長文になったので、前編・中編・後編に割っています
前編
中編
20VS80の法則(パレートの法則)
最後に在庫の持ち方と業界の予測法についてもまとめておきます
「在庫の持ち方」の優等生はセブンイレブンです(私見ですがww)
セブンイレブンの鈴木元会長の本でたくさん勉強させてもらってますが。
2000年以降の人口オーナス期に入っても、抜群の売り上げをより伸ばしたのは「売れ筋の欠品
を無くす」こと、それにかける情熱だったと私は思います。
徹底した売れ筋(米飯類)を予測発注(多め)をオーナーに促したことで売り上げは伸びたと
思います。
今、人件費高騰のあおりで”在庫の持ち方”自体にも玉突き的に影響が出ているようですが。。
会長の本から私なりに読み解くと、「上位20%の売れ筋の在庫を切らすな」と書いているだけで
「全品番在庫を切らすな」とは書いてないです。
アダストリア会長の講演を10年ぐらい前に聞いたことがあるのですが、「ローリーズファーム」の
躍進のキッカケを問われた時の話です。
「有名デザイナーに内装をお願いした。条件は店頭に50品番しか置けない店、だから島什器も
大きいのが1つだけになった」ということでした。
「最初から、50品番しかないので毎週売り上げランク”ベスト50”の形になっているので
上位品番の在庫を切らすなと指示した」というお話でした。
バックについた商社の商品供給体制もあり時代を象徴する伝説を残した記憶があります。
多品種の売り場はドンキホーテや東急ハンズのように面白さは抜群ですが、全て買取在庫だとは
思えません。これもある種の誤差保管装置ですよね、やはり、それぞれポジションに合わせた欠品
対策が必要なのだと思います。
不良在庫に苦しむところは、トップ20%の在庫がなくなり、死に筋の80%が残っている状態です。
資金力があれば、死に筋は無視して良いのですが、中小企業は死に筋で身動きが取れなくなってし
まいます。
ではその20%が最初からわかっているのか?
ワールドが90年代に開発したテストの法則「オーバーマイヤー法」
オーバーマイヤー法とは聞き慣れない言葉だと思いますが、いわゆる「目利き」による
投票判別法です。
多くのアパレルで、店頭の目利きを呼んだり内見会で意見を聞いたりしていますが、その
元祖とご理解ください。
事前のテストが有効なのですが、市場環境にバラツキがあったり、天候の影響など毎回有効
とは言い難く(90年代のような市場成長期ではなくなったなど)、また意見を聞くタイミング
シーズン前なのか引き付けなのかでも意見の分かれるところです。
こういう言い方は無責任に聞こえるかもしれませんが、それほど多数の人が服に興味を持つわけでは
無くなったこと。一部のニッチな服フリークは存在する。など消費が分離してるからわかりにくくな
って事もありますが、逆にいうと消費者のセグメントを分けることでこの手法はアレンジすればまだ
まだ効果があるのではないかと思います。
多くの客数が望める環境ではなくなってきましたが、一方でSNSでのファンづくりで濃厚な会話が
成立するブランド・お店もあります。ヒントに留めますがテスト法のアレンジを模索することが重要だと
私は考えます。
まとめ:時代にあった在庫の形
在庫の話をして、いろんな事例を出しましたが全て「過去」の話になります。
QR(クイックレスポンス)の評価が下がっているのも、今が市場が伸びている90年代同様では
ないからです。
ですので、今現在進行形で優れた「在庫の持ち方」を紹介することは難しいです。
ただ、オーソドックスな考え方としては❸→❷→❶と予測に対するブレ幅を自社の強みで一定の範囲
に抑え込むことだと思います。
または、他の業界と同じく予測は付かないと考えて、その視点で仕入れ調達を組み直すという方法は
いかがでしょう?サプライチェーンマネジメントと言われる改革は川上から一緒になって川下の販売
データーを共有します。
はたまた予測に対するブレ幅を抑えるのであれば、短所を防ぐよりも長所を伸ばした方が良いかも
しれません。また「適量」という問題に「適価」や「適所」など他の要素を絡めて考えるなど。
「適所」という意味では現在ではリアル店舗が必ず必要とは限らないでしょうし。。
予測は付かないと考えた場合、まるっきり用意をしていないとリードタイムはかかる訳なので
現実的には「半完成品」を用いた形が現実的ですね、流行りメンズスーツのパーターンオーダーも
その類になります。
立ち食いそばは、在庫は冷凍庫で見込み分解凍して下茹でしてあり(半完成品)、注文が入ると
茹でて天ぷらが乗って(ここで製品品番名が付く)、販売される。
よって素材はせいぜい2〜3種類に限定されるが、出店場所の客の要望(時短)で価値は増します。
生地在庫をまとめて持って、顧客の要望を引き当てるモデルは今後も流行りそうです。
以上のような基本形をベースに戦略を考えた上で、そのさきに時代性をどのように捉えるか?という
事になるのではないでしょうか?
市場が縮んでいると言えば、全てがダメになるような気がしますが、私が思うには価格だけ、量だけ
と単純にコントロールできることのみで商品鮮度を失わないまま競争できるとは思えません。
しかし、自社のポジショニングから、各種要素を組み合わせすることで自社の対象ペルソナの”
ツボ”に入ることもできるのではないかと思います。悪く言えば市場は縮小してますが、よく言え
ば川上〜川下も協力していこうという姿勢もありますし、顧客とのコミュニケーションも近くな
りました。
このコミュニケーションの密度を上手に生かしていくのもこれからの道だと思います。
今回はこれぐらいで
ではまた次回