こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?
さて、今回も3分ブランディングの続きを書かさせていただきます。ブランドとして成立
させたい物(人・店・事業)をストーリーに落とし込む枠組みの紹介を前回しました。
今回は、想定したブランドが稼働する状態を考えていきたいと思います。ブランドを使い
捨てで準備する人も少ないと思うので、ブランド継続し、継続しつつ強くなる条件を見て
いきましょう。
Contents
ブランドの骨格「コンセプト」を作る
いわゆるブランドの構成要素を見てみますと下のような点が含まれます。
●フィロソフィ:そのブランドの哲学・社会的存在意義・何のために存在しているか?
●パーソナリティ:そのブランドの人格、消費者からどんな性格の人(店・事業)だと
思われたいか?
●心理的ベネフィット:その商品・サービスを利用するとどんな気持ちになれるのか?
●物理的ベネフィット:その商品や店を利用するとどんな利便性が得られるのか?
●スペック(手段):そのブランドは具体的にどの様な仕様・機能・仕組みになっているのか?
*ベネフィット「恩恵、利益」この場合「お得に感じてもらえるのか」の意味
フィロソフィーは重要
人は感情で動く
コンセプトは約束
「私たちはこういうbenefitを提供します」という顧客への約束がコンセプトになります。皆様が
日常的に通っている店にはそれを感じませんか?例えば私は「スタバ、サイゼリア、宿泊はスーパ
ーホテル 」を使いますが、理由は経営トップが顧客へのベネフィットのためにいろんな工夫をして
いる姿を商品を通して感じるのが楽しいからです。
家族でディズニーに行けばそこそこのお金が掛かりますが、訪れてみて裏切られたと感じる事は
あるでしょうか?約束が守られていれば顧客は使ったお金を惜しみません。しかし、もし裏切ら
れたと感じた時はどうでしょう。。そこには倍返しが待っています。そのブランドを信じた顧客
ほど「裏切られた」という思いは強いクレームとなるのです。
約束と言うものは大事です、顧客に対する責任はついて回ります。皆さんはどんな約束を顧客とす
るのでしょうか?
「ブランド」という電動ドリルを想像してみる
ドリルに例えたのは構造がブランド運営組織に似ているからです
●ドリルの歯:コンセプトという素材をドリル歯の形にして市場に穴を開けていきます。
●モーター:業務システム、業務を回した目の仕組みです。店舗オペレーション、接客マニュアル
具体的な業務遂行の仕組みです。
●トランスミッション:組織システム、継続的に回す仕組みです。服のブランドあれば情報収集
の仕組みなど。デザイナー育成の仕組み。原料開発、工場開発、メーカー開拓。
●バッテリー:人事・採用・教育。ブランドを継続するのは人の力です。バッテリー投資をケチ
ればツケは回ってきます。仕組みは良いのに成果が上がらないのも電圧(モチベーション)の問題
かもです。
ブランドいえば、紙袋の色や店舗の内装をイメージしますが、目に見える部分は全てコピーされます。
見えない部分のコピーは難しい。街のスターバックスに行って観察してみて下さい。ブランドとして
見える部分は何ですか?ロゴマーク?哲学はコピーできますか?
スターバックスのコンセプトは第3の場所です。家と職場以外の3番目のくつろげる居場所を提供し
ますと謳ってます。初期の頃は土地代が高いところでもゆったりしたソファーが置いてありました。
業務システムはオーダーの受け渡し、組織システムは従業員の熟練度に合わせてエプロンの色や役割
が変わります(コーヒー豆が焙煎で変わる色変化に例えている)。褒める文化と呼称の変化によりモ
チベーションも上げる仕組みです。
ボーイスカウトは手旗信号とかスキルを覚えるとワッペンがもらえ、それを制服に縫い付ける。軍隊
の勲章も同じく、人はお金だけで動くわけではない。。フィロソフィーや理念に基づいた仕組みの力
は大きいのです。
ブランドは爆発する芸術だ!
「ブランドは芸術だ」と言う言葉があります。それは芸術には説明は要らないと言うことであり、
気に入った人にはそれぞれの解釈があり、そこに正解はないと言うことです。逆にいえば芸術が
媚びる必要もないのです。誰もが褒める作品もあれば、そうでない物もある。わかる人がわかれ
ばいいと言う意味で芸術です。
そんな孤高な作業は苦手だと言う方は、芸術家の声を聴いてみましょう。「芸術は爆発だ」と
いうのは岡本太郎さんの代名詞ですが、その本意は
私の言う「爆発」は全く違う。音もしない。物も飛び散らない。
全身全霊が宇宙に向かって無条件にパーッとひらくこと。
それが「爆発」だ。
いのちのあり方だ。「自分の中に毒を持て」岡本太郎
理想主義と現実主義の折り合いをつける
ブランドを作り、世に認知してもらうには無名の画家のような孤独で不安な取り組みがある
のですが、一つ注意が必要です。それは芸術という理想主義に偏り、上限なしに投資したり
無理をする事。その逆に現実主義で商売を偏重するばかりに新たなものを打ち出そうという
芸術家魂を無視する事です。
良いセンスや感覚がありながら、ブランドが破綻したり、寂れていくのはこのバランスが難し
いことを示しています。組織を大きくするのはお金があれば出来ますが、ブランドを大きくす
るのはこのバランスがわかる人が限られているからです。
バランスをとるコツ
・繰り返しペルソナをチエックする
・繰り返しカスタマージャーニーをチェツクする
これをブランドに携わる全部署で行う事で、自然と目合わせができます。また顧客動向の変化も
共有され、それに対するアイデアに関する意見交換をする事で、関係者は「自分はブランドの当事
者だ」と自覚を持てることになります。
関係者のモチベーションと顧客変化への対応と一石二鳥の効果があります。顧客の行動が変われば
コンセプトも影響を受ける場合があります。そういう習慣があるところはECやインタグラムと言わ
れても組織で意味を咀嚼できるので柔軟な対応が可能です(そうありたい)。
スターバックスも「コーヒーの香りと味」を守るために、ゆったりと席を設け禁煙にしてますが
実際のオーダーはフラペチーノやコーヒーの香りとはかけ離れたデザートドリンク中心です。コー
ヒーという中心の哲学は守りつつ、商売では妥協しています。顧客の行動に合わせ、コンビニや飛
行機でも提供できるようにしました。
哲学を守る人から見れば、これらは一種の魂の冒涜なんです。哲学を守る人は会社を離れていくわけ
で、ブランドの成長ではそのような事が起こります。どちらが良い悪いという話ではないと私は理解
しています。
番外編:1⇒10でなく0⇒1ができる人材はタイプが違う
0→1が得意な人とと1→10が得意な人は別であることが多い
新規事業や独立して事業をするのはスタートが難しいのが一般的です。ブランドも同じく立ち上げが
難しい。これをよく「風船を膨らます」のに例えたりします。
皆さん経験あると思いますが、まっさらのゴム風船は膨らみません。うまい人は一瞬の息の量が違
います。うまくできない人はゴムを揉み解したりしますね。いったん上手くいくと後は楽に膨らみ
ますが、ある程度の大きさになるとなかなか膨らまなくなるのでまた息の量を増やす必要が出てき
ます。
それと心配が出てきます、破れるのではないか?と。ブランドは膨らますキッカケ作りも職人芸が入
りますが、膨らまし続けるのも違った問題と戦う必要があります。経験上の話になりますが、活躍す
る人材のタイプは違うと思います。
もちろん創業者はまっさらから膨らますことが出来るタイプなのですが、あまりに職人肌ですと規模
の拡大が苦手だったりします。ですから状況に合わせて社内外で上手くチームを組むことをお勧めす
る次第です。
では、次回は後編として実例に近いものでご説明します。