40:「パンデミックとダウンサイドリスク」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

ネットフリックスで「パンデミック」というドキュメンタリーを見ましたが、世界で多数の死者が出た

スペイン風邪は第一次世界大戦に従軍した兵士が戦地から故郷に持ち帰り、世界中に蔓延したそうです。

その当時の数百倍もの人の移動がある現代ではパンデミックを防ぐ方法は無いというような内容でした。

宣言前から書き始めた記事ですが、本日宣言が出されましたね。

 

Contents

経済5掛け

飛行機・新幹線乗車率

ニュースを見ているとだいたい5掛けの乗車率という事、ホテルやジムなどはもう少し低くて30%〜

40%ぐらいでしょうか。知り合いのメーカーさんに聞いても都心店頭売りは5割程度とのことです。

地方はあまり影響はない〜5掛けとまちまちの回答でした。

 

大手は店頭売りにECとアウトレットが加わりますが、ECも時間ができたから喜んで買うというマインド

とは思えません。また隠れた利益貢献店のアウトレットも入場が少ないと思われるので、これがかなり

のダメージと思われます。レギュラーが悪い時にアウトレットで稼ぐ構図でしたから両方悪いのは初めて

の事態です。

 

思ったように換金できなくなると小売はキャッシュフローが苦しくなります。店舗数があるばかりにまと

めて在庫かかえるスタイルのところは、普段の隠れたリスクが表面化することになります。中小メーカー

は大手の投げ売りに巻き込まれないように注意が必要です。ECサイトでも価格の比較が容易なので、普段

は大手より一角安いポジションで稼いでいたセカンドゾーンも上からの値崩れで圧迫されるでしょう。

 

前向きに考えれば、この最悪の時期にでも5割の売り上げがあるというのは、これよりは下がらないと

考えることもできます。マイナスの5割をいかに挽回していくかです。

長引くという観測

この情報が曖昧だと皆困るわけですが、パンデミックとなれば世界の問題になるので年内の解決は難しい

ことになります。リーマンショックでも日経が最安値の7000円まで落ちたのはリーマンブラザース破綻後

からちょうど1年後の夏でした。

 

株価は大体半年先の先行指標ですので、もしリーマン級の経済混乱であれば底を打つまで1年半はかかる

と言う事です。アク抜きと言いますが、この期間は思っているより長めになる傾向があるので注意が必要

です。(個人の見解ですので投資等はご自身の判断でお願いします)

 

10〜12月期のGDP

問題なのは日本経済の基礎が崩れているという事です。ニュースによれば第三四半期のGDPがマイナス

6.3%で、コロナが始まる前に土台はぐらついていたという認識が必要です。前回の増税は景気回復局面

今回は景気の失速局面での消費税増税ですので環境がまるで違います。今回は思ったより家計へのマイナ

スインパクトが強買ったのでしょう。減税しないのですかね〜。。

 

ダウンサイドリスク(下振れリスク)を考える

元々の過剰在庫問題を抱え消化率低下の業界が、2019年の暖冬で在庫を抱え利益がそこなわれたであろ

う局面で、コロナウイルスにより3ヶ月以上の最悪7掛け営業を覚悟しなければならず、また減税がないと

すると消費者の購買意欲も限られる中で戦う覚悟が経営者には求められます。

 

 

影響を受けた関係先が大きくある以上、どこから玉突きで問題が発生するか分からないので、主要な

仕入れ先、卸先との情報収集&共有はしておきましょう。また政府系の融資も税理士さんと相談を進め

ましょう。想定よりも長引いた時、想定よりも周囲が悪く引きずられた場合、自社の隠れていた弱さや

潜在的なリスクが表面化した場合というのを経営者は”Bプラン”として考えておきましょう。

 

マインドの問題 

ECがあるじゃないかと思いたいが。。

ウイルスの影響で外出できないだけでしょうか?顧客の気持ちは目新しいものがあればすぐにあれこ

れ買うのでしょうか?現在TVのCM見ていて楽しそうにまた見ていて心躍りますか?そんなことはない

ですよね。ECやSNSでいつも以上に訴求しても顧客のハートに届くかは疑問です。

 

自分の安全が気になる場合

 

マズローという人の考えた消費者が持つ要求マインドの5段階というのがあります。一番下から言うと

マズローの欲求5段階
①整理的要求:生きる、食べる、水が飲める

②安全の要求:家がある、健康でいる

③社会的要求:集団に属している、仲間がいる

④承認要求:人から認められる、人と同じようなものが欲しい

⑤自己実現要求:自分の能力を目一杯使いたい、自分を成長させたい

 

人の要求や購入意欲は段階を経て形成されると言う事です。食べるものも住むところもない人が高級

バッグやピンヒールに興味を示さないことは容易にわかると思います。

 

 

①から③までは低次の要求と言われ、④、⑤は生活の基盤はある上で初めて芽生えてくる自分の心の

欲求でこれを高次の欲求と言います。私たちの商売は、④と⑤の段階の方を主に対象にしています。

④になると人と同じものが欲しい、それを身につけて社会の一員と認められたいのでトレンドに敏感

になってきますし、⑤の人は「自分は成功した。この自分に合ったものを身につけたい」と思うので

販売員の商品ストーリーの説明に敏感になってきます。

 

ところが現状は、②と③が脅かされています。高次ではなく低次要求が脅かされて不安を感じている中

では④と⑤の気持ちは浮かんでこないのです。それでも購入意欲があると言う方は、これぐらいの災害

では自身の資産や安全に影響がない方だと思います。(資産化も不動産や持ち株に影響が出れば動揺し

ていると思います)

 

大概の方は、家族がパンデミックの期間安全であること、それと会社からの経済面の影響が少ないこと

を確かめたいと思っているのではないでしょうか?ボーナスがなくなったどうしよう!会社の資金繰り

は大丈夫だろうか?早期退職促されたらどうしよう?この不安感が治らないと楽しいショッピングは出

来ないです。

 

だから減税はマインドをネガティブにさせない効果があるのですが。。。そこに頼れない以上、顧客の

マインド対策は工夫する必要があります。

 

貧しくとも心を豊かに生きる

どの本で読んだか忘れましたが。。

「例え、あなたが貧しくとも新聞紙があればそれを濡らして住まいを

磨き上げることができる。またその新聞紙に書をしたため、壁にかけれ

ば何もない住まいに風格がともなう。また、屋外で摘んだ野花をいければ

風情が生まれ、そこで茶を飲めば立派な庵となる」

この例えの意味は、「すべてを失っても自分の内面に持つもので生活は豊かにすることができる」です。
参考になるかはわかりませんが、ECやSNSで新作の紹介する合間にそのような②と③の不安感を和らげ
るメッセージを滑り込ませる事をお薦めしたいです。こう言う時だからTVでバラエティ番組を見て暗い世
相を忘れたいのかも知れませんが、それよりも時々流れる「心のひだ」を救うようなCMやドキュメンタリ
ー番組に共感することはありませんか?
SNSでは特に発信者の内面を見せることで顧客との距離は縮まります。皆が不安になっているこの時期、
発信は新作紹介8に対して少なくとも2割は心情に寄り添うメッセージを入れたいです。

 

中期的対策:中規模メーカー3本足打法 

即効性のあるSNS発信の仕方などは戦術と言います。もう少し俯瞰してピンチを救う手立てを考える

事は戦略になります。戦術は担当者が工夫し、戦略は経営者やリーダーが考えます。そこで中規模企業

様の戦略の話です。(中規模とは複数の事業やブランドを持ち、ポートフォリオ戦略ができる規模)

 

3本足打法は存在しませんが、3本足の椅子はあります。足は3本あれば椅子として成立するのです。

何を言いたいかというと安定感を求めるのであれば3方向のチャネル収入を確保したいと言う意味です。

ただし、規模が5人以下の小規模の方は下記で小売店にお勧めする「弱者の戦略」が向いていると思い

ます。

1、地方卸

2、OEM

3、直営

4、EC・D2C

5、ECモール

6、越境EC

 

大体2つのチャネルで収益を上げていると思います2本足です。そこで3つ目の柱を作る戦略を中期的に

取り組む事をお勧めします。1、2は商材さえあれば商売は可能ですが、3番以降は「ブランディング」

が必になります。そのような時間をかける対策にも取り組む事で、会社の収益をポートフォリオ化し、集中

していくポイントを検討する事をお勧めします。

 

地方専門店の3本足

前提として、小規模事業者の場合、あまり分散させる事は好ましくありません。確かに販売チャネルが

3つある事は有利なのですが、全てを手掛けるとそのどれもを社長自ら作業することになり疲弊してし

まいます。すべて手掛ける場合は少人数でもチームとして機能させるマネジメント能力を得る必要があ

りますのでご注意ください。

1、店頭販売

2、外商・御用聞き・POP UP

3、通販・EC

個人店の場合、何よりも1が強くなければ2、3は成立しません。何かに秀でてなければ口コミも発生

しません。

 

1の強化法「弱者の戦略」

弱いもの、資金や規模に乏しい者がいかに戦いに勝つかと言う有名な戦略に「ランチェスター戦略」が

あります。これはお勧めなのでまた新たにブログのテーマにしたいと考えています。内容は、小規模に

徹するところにあります。エリアでいれば少商圏に絞る、商材を絞る、顧客を絞るです。絞った事で

確実に利益に変えていこうと言う戦略です。

 

私が知っている成功例は「顧客層の絞り込み」です。30代から60代までの対象顧客を30代と40代に

絞ったところ売り上げが上がった例があります。

 

田舎にあるのは「何でも屋」で、「専門店」は見かけることはないと思います。しかし多少でも田舎で

暮らした経験があれば、その「何でも屋」で満足したことはあるでしょうか?私の記憶では欲しいもの

が何でも屋にはそもそも無いので購入できない、または類似品で我慢するしか無いと言う不満足な経験し

かありません。

 

中途半端な浅く広くの品揃えでは魅力を生み出す事はできないと思います。順番を意識してみて下さい。

パンデミックで長期戦になってくると焦りも出てくるので、目先の戦術的な対応と同時にマネージャーは

普段できない「戦略」に取り組んではいかがでしょうと言う提案でした。

 

苦しい戦いから何かが生まれる

商売をする上で戦術と戦略

パンデミックで人が出歩かないような事態になるといろいろ発想が変わってくるかも知れませんね。

家賃や人件費をより掛けない発想が広がるのではないでしょうか?パンデミックで考える時間はたっ

ぷりあります。アイデアが沢山生まれそうです。

 

今後は危機の中で生き残れるのは有名店、百貨店はごく少数になり、それ以外では外資系が残り、中古

品セカンドハンドを扱う業者が増えていくのではないかと想像します。都心でのアパレル企業は淘汰され

ますが、反面全国の個性ある専門店、インフルエンサーが1〜3億という市場が多くなるのではないかと思

います?個人の妄想かの知れませんがww

 

そのように考えると、メーカーのOEMの営業先も地方に目を向けるのもアリかも知れません。私が営業な

らばインフルエンサーを開拓していきます。

 

今回の影響で3月展示会のところは来店3掛け、受注5掛けぐらいまで落ちるのではないかと思います。しかし

20:80の法則でいけば2割の上顧客が来ていただければ8割の売り上げは確保できます。その2割の顧客と

の関係は密になっていくでしょう。展示会プラス補完のプレゼンテーションをインスタライブなどで共有す

る工夫は広まるのではないでしょうか?

 

インスタライブ等の情報は仕入れ先でもバイヤー以外の多くの目利きが参考情報にできることで、予測

の精度が向上することが見込まれます。これはかなり役立つ事だと思います。この災害がアク抜けする頃

にはそのような成功事例がいくつも誕生してると予想します。

 

「3%のコストダウンは難しいが

3割ならすぐ出来る」

松下幸之助

 

ピンチの時には不思議と大きな変革を成し遂げようと言う勇気(開き直り)が湧いてきます。ここはぜひ

ピンチをチャンスに変えましょう!

ではまた次回

 

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