80:「店はお客さまのためにある」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

コロナの影響は長引いております。ワクチンが今後の希望となってますが、

もうしばらく時間がかかりそうです。皆様もご苦労されていると思います。

 

「こう言う時期こそ、商売の原点を思い返そう」と言う様な内容で社内を励

ます経営者も多いかと思いますが、今日はカシカヤなりに原点をまとめてみ

ました。

 

お手本にしたのは下記の2冊、個人的にバイブルにしてる本です。

 

商業界の本です。本はアマゾンでは売り切れてる様ですのでKindle版の方が

価格的に良さそうですね。

 

ジャック・ミッチエル著、コネチカット州でメンズ&ウイメンズの店を経営し

ている著者の熱い思いが書かれた内容です。アパレル専門店の経営者が書いた

本であり、そのリアリティもですが「顧客に対する忠誠」を絶対的経営方針に

している意味でも貴重な本だと思います。

 

04年の本ですので中古本からお買い求めください。

 

Contents

商訓50

倉本長治先生 商訓50抄

私が好きなパートをいくつか紹介させていただくと(私の好きな部分のみの抜

粋です)

 

2、「店はお客様のためにある」

店は自分のためにあると言わない理由は、お客の側から商売を考える哲学の発

想である。店を自己の利益追求の手段としてしか考えない発想では、お客も利

益追求の手段にしかすぎないことになる。

 

5、「真の繁盛は繰り返し」

商店の繁盛ということは、ただ一人のお客様が繰り返し繰り返しお店に買いに

来てくださることの積み重ねに他ならないという簡単な事実を忘れている人が

多い。

 

6、「店の赤字は罪悪」

世の中のために店を経営してるのである。そうあるためにこそ、どの店も存在す

るかぎりは、利益を上げなければならない使命を持つ。儲からない店は、恥ずか

しい店。

 

17、「お客様という親友」

多くの商人の一つのよく無い癖は、同業者であるとか、取引がある、同じ町内と

いう理由だけで付き合いを深めたりする。その前に何よりも先にお客様を友とせ

よ。

 

君の商売を反省したり、率直な苦言を呈してくれたり、改善を提案したりするのに

役立つ友達を君は持っているか?

 

26、売れる事と覚えたり

売れるという意味は、人々がその店を信頼し、そこで買うことが安心であるか、楽

しいか、得であるか、便利であるか、と思っていることにほかならない。正しい商

売の元に、よく売る店とはそれだけ社会に貢献しているのであると言えよう。

 

 

倉本先生は82年に亡くなられており、これらは過去の執筆活動の中からまとめられた

ものです。他にも魅力的な抄がありますが、全文を読んでいただけないと意味合いを

損ないますので引用はこれぐらいにしておきます。

 

繰り返し読みたくなる為になる内容ですので、ぜひ1冊手に入れることをお勧めしま

す。

 

 

お客様をハグしよう

期待を上回るハグ

コネチカット州で1958年から営業を続けるミッチェルズは、オープン時は3型のスー

ツと無料のコーヒーポットからスタートしたと書かれています。

アメリカ人の”ハグ”は映画やドラマでもよく見かける習慣ですが、文中では顧客への

親近感を表すとともに、「何でもご相談ください」という積極的な姿勢も感じとれる

意味あいで経営哲学を表すものとして「ハグの精神」は繰り返し強調されています。

 

店はニューヨークの郊外に位置する立地です、紳士服からスタートしたミッチェルズ

の顧客はマンハッタンの企業に勤める会社員も多くいらっしゃいます。そこで出版さ

れた当時でも、ハグの精神として駅前に顔馴染みの顧客の朝の出勤に合わせて無料の

新聞とコーヒーを提供する店のスタッフを配置してるそうです。

 

そんなサービスを受けると嬉しいでしょうね?しかも、そんな場所でハグしてもらえ

るとは思いませんから驚く事でしょう。(このお店は必ず名前で呼んでもらえます)

 

お金をかけなくてもハグできることは多い

どの様なサービスをすれば”期待を超えたサービス”になるかは是非本を読んでいただ

きたいのですが、ニューヨークの大企業ビジネスマンが顧客に多い事からして、顧客

から求められるのは急ぎの事態や、冠婚葬祭のトラブル、旅先での困りごとなどがあ

る様でそれらの解決に全力を尽くす様が描かれてます。

 

これらはお手本とするにしても丸写しする必要はなく、自店の顧客の「困りごと、不

自由な事」を連想すれば自ずとアイデアは出てくるはずです。先回りして考えることで

行動は促されるのです。

 

ミッチェルズの描く新しいサービスとは

●先回りして行動する(反応する)

●人間関係(物のやり取り)

●顧客本位のサービス(店主体のサービス)

●顧客を非常に満足させる(顧客を満足させる)

●期待を上回る(期待にそう)

(  )内は古いサービスの考え方であり、それを上回らなければいけないと説きま
す。言われて反応するのは当たり前の範囲です。
先回りした発想をするには、顧客の情報が集まってないと出来ません。家族構成や仕
事関係、お買い求めいただいた過去リスト。ちょっとした会話から大事にしてる事や
価値観が伺える様なメモも集めています。
ミッチェルズの店内に入ると、「今日は何をお探しですか?」と聞かれることは無い
そうです。それよりも「仕事の調子はどうか?」と聞かれるそうです。無理に情報を
聞き出すのではなく、顧客から話しやすくしてあげる事で仕事話から家族のことに繋
がっていくそうです。
自分に興味を持ってくれる人には打ちあけたくなるものです。そうやって得られた情報
はデータベースに入り、期待をうわ回るサービスに活用されます。
その様な感動の先に「購入」があると言っています。

 

ハグ出来る体制を作ろう

「顧客➕人間関係➕ベンチマーク達成=クライアント」

ミッチェルズの話に皆が耳を傾ける理由は、長年そのサービス品質を維持している事で

す。サービス品質が維持できていると言う事は3つの軸がある証明になっています。

 

1、理念・求心力

2、利益が上がっている事、利益の再投資

3、組織として経営されている、ファミリーが経営に従っている

3つに軸で一番大事な理念には「ハグの精神」があり、創業者自ら徹底して店頭で行っ
ています。忙しい時には全社員が店に出るのです。
無料のコーヒーに代表されるサービスも経費である以上、利益の再投資になります。利
益を出すことはハグと同じ様に徹底されています。ゆえにお店のクライアントと呼ぶに
は上記の公式で表されます。
気に入っていただいて、購入してもらうことでハグは達成されるのです。
この本を読んでいて、昔聞いた仏教の教えを思い出したのですが、「一粒の種を手にし
たとして何処に撒いても良いわけでは無い。田に撒いてこそ穂が実りその恵みをそれぞ
れで分け合う事が出来る」と言うものです。
最近はSNSでお金配りの風潮もありますが、田圃と言う環境に与えてこそ布施の精神に
合致すると言う意味です。何の志のない人にお金を与えてもそこに実りはないのと同じ
く、人間関係が出来ていないお客様に値引きや物を振る舞う事で気を引いても、それは
道端にタネを撒くような物で、目は出ず、育たないと言う事です。
そう言う意味では、一見のお客様もまずは店内でくつろいで頂き、繰り返し来店して頂
く中で人間関係が生まれてくる。そう言う田圃の環境にハグを喜んで頂く事で信頼の実
りが多くなり、クライアントの存在へなって頂けると言う事でしょう。私はその様に理
解しました。
組織についてはまた別の機会に紹介させていただ来たいと思いますが、例え身内であろ
うとも「彼でなければ出来ない」分野を一つは持っていないと経営陣に迎え入れられる
事はないそうです。
ファミリービジネスであるが故に、哲学や理念は共有しやすいと言う利点もありますが、
欠点は家族と経営の混同です、その様に諸刃の剣です。家族間の問題(多くは役割分担
と責任の範囲)と従業員を含めた経営課題を分離する事が秘訣だそうです。

始末を付けよう

意味のある支出と意味のない支出

この2冊ともしっかりと強調しているのは「儲けなければ存在意義は無い」という点で

共通しています。

 

しっかりとしたサービスを提供し店の品格を保つにはきちんと定価をいただく必要が

あるのです。そう言う意味で理由のない経費は認めないとはっきり書いてあります。

 

サプライズのようなハグは歓迎されますが、きちんと焦点が当たっていないハグは認め

られないのです。お客様の価値観や必要性に沿ったところにハグは行われるのです。や

みくもにサービスをする側が気持ちいいからと言う理由は許されないのです。

先ほどの種まきの話と同じです。多くの地方専門店では出張経費などが頭痛の種ですが

、具体的にイメージする対象顧客の顔が浮かばないのならその出張の必要性は薄いのか

も知れません。逆に経費を掛けるところには掛けるのが重要な事は申し上げるまでもあ

りません。

 

 

41、「金儲けと商売の違い」

商訓50に定価について書いてある部分があります。もしお店に死に筋の在庫があれば、

ほとんど利益は載せずに販売するだろう。それと同様に売れ筋も(お客様に信頼され必

要とされている商品)も薄利なのが原則だと書いてあります。

 

 

商売をしているとボロ儲けの機会に預かりたいと思う事があるが、しょせんその様な事

が続いたり度々あったりはしない。一方、商売とは繰り返しである、永遠に続ける事が

出来るところに意義がある。と言う事です。

 

お米や水は薄利で提供する商品としてイメージしやすいですが、お店の中でそう言う商

品(私たちは核商材と言ってました)はありますか?

 

 

商売は根底には喜んでいただきたい、楽しいでいただきたい、得をしていただきたいと

思いつつも、いろんな思惑が去来していつしか道を外れることもあるかと思います。し

かし、長く商売をされた賢者の言葉には迷いはなく、正しい道を歩むことで滅ぶ事はな

いと説いています。

 

コロナの影響や人口減少もあり、道ゆく人は少なくなる環境ですがそうゆう時でも、こ

れらの言葉を唱えれば新たな活力も湧いてくるのではないかと思います。ご参考までに。

 

ではまた次回

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