67:「スーツが無くなる?『帆船効果』があるじゃないか」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

今日は、繊研新聞に連載されてます「マクロメガトレンド分析」を読んでの感想を述べたいと思い

ます。10月1日掲載の「ウイズ&アフターコロナ時代の進化戦略」についてです。

Contents

衝撃の指摘

目に留まった指摘事項3点

・スーツ市場の衰退ペースが飛躍的に早まる

・インバウンドはなだらかにしか回復しない

・経済的低迷によりさらなる下方圧力がかかる

よって短期的に市場の収縮が起こると書いてあります。

 

 

21年で8兆円程度まで、短期的に5〜10%の収縮の影響がある。試算によると業界18000社に

対して2000社の淘汰もあり得るそうで、そうなると9社に1社です。縮小する額が1兆円なので

1000億クラスの企業が含まれていてもおかしくない。船は残っても船主と船員が変わる可能性

もありますね。。

 

これとは別に昨日見かけたツイート引用です。縮小する市場の中でも序列の変化が起こってます

。時価総額が全てでは無いにしても、株価が「将来性」の評価とすれば意味ある比較だと思いま

す。ハニーズの価格帯と対象顧客を考えるとその戦い方も参考になります。

 


以下は個人の意見になります。と言うか独り言です。

 

回復のイメージは大皿型

広範囲なので時間がかかる

コロナの影響は範囲が広いのが特徴です。何せ世界中ですから、自分の国だけの問題では無い。

世界中が回復しないと以前の様に車(経済の代名詞)は売れないわけです。

 

 

リーマンとの違いはリーマンは資産に不良債権が混じり込んだので、ストック(資産)全体が

傷んだので大変でしたが、今回はフロー、お金の流れが途絶えた問題。正座しすぎて足が強烈

に痺れる、血液が回らない様な状況です。(修行が足りない?)

 

 

アパレル業界は素材の調達からアウトレットの最終消化まで資金の回収が長いビジネスモデルで手

元に現金が少なく困ることになりました。クイックレスポンスで回転率を上げた109全盛時代もあ

りましたが、今やジワジワと広がるセール比率に合わせてまとめ生産でコストを下げる(反面、在

庫を抱える)方式を選択し蟻地獄へと嵌まり込んでしまいました。

 

そのビジネスモデルで店舗数を広げてきたので、出店の立地を確保してきたのでその事自体が全て

悪いことではありませんでした。しかし、自体が一転して逆回転した場合、店舗数分の在庫をどう

にかして換金しない事には手元現金がありません。しかし狼狽売りすれば値崩れのジレンマにハマ

ってしまいます。

 

これが行き着く先は、現金がなくて次の商品調達する手段は信用調達になります。信用を基に少し

でも支払いの先伸ばしで、今まで聞いたことのないシーズン末払いなんて噂も。。貸す方も貸す方

ですがどうにかしてラインを埋めたい、ここで倒れられたら困る。。なのか業界を支えるために

の美談なのか。。その心は知る由もないです

 

自分の経験では、ギリギリまで追い込まれてもオーナーは手元には貯め込んだ定期預金や不動産

はあるもののそれには手をつけたくない、きれいに支払いたいと言う場合がほとんどでした(規

模が小さな話ばかりですが)。だから大抵拉致があかないのでした。

 

そんな「調整局面」はこれから深刻化して年明けにもいろいろニュースになる、また補助金返済の

2年後までにじわじわ出てくると聞いています。(噂話がしたいわけではなく、調整に時間がかか

る構図であると言う話です)

 

コロナが治れば元に戻ると考えるか、このビジネスモデルそのものの価値を問われている、これを

キャッシュが回る回転型に変えることができると信じて将来を受け止められるか、人によって考え

方が違うところです。

 

日本経済回復のイメージはV字回復型やU字型と推測されてきましたが、どうやら大皿型(底は浅

めだが凹みが広い)なんだろうと考えています。イタリアやスペインの様に自国の産業が乏しいと

観光産業の役割は大きく、日本も同様の路線に舵を切ってますので諸外国からの流入は増やしたい

が、それには4年程度の段階的渡航緩和を経る必要があるでしょう。

 

 

的中したGO TOキャンペーン

一番苦しい5月に、「海外に行けない富裕層という新たな市場がある」と非常にポジティブな見方

を披露していた星野屋リゾート社長は、GO TOの活況でその見識が正しいことが立証されました。

 

金持ちばかりが得をするの様な社会主義的な施策と批判はあるものの、あと4年はかかる経済回復

までの期間(その後も)閉塞する経済環境の中ではトップ約10%の上位顧客に集中してアプローチ

することがいかに重要かを証明して見せました。(苦しい間は彼らの資産と好奇心に頼るしかない

のです)

 

時間とお金を持ってる人に気持ちよく使って頂く、この流れを補助金や値引きに頼らず前向きに持

続させることが大事になります。(この方々を引き寄せるためにブランディングが大事になり、こ

の方々を見極めるためにペルソナが必要になります。これらは水面下の努力として常識になると思

います)

 

世界的な金余り(投資先が無い&フローを補う金融緩和)のために、流れ込む資金により絶対破れ

ない風船の様なバブル株価になってます。お金持ち、資産がある人にはこうやってガソリンが供給

されますから気持ちよく使って頂く。それしかありませんね。

 

その一方で、サラリーマンを始め労働環境が安定しない人の雇用環境は悪化しますから、階級の二

極化は進むと思います。販売している商材はどちら向け?なのかで大きく対応が変わることでしょ

う。

 

(新しく成功している企業は極端なほど社員数が少ない。一方、旧来型の企業はウジャウジャと人

がいる。新しい企業は新たな定額サービスシステムを土台から利用してるから少人数で回せる。旧

型大企業は思考が人海戦術)

 

低価格向けの販売は競合との価格競争に加え、高騰する人件費と物流費が襲いかかって来ます。特

に物流費は洒落にならない事が予想されています。(サスティナブルや物のシェア経済で流通量が

爆発的に増える予想に対して、輸送のインフラは従業員高齢化などで弱体化するからGAPが大きく

なる→高騰化?)安い物の取引やシェアは増えるのですが、それらを扱って利益を出すには十分な

準備をしたプラットフォームが必要です。

 

一方、上位顧客向けの商売も難しいです。顧客の数が少なく実態・価値観が見えにくい、また潜在

顧客を探りあてたとしても保持し続けるコミュニケーション難易度を克服しなければいけません。

(真似しにくくて移植し難い)

 

新聞で予想されている、アパレル消費1兆円の縮小があるとすれば、以上の様な足元の二極化の

地割れに飲み込まれる!か、全てに疲れ果てて、ついていく努力の諦めにより起こりうるのだと

想像しています。

 

気持ちの回復、希望

イギリスや日本の様な島国では、小さな市場ですが和気藹々と生きてく風土があると思います。世

界中では海続きか陸続きで商売の拡販をしないと生き残れないところもありますが。島国ゆえの多

様な文化の吸収で楽しむところがあると思います。

 

ゆえに、江戸時代の様に貧乏だけど粋を楽しむ「明るい生き方」苦しい時でもなんとかする工夫は

これからも増えてくるでしょう。途方に移住したり、新しい暮らし方を始めたり楽しむ事には事欠

かないと思います。

 

経済の枠組みで組織や財産を構えた人がビジネスモデルの変化で資産の解約を迫られる事になる。

しかし、庶民はそれなりに明るく楽しんでる。

 

NHKの受信料が高くてテレビを置けず仮面ライダーを見れない低所得家族のかつての悲しい話は、

ガースー総理が悪の軍団にお灸を据え、携帯料金値下げでYouTube視聴が出来て明るい話へ変わる

事でしょう。。(期待してます)

 

今回のアパレル業界調整問題で、そこに巻き込まれたり、自己破産をせざるを得ないとしても、そこ

を終着点と見るか、先を見つつ今は一旦身の回りを軽くするか。。もし、先を見る事ができればそれ

が「希望」になると思います。

 

産業崩壊は垂直落下

スーツのコスプレ化?印鑑・FAXに続くか?

ゴールデングローブ賞のドラマ「ダウントンアビー」は1910年代の貴族の生活の変化を描いてい

ます。背景にあるのは社会変化、タイタニック号事件、第一次世界対戦、スペイン風邪、世界恐慌

の時代です。

 

変わる世相の中で貴族の伝統は守りたいが、いつまでもお金の掛かる儀式を維持できない。ダウン

トンアビーは一族が引き継いでいる城のような館の名前ですが、維持費が莫大に掛かる。夕食時はた

っぷりと時間を掛けて、身内だけなのだが燕尾服の正装、召使も正装。

 

ある時から燕尾服をやめてタキシードにしようと主人が言い出したところ、母親が「貴族のプライ

ドはないのか?」となじるシーンがありました。TPOに合わせた服装をする事に勝る価値観はない

と言ってました、その言葉が今は実に印象的に思い出されます。

 

新しくディレクターを迎えた「ポールスチュアート」は一般的なスーツの需要は落ち着くだろうが

コアな客層のために「ラウンジドレス」と呼ばれる社交のためのドレスに力を入れていくとニュース

に出ていました。

 

ダウントンアビーの女将さん的には賛成でしょう。着るべき人が着る場所を選んで伝統を守っていく

のは大事な事です。

 

ただ、マーケット的には山崩れ的に需要が無くなるのでしょう。昨年から銀行が兼業・副業の認可と

同時にスーツ縛りを無くしました。外務省以外のお役所も時間の問題の気がします、これでリクル

ートまでルールが変わったら一生の内着る機会のない人が増えるでしょう。

 

経済の山崩れはサプライチェーンを巻き込むので垂直に落ち込みます。(以下イメージ)

 

ダウントンアビー的には「これも時代の変化なんです。お母さんも理解してください」と言うところ

でしょう。ドラマは3つ星クラス、大推薦です。

利幅のある商材が次々と無くなる

「チートする」と言うのはズルをするの意味ですが、トレーニングする人のチートデイは厳格な

食事制限をその日は緩めて好きなものを食べる日を意味します。

 

業界のチート的商材(個人的偏見)と言うのは私の経験でもいろいろありました

・ラルフローレンブームであちらのアウトレット商材、難ありものを国内持ち込んで大儲け。

・郊外SCブームと共に合皮のバックを品質良さげに提供

・原価の安いシルバーアクセ商材、獣毛混の混率問題

 

原価は安くて見栄えの良い商材の存在は、儲かりにくい商材も取り扱うミックスMDでは非常に重

要でした。特にスーツはお店の顔になり、ブランディングの裏付けとなり、オリジナルで提案して

も悪く言われず逆に評価され、高額単価で利幅が見込める商材でした。

 

チートと言われない儲かる商材は貴重です。都心で成功したセレクトショップはほとんどがスーツ

を前面に立てた構成にしたからこそ成功したと思います。スーツはウンチクを語ってくれます。カ

ジュアルでウンチクを語ると逆効果もありますがスーツは「店内全てこだわってます」の代表例と

なります。

 

ここで時代の流れと諦めてしまうのか、ここから「消費者の声」に再度チャレンジするのか大事な

局面です。「ガースー首相の唱えるデジタル化社会にスーツはいらない」流れに、それを上回る価

値を提供できるか?それを踏ん張っておかないと数年後には大きな後悔が残ると思うのですが。。。

 

モーゼの道

「十戒」

と言う映画があります。紀元前1300年前の話です、こんな古いので宗教とは関係なく聞いてほしい

のですが、自分たちの土地で飢えるイスラエル人たちはエジプトに移り住み奴隷になります。しかし、

過酷な扱いを受けしまいにはイスラエル人が増えないように子供を川に投げ込めと言われます。

 

そこで、モーゼは神のお告げに従いエジプトを脱出してアラビア半島を横断する旅に出ます。下の

場面は映画の中でエジプト軍に追われた一行が川を渡れない!というピンチに川が神の力で割れる

有名なシーンです。

 

モーセは長い長い旅の間を円滑に過ごすために生活のルールを(戒律)を民に示します。人の家畜を

取るな、人の女房に手を出すな、嘘つくな。。などなど

その戒律を守り立派な指導者のもと難局を乗り切ったと言うお話です。

 

スーツ崩壊も当事者からすれば移住せざるを得ないイスラエルの民のような心境だと思います。(

ただこの流れば10年以上前からIT業界の変化でわかっていたはずです)同情もしますが、自分達で

イノベーションを起こさなければいけません。

 

現在は40代半ばのママさん需要も今後10年ほどで人口の山は無くなります。スーツ需要がなくなる

(かも知れない)ように今後需要の山はあちこちで崩れていきます。わかっていて何も手を打たない

のはスーツ関係者だけではないのです。

 

そう言う意味で、ハニーズが少ない年齢人口の市場で現在頑張っているように、その場に踏みとどまる

新たなイノベーションを起こすしかないのだと思います。

もし現代のアパレル業界にモーゼ敵指導者がいれば言ってるであろう事

・背後から追ってくるのは物流費の高騰?ECの過信は危ないぞ

・単価を上げるんだ、そのためには

・上位顧客をしっかり知る

・上位顧客をしっかり掴む

・上位顧客とコミュニケーションする

・近くてはっきりとした対象への具体的な努力が、結果的に遠方の見知らぬ客の同感を得る

・道なき道を進む、顧客管理に近道はない

とりあえず、3戒足りない7戒ですがww

 

10年に一度の帆船効果

トヨタには言葉があるので有名です、「5回繰り返すなぜ」や「カイゼン」「平準化」たくさんあ

ります。従業員が理解でき、知る事で成長できる言葉です。つまり継続できる企業には企業が強く

いられる(トヨタの言葉のように)理由があります。

 

ここでは大きく3つ挙げます

人のメンテ:OJT(業務を通じての人材育成)

組織のメンテ:成功の復讐を避ける(成功体験が結果として次の成功を阻む)

社会から必要とされる存在のメンテ:トヨタの敵はトヨタ(将来起こるだろう事に準備が遅す

ぎる)

 

日頃からメンテナンスが出来ているところには危機の方が避けて通ると言う事ですね、準備が最大

の防御と言えます。いろんなトヨタ関連の本は読みましたが、取り入れやすいのがコレです、1400

円です。

この本の中に「帆船効果」と言う言葉が紹介されています。

新技術が登場しても、旧来の技術が新技術を上回るスピードで、長期にわたり

技術革新していく事を「帆船効果」と言う。

 

19世期の頃に、蒸気船が現れてもすぐには帆船は廃れませんでした。マストの数を増やしたり

船体の設計を見直す事で100年間は競争が続いたそうです。

 

また、電力が発明されて「ガス燈」が無くなるかと思われたが、こちらも技術革新を計り、より

明るいガス燈が出来、ガスの供給網の改善で50年は十分持ちこたえたそうです。

 

モーゼの導きも、新たな肥沃な土地(市場)ではなく、今ある事をより顧客満足に知恵を働かせる

事を指し示しているのかも知れません。もうこれからは市場はない、スーツを買う人はいないと諦

めるのも一つの判断、でもそこで止まって踏ん張るのも一つの判断。

 

蒸気機関と対抗する帆船のようにスーツをカイゼンして行けるか?ぜひ頑張りを見たいところです。

 

以上、新聞を読んで興奮のままにw私の感想を述べましたが、まとまってるのか分かりませんが、頑

張っていきましょう。

ではまた次回

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