68:「アパレルが在庫をまとめて作る理由」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

本日のテーマはアパレル、特にSPA企業の「在庫をまとめて作る動機」です。私の業界経験を踏ま

えた独断と偏見ではありますが、同じ業界であれば多少なりとも共感していただける点があるので

はと思いまとめてみました。

 

いろんな業界でサプライチェーンは存在しますが、顧客が何を欲しがっているのかを見通している

ことはありません。一言で言えば困難だからです。その点をブレイクスルーしようとAIベンチャー

が取り組んでます。その進歩に期待する所はあると思いますが、現時点ではその発想は加えずに論

じたいと思います。

 

Contents

サプライチェーンとディマンドチェーン

ちなみに供給に対して需要をディマンドチェーンと言います。ディマンドを探る手法はそれぞれで

、ペルソナ絞り込みやビックデーターの解析で顧客像に迫り、販促や広告宣伝で顧客の期待を引き

寄せることなどで需要の実態に迫ります。

 

人体に例えてディマンドチェーンを動脈、サプライチェーンを静脈と言ったりします。双方が絡み

合うように連携することで全身に血が巡ります。

この人体のように商売を行う為には、仕事の領域を全体を俯瞰して設計しなければいけません。し

かし、現実には大企業病と担当範囲の視野の狭さ、短期的業績への圧力、また短期的業績に基づく

人事評価などにより動脈と静脈の部分最適が全体最適より優先して語られる事が多いのが現実です。

 

業務は担当分けされた領域で発生しますが、目的が人体のような連携し合う血の巡りなのですから

全体の”オペレーション”担当が居るべきなのですが、大概の組織割は販売・MD/企画・生産と業務

割りです。全体の進行は現場のインスピレーションに頼った三人4脚なのです。

 

しかし、それぞれの業務が短期の生産性で評価されますと、3人4脚の現実を忘れ、市場を置き去

りにしがちです。有能なマネージャーと言われるには短期の目標に応えるものですから、まず自分

のチームの評価を獲得しなければいけません。

 

他のチームをかばう、援護する、協力するなど部門をまたがる貢献は人事評価に組み入れにくい

(証明しづらい)からです。

 

短期の目標に応える場合現実的な(確実で自分の部門でコントロールできる)解決策は在庫の調整

と経費の削減です。

 

3人4脚の趣旨は動脈と静脈の同期化(中期的目標)を果たした先に、キャッシュフロー改善など

の効果を含んだ財務状の業績向上にあるのですが、中期的効果を待てないのが現実だと思います。

 

三人のチームとして(全体最適オペレーション)コーチが付かずに、三人それぞれにコーチ(執行

役員)が付くので、それぞれで現実的な目標(部分最適)へと方針が変更になります。船頭が多い

船の3人4脚は難しいのです。

 

例えば最低の在庫で売り上げが伸びると聞かされても、販売部門は不安になります。手元に多く抱

えたい本能に当初の決意は揺るがされます。在庫を倉庫に抱え、気が急いて店頭にまで送り込み、

店頭のバックルームは在庫で溢れかえります。非効率なのは見ればわかるのですが、気持ちは満足

で満たされます。

 

動脈と静脈を連携させる、言い換えると需要(ディマンド)と供給(サプライ)を同期化させるの

は非常に困難なのです。トヨタをはじめ各業界で必死の努力が重ねて改善されてます。それをなし

得る企業にはダークサイド(在庫を抱え、帳尻合わせに経費を削る)陥らない為「理念」を持って

いるのが特徴です。

 

 

強いリーダーシップ(カリスマ創業者)や哲学が理想へのチャレンジを鼓舞するのがシンクロナイ

ズドの難しさだとすると、一方で深く考えなくとも擬似連携させる方法があります。それが店舗出

店を増やして多めの在庫を用意する事です。

 

背景には00年からのデフレ本格化による上代の下落、郊外SC開発による立地の増加などがアシス

トする形で進行しました。

 

このような流れで成長してきた業界にとってまとめ生産は、”良かれ”と判断してきたことの積み重

ねからたどり着いた現実です。他の業界は強いリーダーシップや世界的な競争背景から「ゴールイ

メージ」を見据えて為し得ています。

 

今日の結論を先に出しておくと「シンクロナイズというゴール(全体最適)を目指さずに、現場の

部分最適に委ねた故の現状」と言えるでしょう。ですので「まとめ生産」する戦略的な理由は特に

はないと思います。

 

 

せっかくですので、場面ぎりで部分最適が全体最適に優先されやすいことを見ていきましょう。上

手く行かない分析から「ではどうすれば良いのか?」のヒントになれば幸いです。

 

需要と供給が合致してる状況「シンクロナイズド」

まず理想のゴールをイメージする

部門を跨いだ3人4脚ならばゴールイメージを共有出来なければいけません。それが難しいので

す。

在庫が無ければ良いと言うのは需要と供給がシンクロしてる事です。「シンクロナイズド」同期・

同調、これがどんなに難しいかはマーメイドジャパンの練習風景で察しがつきます。

 

もし、需要が大きく機会ロスが大きい場合はどうするか?これは90年代、まだ人口ボーナス効果

があった時代にワールドが完成させたSPAの技術、QRがあります。個人的にはわんこそばを連想

します。「もう食べれないストップ!」大きな食欲への対応です。

 

では逆に需要が小さくなることへのシンクロナイズドとは?今回のコロナのように需要にストップ

が掛かるなら減産しなければいけません。自社工場と協力工場がある場合、自社を遊ばせても協力

工場を守るか?協力工場から切り離していくか?

 

下り坂の需要が下がる対処法が見つからないのでゴールイメージを持ちにくいのかも知れません。

ザラがスペインのタパ(小皿料理)の展開で、デザイン物とベーシック物を混ぜ合わせて生産する

など真似したい解決策が少ない上に、抽象的かつ難易度が高いのがハードルを上げています。

 

 

消費者が待てる範囲で在庫を用意する

商売には在庫は必要なので、考え方としては待てる範囲で在庫を用意することを通常は考えます。

以前の記事でも紹介した様に、行楽地であなたが注文するソフトクリーム、たこ焼き、立ち食いそ

ばの様にそれぞれ待ち時間を考慮して最低の在庫を用意します。

 

 

 

作り方の基本はプッシュ生産とプル生産

需要を想定して川上から川下へ作り始めるのをプッシュ方式と言い、受注が入ってから川上に遡る

のをプル(需要がプルする)方式と言います。ソフトクリームは注文が入ってから作るのでプルに

なります。

ソフトクリームをプルして作ると言っても、牛の乳縛りまで遡るとお客さんは帰ってしまうので、

ある程度まで準備して置いて、最後の工程だけプルさせます。つまりある程度の原料を整えるまで

をプッシュ、最後の工程をプルさせる、プッシュプル連動式です。

 

(完全にプルで作るには、川下が川上にこれだけの数の生産をしてくださいと前工程に伝達します。

この時のやりとりにカード(カンバン)を使うのでカンバン方式と言います。)

 

プッシュとプルの組み合わせはパソコンのDellがこの方式で成功したのでデル方式とも言います。

「立ち食いそば」を例にとれば、基本在庫は冷凍庫に配送され、店長の見込みである量が解凍され

ます、プッシュです。そこまではまだ半完成品ですので原料扱いです。

 

かき揚げ蕎麦の注文が入り、かき揚げが乗っかった時点で製品品番が付き、下げ札が付くと同時に

売り上げが成立します。完成在庫を持つ必要がありません。原料在庫は売れるであろう見込みで備

蓄されます。

 

注文した客の待ち時間を全く無視する事ができれば、老舗の鰻屋で「これからさばいて蒸して焼い

てで3時間お待ちいただきますが?」が通用します。そう言う生産部門の味気ないあしらいよりも

もう少しお客さんの気持ちになれるよう販売部門が連携して工夫すれば、オープンキッチンで懸命

に働いているところが見える、とか生簀の生きてる姿を見せながら待ち時間の苦痛を和らげる事も

できます。

 

生産と販売と販促が手を取り合うとそう言う解決法も出てくるのですが、それぞれ部長が存在する

ので説得する前にアイデアは枯れてしまう事が多いです。組織には大量の”柔軟剤”が必要です。w

 

この様に需要と供給の美しい「シンクロ」の姿を目指す事が今日の話の大前提になります。(どの

程度のシンクロを目指すか、現実的な選択は会社によって違ってきます。シンクロを目指しつつ、

ある程度の在庫は引き取る会社。善意の完成在庫すら引き取らず原料・部材メーカーを泣かす会社、

外部と組む場合いろんな2人3脚があります)

 

正しい優先順位は①業績 ②在庫 ③費用 の順

企業が目指すべきは「現金の創出」

次の3人4脚の課題はマネージメント方針の違いです。

 

これも前提ですが、お金を作り出すのが企業の目的です、在庫が売れて初めて現金です。これに

時間を加えて時間あたりの現金創出を目指します。3年後に持ち越し在庫が現金に変わる思考は

時間が入ってません。

 

優先順位がいつの間にか変わってくる

見出しの通り正しい目標はまず「業績の向上」になります。いろんなアイデア・工夫・協力・イノ

ベーションで実現を目指します。

 

ところが、業績の向上と一口に言いましても「急に売れだした」とか不思議な勝ち戦もあれば、な

ぜ上手くいかないのかわからないという場合もあります。原因と結果は物理的には紐づいているの

ですが、組織が大きくなったり管理階層が重なる事で「見えにくく」なるのが常です。

 

しかし、企業は短期的な業績開示を繰り返しますので3ヶ月で説明のできる状態を求められます。

その場合、本来は優先順位下位の在庫や費用が単独の削減目標とされる事が多くなります。業績が

上がる事がわかっていれば在庫も費用も認められますが、その様な全体最適を認めにくいほど組織

が大きくなると費用は目の敵にされます。

 

また費用は削った分がそのまま利益になるので貢献がわかりやすい。しかし、その副作用はある

はず。短期的指標に追いやられる、抜本的、中期的戦略は追いやられる。経費はすべてを削れる

わけがなく限定的。出張費を削れば得したような気がするが、一体いつまでそれを続けるのか?

 

在庫と経費の削減は基本的には正しい事です。削れる分は徹底的に削る。問題はどこまでが正し

くてどこからが間違えているのか分からないことです。

 

3人4脚のそれぞれの担当者のマネジメント方針が違えば、話は頓挫してしまいます。

サプライチェーンの言い分

工場は固定費ベースで考える

「装置」産業である川上は固定費の占める割合が大きいので、その月の生産数に固定費を割り振

ります。その工場の理想の稼働率がありますのでそれが生産目標となり、アパレルの注文に対する

生産コストの返答もそれを基準にしたものになります。

 

そもそも工場がプラスαの利益を上がるには生産性を上げるしかありません。時間当たりの生産

枚数を増やすには、作業工程、難易度が低い注文を受ける、扱いやすい生地だけに絞る、定番の

様に同じ作業をさせる、など理想としては絞られてきます。

 

当然、これに反するバラバラ注文、かつ複雑な仕様、ツルツル縫いにくい生地などは生産性を落と

します。工場としてはサプライチェーンの一員として選ばれている名誉は感じますが、まずは食べ

る必要がありますので自分の採算を重視する事を選ぶでしょう。

 

ですから大きい注文には安く見積もります。難しい注文には嫌な顔をします。アパレル側が安い答

えを引き出したかったら、この稼働率向上に貢献する注文を出す事になります、閑散期稼働などで

す。

 

この装置型思考が強いと、「一定のリズムで決められた物だけ生産したい」となるのでディマンド

側のリクエスト「多様な物の必要とされる量が一定では無い」という現実ぶつかってしまいます。

とてもシンクロどころでは無いです。フリースタイルですね。

 

全体の消化が良くなるとウインウインになることを知る術がない

工場が、今年大口の注文をくれたアパレルに、来シーズンもより以上のオーダーを貰うには納めた

商品の消化が良ければその可能性は高くなります。

 

しかし、そのオーダーが工賃を安くしたいだけの見せの大量注文であれば売れ残ってしまいます。

固定費や経費はロットが大きければ割り振られるだけ安くなりますが、全部が売れるとは限らな

いのです。

 

工賃にそこまでインパクトがあるかは別として、もしその工場がサプライチェーン全体を見て、自

分の取り分に消化率が相関関係があると知れば考えを変えるでしょうか?分納や分割生産に理解を

示すでしょうか?

小さなオーダーも受け、ツルツルした生地も努力し、段取り替えも努力して短時間で行うなど努力

の方向を変えるでしょうか?

 

自分の会社内でも「まずは自部門の目標、ひいては自分の評価を固めて、、」と考えるとすれば、

社外である工場にそこまでも歩み寄りを期待するわけにはいきません。3人4脚はその全体像の共

有がむずかしく誰がリーダーかを決めるのが困難です。リーダーがサプライチェーン「全体」の責

任を持つことが難しいからです。

 

減産する場合にラインの穴埋め代は払う、原料は引き取るの責任。

 

嫌な仕事は受けない、自分本位のコストを出す、消化情報は隠す、サプライチェーン内で値切りあ

い、駆け引きをする。。商売としては自然な行為ですがそれをしていてはシンクロナイズドからは

遠ざかります。

 

ディマンドチェーンの言い分

売り上げで比較される

大前健一さんの名著「企業参謀」にも、営業部門の言い分というのが書いてあります。

典型的な営業マンは競争相手と同等の製品でも「物が悪いから売れない」

という最も弱いセールスマンの主張を誇大表示して技術部門に伝える癖を

持っているし、品不足や製品格差で売れている場合でも「営業力がついて

きた」と報告する。

 

販売部門はどこまで客観性があるのか?と考えた場合、ある程度の店舗数があれば平均的な傾向は

捕まえる事はできます。一方で、競合の中における立ち位置を確かめたい場合には社内の意見だけ

で掴む事は難しくなります。「あの会社はもう終わってる」。。。

 

出店を依頼する側からブランド見ると、期待値は売り上げになります。家賃も売り上げで変動しま

すから、工場のように固定装置に先行投資をしていれば想定以上の生産性を上げてもらうことの期

待は大きくなります。

 

売り上げの中身はそのお店しか知り得ないので、セールなのかプロパーなのか、社販なのか株主優

待なのか外国せどりユーチューバーのまとめ買いなのかはわかりません。とりあえず健全な売り上

げと信じるしかありません。

 

ディマンド(需要)は一言で言うのは難しく、末端の販売員からの声も集めにくさがあります。

ヨーカ堂の鈴木元会長曰く「客観と直感」なんて名言もあります。要するにつかみにくい。

 

つかみにくい物をシンクロさせるのは難しい。市場に出さないとわからないので、その結果を見て

決めるとなると余計にサプライ側に負担がかかります。

 

自律的分散

このディマンド(需要)の振れ幅を捕まえにいく方法としては、集約ではなく分散させる考え方が

あります。が、話が長くなるので次号に回します。

 

 

管理部門の言い分

変わっていない会計制度

1903年にヘンリー・フォードがフォードモータースを設立。「鉄鉱石を溶鉱炉に入れてから完成車

が出てくるまで2日」という一貫生産を確立しました。フォードが求めたのは効率化でした。それ

まではのらりくらりと労働者側の気分で生産のスピードが決まってましたが、それを分業化・標準

化しベルトコンベアーで流し生産しました。

フォードの働き方改革は、チャップリンの映画モダンタイムスで機械人間と揶揄されましたが、高

い生産性で当時の労働者は高い給与をもらえるようになりました。フォードは時間を追及しました

が在庫を持つ事は否定しました。売れてこそ利益だからで、まとめ生産を目指したわけでは無いの

です。

 

ところが、50年代大戦後の好景気を迎え後継者たちが在庫を持つようになりました。在庫があっ

ても怖くない!次から次に売れてるではないか!まるで90年大の日本のアパレルと同じ状況です。

 

会計制度はその50年代に確立しました。まとめ生産を肯定したような会計制度です。たくさん作

れば、経費が割り込まれて安く見えるのです。尚且つ在庫は資産に計上されます。

 

この頃は販促費や本部経費は無い時代なので、そしてそれから変わってないので本当の製品原価は

見えにくいのです。いくら安く作っても、倉庫に寝かせる経費、売れ残り管理の経費、安い素材で

のクレーム対応経費など後工程の経費は原価に紐づかないのです。本当は後工程で高くついた製品

でも当初の計画では安く作れた優良な商品計画に見えるのです。

 

ですから経営計画に合わせて販売する量を作って実行しても、想定以下の消化率や後工程経費が足

を引っ張り営業利益が目減りしていくのです。

 

担当部長は目標達成で、不達成の犯人は天気か景気か。。。そこら辺をたまたま歩いている奴にな

ります。

 

「時間あたりの利益」という時間が目標に入ってこない

「我々がやっているすべての事は、お客様が注文してから我々がその代金を

回収するまでの時間を見る事であり、その時間を短くする事である」

トヨタ生産方式(英語版:序文) 大野耐一

 

1950年の不況で銀行融資の分でしか車が作れない状況から、ジャストインタイムのアイデアが生ま

れたとすれば、今回のようなアパレル九死に一生のピンチでもそれを学べるならば。。良い事なの

かも知れません。

 

大抵キャッシュフローはトップにしか見えない

売り上げはわかり易い指標です。すぐに計算もできます。利益となると、ちょっと待ってください

となります。財務会計は社外に見せるためでルールがあります。一方管理会計は社内向けです。会

社ごとに違いますから。

 

管理会計に時間の要素を持たせて、キャッシュフローの大事さを事業部門長と議論しているところ

はあるのでしょうか?細かく在庫を回転させていくには現場は大変な努力を重ねていきます。その

努力が報われる、「努力した甲斐があった」と数値情報でわからないと士気は上がりません。そん

なシステムは組まれているでしょうか?

 

計画に忠実な事を求める

計画を高く設定する事は悪いことではありません。何かしら業績をジャンプさせるようなアイデア

を出させるためには高く求めるのは刺激になるかもしれませんから。しかし、それには強引なアイ

デアを面白がる風土や、野武士的な突破力のある人材などが揃っていてこそ叶うことです。

 

冷静で現実的な事業部長を選んでいれば、そんな無謀な策を取る事はまずないでしょう。そのタイ

プの有能なリーダーは足し算と引き算を選びます。結果が出るかどうか分からない掛け算のような

実験的施策に自分の評価を委ねる様な事はしないでしょう。

 

ですので、経営が出す計画に沿って出店計画を出して来ます。生産はよりまとめて、中間を排除し

て(リスクを内包させつつも)計画に忠実に合わせていきます。低い原価率の商材をより多くの

店舗で販売する計画です。時間軸は必要としません。

 

カリスマ経営者、イトーヨーカ堂グループの鈴木敏文氏の本を読むと「先が見えない時代の今は、

長期計画を作るより変化に対応できる”体質”を作る」と言います「先手を打つことよりも変化と歩

調を合わせるのが大事」と説きます。

 

計画がなければ大所帯の動きが止まり、株主にも説明できない物なのか、変化対応の体質など絵に

書いた餅なのか?難しい物です。ただ一つ言えるのは従業員は評価に忠実な行動をするということ

です。それが隠れたリーダーなのかも知れません。

 

こうやって見ていくと何か理由があって「まとめ生産」をしているわけではないのだと思います。

ただ、90年から00年の好調時で時が止まり思考停止しているだけだと思います。気温や景気の

次にコロナのせいにする経営者には「その時」が来たのだと思います。

 

最後にこういう問題を社内で取り上げるヒント的なお話をさせてください。

ある朝の食卓

バラバラな要求に答えて見る

7人家族で3世代にまたがってる家族の朝の風景を想像して下さい。あなたが食事を作る係だと

したならば、一番理想的なのはまとめて同じ物を食べてくれる事。7人家族なので買い物も大変、

近所のスーパーで特売品をまとめ買い。冷蔵庫はまとめ買いの品で一杯。

助けあう関係の家族ならば、あなたのリクエストに答えて同じ物を指定の時間に集まって食べて

くれるでしょう。おまけに感謝の言葉ももらえれば嬉しい。しかし、それは作り手の思い。家族

それぞれにも要求はあったりします。

 

そこでこの話に条件を加えていく

・おじいちゃんとおばあちゃんは歯が悪く硬い物が食べられない。

・お父さんは成人病で塩分を抑えている

・息子は部活で大食いする・

・娘は自分のカロリー計算に合わせて食べる物を選ぶ

・それに食堂が狭いので一度に3人しか座れない

・まとめ買いしたものばかりが最後に残り、似た内容で不評だ

 

こうやって社内で話をしてみてはどうかと思います。少ない労力で家族が満足して家計に優しい

食事の準備はどうするのか?作り手目線ではなく、高級でなくとも楽しい食事ができれば良いと

考えるのはまだやさしい。

 

そうやって考えていくと、毎日細かく買い物して細く家族に合わせて献立を考え調理していくの

が正解に見えて来ませんか?それはめんどくさい、冷えた物でもありがたく食えと店頭で言えま

すか?それはどれだけ面倒くさいのですか、家族が喜ぶなら(できる事から)始めたらいかがで

しょう。

 

まとめ生産の反対である需要と供給のシンクロナイズドを追いかけてみると、前述の鈴木会長の

「変化に対応できる体質」と言う言葉にたどり着きました。まさしく絶壁のような難易度を感じ

させる言葉です。九死に一生のタイミングで強烈なリーダーがいればできるのかも知れません。

複雑なことや難しい事を解決していくには細かく分けていくのが一つの方法ですが、このように

チェーンとしてつながっている事をエリアで分けると部分最適になってしまいます。チェーンとし

て繋がった物をやさしく例え話のように工夫して見る。

 

沢山のメニューのある評判のランチの店を見にいく。案外ヒントが隠されてるかもしれません。

専門家に答えを求めるよりも、たくさん話し合う事をお勧めします。

ではまた次回

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