57:「事例>新たな販売チャネルの創設」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

今日は特定の事例で考えてみましょう。解決策をお出しするというわけではないですが、こういう考え方

はいかがでしょうか?というものです。

 

Contents

やる気さえあればできてしまう

インフラはある

コロナショックもあり、アパレル業界の構造改革の波もあり各社収益構造の調整に取り組まれている様です

。専門店様が店頭以外にEC販売、中小メーカー様が(直営店舗は別にして)EC販売に取り組まれています。

EC販売は一昔前に比べ、ショピファイBASEカラーミーショップ など月に3千円も出せばインフラが

使えてしまいます。

 

やる気さえあれば出来てしまいます。

 

このブログを書いているワードプレスにしろ、インスタグラムにせよ顧客にメッセージを伝える手段も豊富に

あります。残念ながら最低限のITリテラシーは必要ですが、今のソフトはほぼ直感的な操作で使えますし、ま

して食べていくためと決意を固めれば乗り越えられない壁ではありません。

 

 

ですので、現在の販路以外のチャネルを開くことは非常に容易いのです。もちろん競合も含めて挑戦者はたくさ

んいます、土日の夜は全国で洋服関係のインスタライブが行われてますね。

 

挑戦への壁

その挑戦に壁があるとしたら

①ITリテラシーの壁

②ブランディング

 

になります。

①のITに関することに生理的な嫌悪があるとすれば特効薬はないです。物事を克服するには小さな成功、喜びの

積み重ねしかないので、早く携帯を買い替え日常に持ち込むことです。3ヶ月で景色は変わるでしょう。

 

 

大手も中小も関係なく乗り越えられない壁(キャズムとも言います)が②ブランディングです。いつまで待てば、

時間と費用をかければ自社製品や自店名を消費者が認知してくれるのか?これは誰にもわかりません。私の体験

上は5年です。皆様はどう思われますか?

 

運営は隙間時間の活用

同じ組織の人数で複数の仕事をこなすことになるので、基本は兼務になると思います。ナノユニバースさんの話

を聞いた事がありますが、ECサイトと雑誌は似ていると捉え、プレス関係や編集関係者で構成している様です。

その様な余裕のない所は私の記事で時間活用術を参照ください。

 

 

 

今日の記事は前半ではメーカー様が「ブランディング」をしたいという視点で、後半ではメーカーが消費者への

直販を進めた場合に専門店様とどの様な関係に変化するか?について考察してみました。

 

メーカー様のブランディング例

覆面レスラーが良い場合もある

皆様にもし経験がなくてもブランディングは可能です。私の経験をお話ししますと、社外の取引様とブランディ

ングに成功した経験があります。15年ぐらい昔になりますが、仕入れで革ベルトを買っていた先の担当者が独

立する事になり、新しいショールームに訪問したところ革つながりの革バッグであっという間に顧客をつかんで

いました。

 

その後取り扱いの製品の拡大でダウンのサンプルを見せてもらったのですが、生産で失敗(工場に後回しされ)

煮湯を飲みました。社長がどうしてもリベンジしたいと相談があり、価格帯と品質をあげたゾーンを勧めました

。中国での生産をやめて、ユーロ圏内の素材と設備で「ブランド」を立ち上げるという中小メーカーには大それ

たプランです。

 

当時の2トップ、モンクレーとデュベチカの下の価格帯での提案でした。

 

そこで私の持論「ブランド4原則」に基づいたブランディングでコンセプトとネームも決め、社長はその足で

東欧に向かいレンタカーで大陸を横断し(すごい行動力でした)世界トップと同等の素材と工場を確保してき

ました。これで品質の裏付けとそのストーリーを構築する事ができました。

 

紆余曲折ありましたが、その後その事業は複数のセレクトの店頭に並び、最終的に約15億で商社が事業ごと買

い取りました。当時、社長と話していたキーワードは「覆面レスラー」でした。特に高級価格帯になりますと、

「誰が作っているのか?」「価格に値するのか?」という評価で引っかかるのです。

 

 

作り手の素顔を見せるよりも、ストーリーを構築してセレクトショップ経由で浸透させていく方法を取ったの

です。わざわざ覆面をしてデビューする必要もないのですが、こういう手法もあります。

 

地域発のブランディング

私のかつての卸先「宮崎ワゴン様」がトランクスを主体としたブランドを立ち上げています。ローカル発です。

「short pants every day」

 

7月にレリュームとのコラボでセレクトショップ店頭に商品が並んでいました。とも生地でシャツとショーツ。

立ち上げ6年、ここまで長かったそうです。海繋がりでバイヤーから連絡が来たそうで、他のセレクトからの声

もありブレイクしそうな流れです。

 

 

現在は、セレクトの店頭にもローカルブランドやインスタ有名人ブランドが並ぶ様になり、時代が変わってき

た感があります。

 

 

無名を発掘して楽しむ港町文化

「承認」はブランドの場合必ず付いてきます。購入する側には「期待感」がありますので受け取りやすいストー

リーにして渡すのが大事だと思います。消費者がストーリーを受け入れて喜んでいただいて初めてブランドとし

て成立します。無名のものを受け入れるのは誰しも抵抗があるのです。

 

 

しかし、所変われば全く違ってきます。アメリカンアイドルの様にオーディション番組を勝ち上がっていくとそ

のプロセスを最初から見ていた人達は感情移入して親近感が上がっていきます。そういうオーディション気質を

持っている町が国内にもいくつかあります。

 

 

今では有名バンドのクイーンやチープトリックが無名の時(欧州で人気が出たが世界には知られてない)に日本で

最初にコンサートをしたのは福岡です。福岡の特徴は港町です。交易の盛んな歴史を持つ港町には今でも地場のセ

レクトショップが多くあります。新しく見るのもを嫌がらない、ポジティブに捉える感性があると私は思っていま

す。

 

そういう文化的な背景があると、そこのフィルターをくぐり抜けられると、「本邦初」という素性の怪しい商材が

逆に鮮度がある好奇心を掻き立てられる物へと変換されるのです。単なるビジュアルキワモノバンドの扱いが、福

岡で人気になり武道館を経て世界(アメリカ市場)に認められました。(当時レコード会社の戦略だとラジオで聞

いた覚えがあります)

 

 

東京は明らかに「疑う町」ですので、それなりの評価が付いていないと見向きもされません。紹介者が必要なんです。

 

 

ですので、鮮度のある初登場ブランドはオーデション番組の様に(その様な文化的視点がある)方々に見ていただく

必要があります。サントリーのプレミアムモルツが出たときには矢沢永吉が「頑張った自分が週末に自分へのご褒美

として飲む」という紹介の仕方でした。

 

 

誰が(目利き)がなんと言っているのか?が大事ですね。女性ブランドの場合はまた少し細かい点で変わってきます

が。。(偶然もありますがジャーナルスタンダードの1号店も福岡でそこから東へと東上させたので、東京店は最初か

ら人気でした)

 

 

 

私なりにそれらの経験を基にその当時に考えた自己流ブランド4原則は記事にして書いています。簡単な方式にまと

めてあるのでどなたでも想像を膨らましやすいと思います。ぜひご活用ください。

 

 

 

 

最後の後編はまだ書いてません。。

 

 

ブランディング前後=風船の法則とテストの重要性

これも個人の経験から来るものです。過去に大手セレクトで事業(ブランド)を2つ作る機会に恵まれまし

た。ブランドを作ると2つの曲面が出てきます。

 

A>風船を膨らませるとき〜ブランドスタート期

B>風船が大きくなってきた〜売り上げ拡大期

A>
風船を膨らませる時は大変です、肺がはち切れるかと思う様な勢いで勝負しないといけません。特にゼロか
ら苦労するのはアパレルや小売の中でブランディングする場合で、苦労する理由は「テストマーケティング」
できないからです。(商品として通用しても店を構えられるかは別)
一方で恵まれているのは卸チャネルを持っているメーカーです。知らず知らずに市場に鍛えられますので、ブ
ランドの卵は多く持っています。こちらの問題は、テイストに対して卸先の声が大きく影響する事です。伸び
代のあるスポーツ選手が変なOBの指導でダメになる様なものです。
卸向け商材から顧客に向けたブランドにギアを上げる場合は、同時に企画者に自由(個性)を与えるべきです。
この手綱を固めすぎるとブランドが浮上する機会を失う事になります。(個人的には引き出しの多い40代と
怖さがない20代の企画者の組み合わせが好きですww)
とにかくブランドの出発のためには(コストダメージの小さい)テスト方法が必要という事です。
B>
これは売れてからの悩みです。芸能人もそうでしょうが、まずデビュー(認知)問題が幸運にもクリアーされ
ると、次の悩みは継続して売れるのか?仕事は継続して入るのか?です。
ブランドが継続して成長するには組織力が必要になってきます。ペルソナなどでスタッフの目線合わせなど、
継続し力に揃えていく努力が必要になります。芸能人で言えば事務所の力ですね。
今人気の消費者に直接販売するD2Cも、風船を膨らませる時期は店舗も持たず初期投資は少なくてすみます
が、次第に規模が大きくなれば、先行して企画するリスクが出てきます。今回のコロナも影響が大きかったと
思いますが、注目していた先は福袋で対応してました。
ブランドも成長曲線に沿って創成期→成長期→成熟期→衰退期と違う悩みが発生するので、それに沿った組織
改革やギアの上げ下げが必要になってきます。
風船も膨らみすぎると破裂の危険性や恐怖感が出てきます。かといって吹くのを手を抜くと自然と空気は抜けて
いくコントロールの難しさが出てきます。3億から5億で儲かり始め、10億ぐらいで景色が変わり30億ぐらい
で頭打ちと言われますが、この業界ほどほどが良いのではないか?と個人的には感じる次第です。

そもそも売れる様になるには

卸チャネルで十分検証する

これはテストで重要だと申しました。リスクを取らないでテストする必要がありますので、スタートからSPA

の規模で始めない事です。大手ほどの開発力があるのになぜああも失敗が多いのか不思議に思われるかもしれ

ませんが、理由は簡単で、採算歩で事業を始めるのでスタートからコスト調整の大量生産をするからです。

 

消費者の声を聞かない妙な自信と、金を出せる規模があるとキャズムの罠(ブランド4原則記事参照)に捕ま

りみるみる開発資金を失い赤字が上限に達し撤退となります。

 

(写真:キャズムは別名マーケティング上の”死の谷”と呼ばれます。渡切ればブランドとして認知されますが、

失敗すると。。。)

 

アパレルの規模の場合、いかにローコストでテストをするかに新規ブランド開発の得手不得手はこの辺りのノウ

ハウの差で、上手と言われるパルの会長様には独特の見極め術があるそうです。

 

 

専門店様の場合「大手と同じ手法を使わない」

そもそも大手ではないのに同じ様にデビューしようとします。地方専門店は多くが「セレクトショップ」と名

乗りますが、小資本ゆえ貧弱な内容と品揃えではイメージギャップが出てしまいます。自分で名乗るからそう

見えてしまうのです。

 

私の考えるお勧めは「○○の店です、と個人名を名乗る事です」、レストランを名前で覚えてもらうかシェフの

名前で覚えてもらうのか?という選択です。「私がセレクトしてる」のセレクトという文言でなく”私”に比重を

置くのです。

 

雰囲気や世界観で顧客を素敵に満足させるなら店名、目利き力やスタイリング提案、ニッチな分野の造指が深い

なら個人名でブランド認知される様にすることをお勧めします。間違っても○○が置いてある店、取り扱いブラ

ンドを列挙しセレクトショップと名乗ることでお茶を濁す様なスタイルはお勧めしません。

 

個人のお店の認知を進める上での問題点は「どの様な体験をしてお客様にどういう風になってもらいたいのか」を

主張しない事です。理念の主張が足らず機能性の箇条書が主になる(美容関係を見ていると特に感じます)と、ど

のお店も同じ様な存在に見えてしまいます。この辺りは別記事を参考にしてみて下さい。

 

お客様に「どの様に感じてもら痛いと考えているか」がまず持って大事であり、サービスメニュー紹介はその後

で良いのです。

 

 

 

ブランディングの過程ではコミュニケーションが荒れるので注意したい

でもここまで道筋を示せば自分でもできる様に思えませんか?私はそう思いました。だから試行錯誤が楽しかっ

たです。

 

しかし、全員がそうでは無いのです。今にも沈みそうな小舟で揺れ動く船内で”ブランディングは楽しいね!と言

ってるのはあなただけの可能性があります。長く続く揺れに胃腸が耐えられない人がいてもおかしくないのです。

ダウンブランドの時も「そんな無謀な計画できるはずも無い」と営業系の反発は凄かったです。

 

 

ですので、ブランディングをしていく時のコミュニケーションや人選には注意しましょう。冒険するのか安心安全

が欲しいのか?また「変化」を望むならばリスクを背負いきれる覚悟はあるのか?意見を揃えとかないとリーダー

がある時後ろを振り返るとだれもいない。。こともありえますww

 

新規販売チャネルと現在のチャネルとの対立

卸先からすると面白くない

私の体験では卸先はメーカーが自社販売を行う事は快く思いません。理由としては私は2つあると考えています。

 

1、独占的契約が理想である。

2、専門店様ブランディングの方針が流動的。

 

独占的な契約が理想ですが、どの程度理想に近ければ満足するかの線引きは曖昧ですし、引けるものではありま

せん。私が思うには2の専門店様が自らの立ち位置を顧客に上手に伝えられていないと、価値観が狭まってしま

い(ブランドの独占)地域市場を侵す行為と感じるのだと思います。

 

 

各メーカーから”セレクト”している事に価値を置いているのか?地元客の要望をよく理解しているのか?独特の世

界観に重きを置いているのか?が定まっていて、その方向で地元に「ブランド」として店名なりが認知されている

のならば、メーカー のEC販売に嫉妬することはないでしょう。

 

 

もし、売り上げを構成するトップ20%に入っていればお店は主張すべきですし、大事な存在というコミュニケー

ションは日頃から取った方が良いでしょう。EC販売を否定はできませんが、別の協力体制は組めると思います。

私の経験からはメーカー側は思っている以上にその点に鈍感です。

 

専門店様の大手と小店の違い

私の考えでは、大手の専門店様の立場としてはまったく無名の商材よりはブランディングして知られる存在にな

ってもらった方がメリットは大きいはずです。大手専門店に来店される顧客のニーズからは成長期から成熟期に

向かうブランドの方が売り上げが良いと思います。

 

ですので大手専門店が反対する理由はありません。

 

一方、小店様の場合は知られたブランドよりもこれから芽が出るであろう先駆的商材で、その分野で地域1番の

ポジションを作った方がよく、成長期以降のブランドは手放すぐらいの考えの方が良いはずです。(それだけで

は商売がキツくなるので、並行して古着や韓国物で利幅を調整する方法もある)

 

ですので、専門店様格別反対する理由はなく、中期的利益はブランドをよく知る消費者が増える事でともに増える

のですが、どうしても目先の短期的な損得に固執するから関係が膠着してしまいます。目線をあげた話をしましょ

う。

 

卸先を慮っていると先がなくなる

卸口座数が400を超えてくると、黒子として表には出ないと決めるメーカー様もいらっしゃいますが、それ以下であ

ればご自身の存続のためにも直販は考えた方が良いでしょう。

 

ブランド化する過程で、デザイン物中心に商品構成を切り替え成功するケースもあります。デザイン物が売れた事がき

っかけに企画者の才能が見直されることもあります。これは卸だけでは難しいです。売り場構成を考える上で世界観が

完成したりします。

 

 

まとめ

別田チャネルの販売は挑戦しやすい環境なのでチャレンジした方が良い。ブランディングに正解はないが、4原則

を参考にしてほしいです。

 

また別販売チャネルを作ることで既存チャネルと対立してしまうことは

 

メーカーはブランディングで自社商品のが消費者にに認知される様になる。専門店様も店の存在をを地元で成立さ

せる。この様に両者がブンランドとして認知されていると消費者から見て商品の価値は最大化されます。これこそ

が理想的な姿です。

 

この様な商品流通が軸としてしっかりしていれば、同じ商品をメーカーECサイトから購入するも、専門店様SNS

がきっかけで購入するもそれは枝葉であり、その選択は消費者が決めることです。メーカーと専門店が取り決めす

ることでもありません。

 

新販売チャネルが旧販売チャネルを侵害するのではなく、それぞれの役割は別だと考えます。それぞれの軸をブラ

ンディングをきっかけに整備することで商売は前向きに転換していくでしょう。

 

という事で、単独のブランディングも重要ですが、現在のチャネルも相乗効果を上げる可能性があるので、そこを

切り捨てずに大事にしていこうという話でした。

ではまた次回

 

 

 

 

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