66:「今の気分と『モード後の世界』を読んで」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

Contents

身体を動かしたい

Go Toトラベルで普段泊まれないホテルに泊まってみたい!とかお得だ!などど、雪崩を打つ様に

皆さん出かけてます。それは体を動かしたいですよね、普段してたことが出来ないとほんとに渇望

します。

 

この先、何があるかもわからないと思えば取り敢えずは行楽に向かうでしょう。物販にはまだ戻っ

て来ないでしょう。冬は通常の寒さと長期予測もニュースで取り上げられつつあるので、「適品」

があれば数字は取れると個人予測しています。

 

世界中が踊ってみよう

「世の中を明るくさせる歌」があるとすると、私の記憶ではAKBのフォーチューンクッキー、ファ

レル・ウィリアムズの「Happy」あたりが思いつきますが、今はこれでしょう!

 

世界77カ国で配信No1! 曲名「ダイナマイト」に#パブリックで検索すると、世界中で踊ってら

っしゃいます。アラビア語にロシア語の書き込みもあります。こんな感じでオリンピックが迎えら

れると良いですね!今は身体を動かしてる方が楽しい。

 

本家はこちらBTS!「スキヤキ」以来約60年ぶりのビルボードNo1。

 

彼らに学ぶことがあるとすると、SNSへの取り組みです。これも表彰されていますがほぼ一日中、

その日の出来事をツイートしてます。ビートルズ来日の時はホテルの前にファンが占拠し、彼らは

ホテルから出れませんでしたが、今は、ホテルに乱入しなくても私生活を含めてアーティストがS

NSを更新してくれる事でファンは満足出来ます。(@BTS_twt)フォロワー2928万

 

1曲のパフォーマンスを仕上げるのに2ヶ月、多忙な時間を縫ってツィート。マイケル・ジョーダン

が言うようにトップに立つ人は見えないところで努力してます。商売人として見習いたいところで

す。

 

 

さて今日は本のご紹介から、UA上級顧問の栗野氏が最近出版された「モード後の世界」です。テ

ーマは未来のことですが、多くは私たちと同時代の80年台から今日までの思い出に割かれてます

ので、すぐにタイムスリップ出来ます。

良き時代

服を買わない時代

今も社会潮流を見定めて社内にフィードバックをする仕事をされているそうです。そういうお仕事

の特徴もあり時代の掴み方、その表現にはなるほどと思わず膝を打つ様な文言が多くあります。私

に響いたフレーズを小見出しに使わせていただきます。

 

この40年間の中で大きな変化は物を買わない時代への変化だということです。20世紀後半の消

費は「脅迫型」だったと、これまでのものを否定して次に登場する物を肯定するファッションゲー

ムをさせていた。それに限界が来たと言ってます。

 

またコスプレ社会の登場で、自分の尖った部分は時と場所を選んだコスプレ表現で満足出来てしま

う。そうなると日常の服には平凡でもそれ以上は求めなくなっているんだとの見立てです。斬新な

解釈ですよね?

 

 

栗野氏のメッセージに共感できるのは、消費者を決して否定しない事です。世の中は変わる、消費

者も変わる、ならばそういう人たちに選ばれる存在になれば良い。そのために何をすべきかを考え

続ける、そうすれば廃れる事は無いと勇気づけてくれます。

 

脅迫型のトレンド消費が通用した40年間を楽な商売が出来た良い時代と考えれば、これから考え

続けることは辛いのかもしれませんが、いろんな服が登場しそれにまつわる文化を味わえたこの時

代は、供給過剰の罪深さを隠しつつも供給と需要がマッチした愛すべき時間だったのでしょう。

 

この本で役に立つのはバイヤーの方だと思います。ひらめきと買い付けの葛藤など参考になるヒン

トがたくさん書いてあります。

 

変わる事と変わらない事

ファッションは問題解決であり人間の尊厳

人間が自然界で生きていくために必要な寒暖差から身を守り、機能性などで快適さを得るなど、基

本的には問題解決のために服はあります。一方で、そもそも人の体は美しい物であってファッショ

ンはその人らしくいられる為の装置でもあると書かれています。

 

その人なりのたたずまいであるとか、存在感であるとか、派手に着飾って差を表す時代ではなく、

微差によって違いを知らしめる時代になってると。なかなか聞く機会のない時代性を読み取られた

話で感銘を受けました。

 

流行より、マイビンテージ

これも感銘を受けたストーリーですが、流行に乗っているかよりも「その人らしさ」が上位概念だ

という話です。同じ物を着続けていても、ちょっとした工夫で今風にも見える。農家のボロは新し

く買えないので繕って繕って着続けていた物が、今ではファッションとしてビンテージ扱いされて

いる。

 

 

物を大事にする事がエイジングに見られている、そう考えるとファッションは自己発見につながる

と、深いですね〜と感激しました。お客様とこういう話ができると良いですね。

 

新しい物を買うと古い物が勿体ない、古い物を捨てる行為に抵抗を持つ消費者が増えている中で、

栗野氏の話をベースに自分なりの考えを持てれば、そういう悩むお客様にもアドバイス出来ますね。

 

 

職人という上位概念

海外の人と話していると、日本にラグジュアリーは無いのか?と聞かれるそうです。栗野氏の考え

は士農工商のはっきりした身分格差が西洋よりもなく、ゴージャス感の要求よりも職人に対するリ

スペクトの方が高いので、職人仕事への尊敬はワビサビへと繋がっている。だからメーカーやブラ

ンドの方向で発展はしなかったと言っています。

 

これなんかも、長くファッション業界にいて七不思議の様な事の解決が得られた気がしました。

 

商売人の矜恃

小さく売るから小売

毎日の信頼をもとに積み重ねているから小売が存続できると語られてます。それには八百屋もUAも

エルメスも変わりが無い、共に小売なんだと。

 

 

これから、店頭以外の販路で物を提供していくであろうが、この小売の姿勢から外れる様なことは

あってはなら無い、小売店としてどう伸ばしていくかと考えることが大事とおっしゃってます。こ

の言葉も大事だと思いました、私はアパレルに7年いた事がありますが、こういう話は出てきませ

ん。

 

セレクトショップが成長できたのも、このお客様視点が強く支えたのだと思います。

 

小さな成功体験

商売を生業にしてる以上悩みが尽きることはないともおっしゃってます。売り上げに在庫、反省の

日々。。それでも日々発見があり学びがある。それらは小さな成功体験なんだと、それを積み重ね

るうちに苦労も楽しくなる。

 

とにかく問題からは逃げない、直視する事が1番の解決方法と学んだと書かれてます。気休めに聞

こえるかもしれませんが、不可能に押しつぶされるより可能なことを掘り進む方が良いとは正論だ

と思います。

 

長い時間、商売を継続しなおかつ大きくしてきたと言うことは、何かの秘訣があると言うよりも、

この様な「心構え」にこそヒントがあるのだなと思いました。

人に歴史あり

 

アメリカの洋服店が倒産する理由

これも気になる話題ですが、バーニーズを始め、西海岸の有名店、その他もろもろ大量閉店のニュ

ース。この先この流れは日本にも来るのか?しかし、栗野氏ははっきり言って言ってます。「潰れ

るには潰れるなりの理由がある」

 

第一に接客が悪い、サービスがなってない。第二に品揃えが悪い。この二つが揃うとお客さんは絶

対に支持しないという事です。なるほど!ビジネスに意外性はないんだと、原理原則を貫けば遅れ

ることはないんですね。勇気づけられます。

 

動機が純粋であること

文中にUA社会長の重松氏の言葉として書かれてますが、多くの先進企業があったにもかかわらず、

市場から消えていく会社も多かった事について、理由は様々あるが少なくとも動機が純粋であれば

結果に裏切られる事は無いと。

 

私も業界人であり、過去に直接お話を聞く機会があったのですが、それに似た事は聞いた事があり

ます。お二人には私利私欲がないと金融機関の方が評してるのを聞いた事があります。ビジネスを

大きくしていくとお金も集まってくる物ですがそれをそのまま顧客のために再投資していくのは出

来そうで出来ない(自分が満たされるとそこで満足して足を留める)と言う話を思い出しました。

 

世代的にビートルズが原点だそうです。LOVE&PEACE。陳腐に聞こえるかもしれませんが、貫き

通した方々からは「パワー」を感じます。以前いただく機会のあった会長のメールフッターには連

絡先の下にこんな文字が。。「All You Need Is Love」愛こそ全て

 

40年の業界記憶が浄化された様な気になれる本でした。皆様にもお勧めいたします。

ではまた次回

 

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