95:「会社の業績が低迷するほど”同じような意見”が心地良くなる理由」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

 

2023年の春はめでたくコロナ明けとなりました。

 

個人的に感じるのは「マスク解除効果」です。笑顔はサービス業に

は不可欠だと思います。

 

来ていただいたお客様に、付加価値を提供し笑顔にすると言うのが

サービス業の使命になるからです。

 

3年間の買い控えもあり、マザーニーズやオケージョンニーズも活発

です。郊外も都心も賑わっており足元は好調だと思います。

 

一方で、経営者心理は不安が高まっていると感じます。助成金は終

わり本業で確実な利益を出す必要があるからです。

 

丸2年分の運転資金を借り入れており、その返済も始まります。確実

な成長、それも1、2倍程度は続けたいはずです。感覚的には倍返し

をして行くぐらいの決意が必要だと思います。

 

では、そんな環境下で、どういう状態だと「同じ様な意見につい寄り

かかってしまう、また安心感を見出してしまうのか?」をまず心理的

条件から見ていきたいと思います。

 

Contents

不安な時は心が無防備になる

コロナ禍の影響を強く受けた経営者の心理状態

経営者が不安になる場合、感じる代表的な感情は4つあります。

 

1)不安感:コロナ禍での経営打撃により、経営が継続できるかど

うか不安を感じることがあります。

 

借入を増やすことで現在の経営を維持することができるという安心

感がある反面、返済が厳しくなることによって将来の経営に対する

不安感が増しているのではないでしょうか。

 

2)責任感:中小企業経営者は、自分自身だけでなく、従業員や取

引先、その家族など多くの人々の生活を支えているという責任感を

抱いていることがあります。

 

そのため、借入を増やすことで経営を維持することができるという

希望がある一方で、返済が困難になった場合には、自身の責任や負

担感を感じることがあるでしょう。

 

3)焦り:コロナ禍によって、経営の現状が急速に変化しているた

め、借入を増やすことで、一時的に現状を打開しようとする焦りが

生じることがあります。

 

しかし、焦りが強すぎると、冷静な判断ができなくなってしまうこ

とがあります。

 

 

4)無力感:経営者として、自身の力で経営を立て直すことができ

ないという無力感を感じることがあります。

 

借入を増やすことで経営を維持することができる一方で、返済が困

難になる場合には、借入を増やすことが継続的な解決策にはならず、

経営者自身が抱える無力感が増すことがあります。

 

総じてプレッシャーから来る、不安、責任、焦り、無力感がキーワ

ードになってきます。

 

 

不安な心理はなぜ心を無防備にしてしまうのか

不安を強く感じていると、心が無防備になることがあります。不安

を感じると、自己防衛本能が高まり、自分を守るために心を閉ざし

たり、他人に近づかないようにしたりすることがあります。

 

しかし、その一方で、不安を感じている人は、他人に対して心を開

いてしまう傾向があることがあります。

 

不安を感じると、自分だけでは対処できないと感じ、他人の支援が

要だと感じることがあります。そのため、不安を共有できる人や、

自分を理解してくれる人に依存したり、心を許してしまったりする

ことがあります。

 

このような状況では、心が無防備になってしまい、他人に対して依

存的になってしまうことがあります。

 

ただし、不安を共有することや、支援を受けることは、精神的に健

康であるために必要なことでもあります。それでも、他人に過剰に

依存してしまうことがないように、適切なバランスを保ちながら、

心を開いていくことが大切です。

 

結論としては、バランスが必要なのですが、これほどの不安定感に

晒されると社内の中でもっともらしい意見に寄りかかりたくなる心

理状態は理解できると思います。

 

 

そこに日本人的な同調圧力が掛かると、その最大公数的意見に反論

するのは難しい。。そう感じることはありませんでしょうか?

 

同じ様な意見が集まると心地よくなる理由

同調が生まれる心理

プレシャーから来る心理的な動揺が総花的意見に同調しやすい心理

を作ると申し上げましたが、それとは別に同調がより集まると心地

よくなる理由というものが5つあります。

 

1)認知的な一貫性:同じ意見が複数の人から出されると、その意

見が正しいことがより確信できます。脳は、認知的な一貫性を好み

ます。

 

2)社会的影響:同僚たちが同じ意見を持っていることが分かると、

その意見に賛同しやすくなります。社会的影響は、個人の意見や行

動に影響を与えます。

 

3)快適性:同じ意見を持つ人たちは、お互いに意見を共有しやす

く、話し合いがスムーズに進みます。このような環境は、個人のス

トレスを減らし、快適に感じられます。

 

4)自己肯定感:同じ意見を持つグループに属することで、個人の

自己肯定感が高まります。自分が正しいと思う意見が、他の人たち

にも受け入れられるという感覚は、自己肯定感を高めます。

 

 

5)信頼性:同じ意見を持つ人たちと一緒に仕事をすることで、信

頼関係が築きやすくなります。信頼関係が築かれると、コミュニケ

ーションが円滑になり、業務効率が上がります。

 

この様に見ていくと、特定な人や意見に頼らない心理的なバランス

が必要とはわかっていても、自己肯定感や社会的な信頼性を考える

特定の意見に同調すべきと脳が働きかける様になる事がわかりま

す。

 

では、その社内の大多数の意見が正しければ何も問題にはならない

はずです。

 

日本国内の市場全体が成長期から成熟期に入っている事には異論は

ないと思います。(人によっては衰退期だという人もいるでしょう)

 

成熟期に取るべき戦略、その場合に注意すべき事を見てみましょう。

注意すべき点がわかっていれば「社内の特定の意見に集約される」

場合でも危険に陥ることはありません。

 

「選択と集中」は成熟期向きの戦略だが条件がある

成熟期にはマーケットが煮詰まっている感がある

今までと同じ手法(展示会や営業)では手応えが覚束なくなるのが

成熟期です。環境から来るものであればライバル会社も同じ様に感

じているでしょう。

 

選択と集中戦略は、企業が限られた資源を最適に活用し、競合他社

の競争力を高めるために採用される戦略の一つです。限りある資

金と人材を考えれば一番効果が出そうなプランに集中させたいと思

う事は自然だと言えます。

 

この戦略は、主にマーケット環境が成熟期にある場合に有効であり、

特定の市場セグメントに集中して、そのセグメントでのリーダーと

ることを目指します。ただし、この戦略を適用するには、以下の

条件が必要です。

 

 

「選択と集中」戦略の条件

1)市場規模が大きく、成長性が低い:成熟市場では、市場規模

が大きく、市場成長率が低下している傾向があります。このよう

な市場では、競合他社との競争が激しく、生き残りには特定の市

場セグメントに集中する必要があります。

 

2)企業が自社の強みを持っている:選択と集中戦略を採用する

企業は、特定の市場セグメントでのリーダーとなるために、自社

の強みを活かすことが必要です。自社の強みがない場合は、選択

と集中戦略を採用することができません。

 

3)コストリーダーであること:特定の市場セグメントでのリー

ダーとなるためには、競合他社よりも低コストで提供することが

必要です。コストリーダーとしての地位を確立することができな

い場合は、この戦略を採用することができません。

 

4)顧客のニーズを理解していること:選択と集中戦略を採用す

る企業は、特定の市場セグメントに焦点を当てているため、その

市場セグメントの顧客のニーズを理解していることが必要です

 

 

そこそこの大きさや鋭利さを持っていれば”刃物”としての役割もあ

るでしょうが、規模もない会社では刃物として市場に爪痕を残す事

はできないわけです。

 

また、ニーズも意識しない作り手目線のまま会社を「刃物」にして

も消費者から見れば何の役にも立たないという忠告は「選択と集中」

を採用する前に意識すべきです。

 

成熟期に打つべき手立ては他にあるか

マーケット環境が成熟期に入ると、市場競争が激化して顧客のニーズ

や市場規模に限界が現れることがあります。そのため、企業は以下の

ような戦略を取ることが推奨されます。

 

A)差別化戦略:製品やサービスの差別化を図り、顧客のニーズに応え

ることで、市場での競争力を維持または向上させる戦略です。製品や

サービスの品質や機能、ブランドイメージなどを強化することで、競

合他社との差別化を図ります。

 

B)コスト削減戦略:生産コストやマーケティング費用の削減を図り、

価格競争力を維持または向上させる戦略です。製品やサービスの品質

や機能を維持しながら、コストを削減することで、価格を下げつつも

利益を確保することが目的です。

 

C)新しい市場の開拓戦略:新しい市場に進出することで、収益源を

拡大する戦略です。新しい製品やサービスの開発、新しい地域や顧

客層への進出など、成長市場の開拓を目指します。

 

D)合併・買収戦略:競合他社との合併や買収を行い、事業の統合を

図る戦略です。事業規模やブランドイメージ、技術力の強化など、

統合効果により市場競争力を強化することが目的です。

 

E)顧客ロイヤルティの向上戦略:顧客満足度を向上させ、顧客ロイヤ

ルティを高めることで、市場での競争力を強化する戦略です。商品や

サービスの品質向上、アフターサービスの充実、マーケティング活動

など、顧客との関係強化を目指します。

 

以上が、マーケット環境が成熟期に入った場合に取るべき戦略の一例

です。企業は市場動向や顧客ニーズに合わせて、これらの戦略を組み

合わせて戦略的な判断を行う必要があります。

 

 

成長期は市場の拡大に注力し、成熟期は競合他社との差別化やコスト

削減に注力することで、市場の変化に適応し、企業価値を維持・向上

させることが重要です。また、成長期から成熟期に移るにあたって、

企業文化や組織の再編成も必要になる場合があります。

 

「組み合わせ」と「企業文化や組織の再編成」がキーワード

ここまで、業績が悪くなると特定の意見に偏る現象を解説してきまし

た。

 

特定の意見に集約されるのは割と自然な現象な事がわかったと思いま

す。また成熟期には「選択と集中」戦略は条件つきながら有効な事も

わかりました。

 

ただ、成熟期の他の戦略を見て分かる通り、成熟期に必要なのは戦略

の組み合わせです。また市場環境に合わせて企業文化や組織編成も必

要だという事です。これがポイントだと思います。

 

これらを行うには多様な意見を用いた活発な議論が必要です。この環

境下では特に多様な視点を加えた討議から方向性を見出すのが望まし

のです。

 

特定の意見に左右されたり、同調圧力に屈したり、安易な多数決や

議論を乗せるテーブルもない様だと、その先にある結果に悔いを残さ

ないと言えるでしょうか?

 

会長や社長の声だけで動いているがこれで良いのか?事業部制か機能

性組織なのか?など成長期を牽引してきたレガシーを総括する必要も

あるでしょう。

 

以上の様な点を考慮すると、単純なアイデア(それがダメとは限りま

せんが)に乗りたい心情はわかりますが、現実は俯瞰して可能な限り

議論すべきだというのが今回お伝えしたい事です。

 

 

内外の知恵を動員する

両利きの経営

という言葉があります。本が出ています。

 

 

既存事業と新規事業を同時に検討できる組織にするという内容です

が、その場合のノウハウとして私が最も同意したのは

・経営幹部の思考を柔軟にする(社内外の声をきく)です。

 

上記に見てきた様に、成熟期では戦略の組み合わせや組織を状況に

応じた改変が必要です。なかなか社内の意見だけで考え切れるもの

ではありません。

 

 

先行して取り入れた企業の意見も聞きたいし、その情報も欲しい。

また考え方も参考にしたいはずです。

 

大事なのは「経営幹部の思考の柔軟化」です。柔軟化の条件は多く

の人と会い、様々なものの見方を吸収するという事です。

 

市場が、成熟化してるのですから、立場や場面が違う観察眼から生

まれた意見は一聴に値するはずです。この質が高い人は普段からの

交友関係、人脈のお陰と言えるでしょう。不足してる実感を持つ方

は今こそ実行すべきです。

 

「自己実現してしまえる予言」
ここまでバランス、バランスが大事だ、偏るなという話をしました
が、最後の最後ではやり切る力の話をさせていただきます。
他社はどうあれ、結果は自社がうまくやるかどうかで運命は変わっ
て来ます。それには他律的な自正論を見切り、自律的に取り組む事
です。
柔らかい表現で言えば、他人や環境に頼らないで自分で自分の道を
掴むという事です。
やるべき事は、
①長年培ってきた自社の強さを徹底的に使う。
②自社の強さを軸とした戦略を組む
③戦略を直ちに実行する
④他社から羨ましがられる存在になる(と自らを鼓舞する)
してはいけない事は
・儲かって無いことを自嘲する、
・自己肯定を持たない
・運命を決める戦略策定に臆病になる
・日陰の運命論に自分を重ねる
・過去が整理できない(失敗成功を含め)
一言でまとめれば
「自分はできる、やればできると結果を予言してしまう」です。
もちろん、前半でバランスが大事ですよという話をしたので、それ
はご理解頂きたい。バランスを取った上で、一歩踏みだす
覚悟を持って一歩踏みだす、自分の運命をポジティブに予言する。
中小企業や専門店様は行動の塊ですから、一歩も2歩も進まれてる
と思います。それだからこそバランスが大事とお伝えしたい。
大企業は逆に一歩が出ない。。そんな気がします。何かしら参考に
していただければと思います。
ではまた次回

 

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