切心で提供され、そのため外観は素晴らしくまた落ち着きが
ある店内でお買い求めいただけます。そして、お手頃でもあります。きっと満足していただける○○です、私
どもの自信作です。ぜひお試しください。」という具合に「何を」から「どのように」の説明に大半を費やし
ます。
しかし、この説明はありきたりで、選挙の候補者や新車の売り込み、スーパーの特売も「何を」という細か
な違い(価格差、機能性、利便性。。)を連呼しても心には響かないのです。情報が多い世の中では耳から入
って耳から抜けるのが普通なのです。
説明の順番を逆にしてみる
ここでサイモン氏は説明する順番を逆にすることを発見したと言っています。有名な企業やリーダーは必ず
ゴールデンサークルの内から外への順番で語りかけているというのです。例に出すのはアップルの宣伝です。
「我々のすることは全て世界を変える信念で行っています。違う考え方には価値があると思っています。だ
から世界を変える手段に美しいデザイン、シンプルな機能性、ユーザーフレンドリーなUIを持ったデバイス
を開発しました。ぜひ手に入れて我々の世界観を感じて下さい。」
このように内から外に説明した方が、圧倒的に説得力が増すことをサイモン氏は見つけ出しました。内側の価
値感は心にドスンと響き、耳から抜けることがないのです。
キング牧師があれほどの人を集めて歴史に残る演説をしたのも、ライト兄弟が初の有人飛行を成功させたのも
(同時期に同じような人は多数居たにもかかわらず)彼らはこのゴールデンサークルを使って「なぜ」から働
きかけたからだという説明です。
ゴールデンサークルは脳の構造にリンクしている
ここの説明が秀逸なのですが、なぜ人は「WHY」を重要に感じるのか、それには脳の構造に理由がある
からだそうです。脳の外側は新皮質と呼ばれ進化の過程でも比較的新しくできた部分で、この外側は言語
を理解します。
ですので「何を」というカタログに載っているような細かな説明や機能紹介を人間は新皮質で理解します。
一方で、脳の中枢部は原始的な時代から存在した部分で(哺乳類以前)、この部分は言語機能を持たない
のです。
ですから、中枢の大脳辺縁系で共感したことは言葉では表現されません。大脳辺縁系が反応すると、「言葉
では表せないんだが。。何かグッとくるものがある」とか「ピンときた、一目惚れ、腹落ちハートを掴まれ
た」という表現になります。
脳の深いところで共感を得るとこのような表現になるのです。脳の奥深いところで「納得」を得るには表層
的なことではなく”本質”である「WHY」を語る必要があるとサイモン氏は言ってます。
少年ジャンプはレコード記録を出す少年たちが成長していく作品を多く出していますが、それらの主人公は
シンプルな目的をよく口にします。「俺は世界一の○○になる!」そこに周囲が共感する、なぜかリーダーの
周りに集まってくる構図はゴールデンサークルそのものです。
そう思うと、ユニクロやソフトバンク、メジャーリーグに挑戦する選手たち「はっきりした目的、目標」を
繰り返し主張するリーダーや挑戦者には大きな人を巻き込む力があるのがわかります。魅力的に思いませんか
?
動画には、直感的に判断する人たちはイノベーター理論にも紐づけた解説が出てきます。イノベータ理論は
以前記事にしました。ご参照下さい。
本質が大事な3つの局面
組織は理念から始める
経営者の立場で、ゴールデンサークルを活用するには組織の目的「WHY」を語るのが大事です。何のために
作った会社なのか、ブランドなのか、店なのか?その事業でどうありたいと思っているのかという志。「お
客様に奉仕したい、オシャレにしたい」というようなわかりやすい言葉が一番です。
また創業者として信じていること、信念をシンプルに語るのは重要だということです。「私には夢がある、
自分の子供たちの世代では白人と黒人が同じバスに乗っているのを見たい」キング牧師のシンプルな夢に
30万人もの人が同調したのですから。
ブランドは本質コアバリューから
メーカーの人はブランドを持っていると思いますが、こちらも「コアコンセプト」が大事です。誰に喜んで
もらいたいのか?その人たちはブランドのどこに共感するのか?これがシンプルに言えなければいけません。
延々と性能を説明して、最後に競合より千円やすいという程度では感動は得られません。指名買いは起きない
でしょう。
自ブランドが持つ、魅力の原点を確認し、内から外へとメッセージの出す方向を意識しましょう。スポーツの
フォーム固めと同じです、繰り返してチームで出来るようにしましょう。
SNSは本質視点で
多くのインスタグラムは繰り返し新作の投稿や、ライブ配信での着こなしの説明、さらにはクーポンの告知し
かしません。つまり「WHAT」ばかりです。これを毎日何回もアップすればEC売り上げが上がると過信してい
ます。
私が見ていて、大脳辺縁系で納得感が湧き出る投稿は、(地方専門店ということもあり)仕入れをしている
オーナー自身が「どのように着てもらいたいのか」「どのように服を着ることの豊かさを感じて欲しいのか」
を自身が被写体となり表現しているインスタグラムです。
自分が仕入れてきて、自分なりの思い入れで自ら着用し、ちょっとした着こなしの工夫を入れて、日常感を
出している画像です。他所様の画像を見るのは皆様も第三者の立場なので、同じように心で感じるインスタが
あると思いますし、そういう先のフォロワーになっているではありませんか?
人を感動させようと、無理に仕掛けるのもすぐに馬脚が現れてしまうものですが、ゴールデンサークルのよう
に内側から考えてみると「自分たちらしさ」に気づくことができるのではないでしょうか?ブランドメンバー
や店内でこの動画を見て話し合いをしてみて下さい。ファシリテーターが必要でしたらお声をかけて下さいww
ではまた次回