87:「EC販売は地方専門店・中小メーカーの救いになっているのか?」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

 

ブログの更新が滞ってますが、期待していただいている方には

申し訳ありません。一層努力致します。

 

今日のテーマは自社EC販売は地方専門店、中小メーカー様の役

に立っているのか?を取り上げてみました。

 

あくまで個人の人脈に頼った成功例や失敗例データですので、

何言ってんだと反論もあろうかと思いますが、そこは一つの参考

として読み流してください。

 

Contents

ECはコロナ禍で助けになったのか?

EC導入で売り規模が倍化している

あくまで成功しているケースですが、私が知っている専門店の場

合は店頭売りと同額程度のEC売り上げがあります。

 

メーカーに比べると、専門店の成功例はじっくりと時間を掛けて

顧客の信頼を積み上げた様な感じです。

 

地方専門店でZOZOの様なプラットフォームに参加してる所は少数

ですので、BASEなどで作った自社サイトにコツコツとSNSで誘導

しますので自ずと時間は掛かります。

 

インスタグラムの日本登場が2014年2月です。スタート後にすぐに

始めたお店の方に聞くと、手応えがで始めたのが18年〜19年だそう

です。開始から4年後です。

 

聞いてる範囲では、SNSでの集客は平均して5年は掛かる、桃栗三

年柿八年のあいだくらいですね。これを長いと取るか、相応の投資

と考えるか人によって違う様です。

 

(これだけ時間がかかるという事は、思いつきの方は脱落しやすく

成功してる人は日常の習慣化が出来てると言えます。苦しい習慣は

続かないですよね)

 

メーカーの成功例のケースではやはり卸売りと同規模のEC売り上

げがあります。卸が3億としたらECが3億ぐらいのバランスです。

 

メーカーの場合は、世に出た瞬間に勝負が決まる感じです。消費

者は検索し違うブランドと比較するので、競争優位性の有無が目

に留まるのでしょう。

 

例えば楽天の様な大手のプラットフォームに参加すれば、個性が

あるブランドあればそういうデザイン性に関心を持つユーザーへ

楽天のAIがお薦めしてくれます。

 

もしあなたの製品に価格の競争力があれば、消費者は価格で検索

するので同じく目に留まりやすいです。逆に言うと無個性では埋

没してしまうと言うことです。

 

それほど自分の店や商品は世に知られていない

専門店の方の成功例もメーカーの成功例も、売り上げが倍増する

なら言う事なしです。万々歳ですね。

 

これは、それほど自店やブランドが知られてないと言うことです

ね。それぐらいの潜在顧客がいると言う事です。

 

専門店がECで成功する場合、その意味するのは直接店頭に来れな

い、配送してもらう利便性を感じているお客様がそれほどいらっ

しゃると言う事でしょう。

 

(メーカーブランドの引き合いは全国各地ですが、専門店様のきっ

かけになるのは近隣の顧客の反応が最初だそうです)

 

店頭に行きたくとも時間がない、見たい時間には店は閉まってい

る、他人の評価を参考にしたい、じっくり吟味して決めるなど、

購入者にも色んな優先したい条件があります。

 

そういう意味では、EC購入がそういう要望を補完していると言え

るでしょう。

 

未だに、EC販売に取り組まれない方もいらっしゃいます。「そ

こまでして(費用や手間、労働負荷)するつもりは無い」と聞き

ます。

 

しかし、これは顧客利便性の問題なのです。そういうオーナーも

自宅用にアマゾンや楽天は使うでしょう。時間は誰にとっても貴

重なのです。しかも、店売りと同程度の潜在性があるならば。。

それでも要望を無視しますか?

 

 

メーカーさんの場合は、専門店が「直接販売から間接販売に取り

組む」のとは逆に卸という間接販売中心から自社サイトでの直接

販売を試みるということになります。

 

こちらは、今までが卸先の黒子という立場から、ブランドとして

市場の認知を得るというアクションになります。

 

ですので、程よいポジションの顧客認知を得る事ができれば思っ

た以上の手応えを得る事ができます。

 

(今まで認知度伝達を卸先に頼っていたわけです。これを一から

自分で行うには、自分の特徴を”具体的”に伝えなければいけませ

ん。自社ブランドの特徴を自分で理解してるでしょうか?)

 

ただ、そのポジションは流動的であり、次々と挑戦者が湧いて来

るのでそこを勝ち抜くにはそこそこの苦労も伴う事になります。

(特段の競争優位な何かを持ってないのなら)

 

ただ、同業者がコロナ禍で売り規模が半減しているのを見れば、

EC構築のこの苦労は多少なりとも報われるとこの2年で感じたの

ではないでしょうか?

 

ただ一方で、売り上げだけ見れば成功例と言われるところも、

EC販売で実は儲かっていないという現実に苦しんでいる所も

あります。

 

ECでの蟻地獄の様な日常も当然ある

蟻地獄という意味は売り上げ規模は拡大し、引くに引けない

まま、足元(利益)が崩れて行くという意味です。

 

つまりEC販売での蟻地獄と言うのは、セール値引き販売シェア

がプロパー販売を上回ってしまうことを言っています。

 

専門店様の地獄は、ECサイトにいつまでも集客出来ずに鮮度が

干上がってしまう様な地獄ですが、メーカー同士の競争の場で

ある大手サイトでは周囲の値引き圧力に精神が屈する圧力地獄

でしょうか。

 

(商売なんてそもそも楽できる訳が無いという覚悟のある方に

は余計な話ですが)

 

 

ECのセール比率が高まる理由は

思いつくまま書き出してみますと

◉「EC用の在庫」「EC必達目標」とチャネル”縛り”が強い

◉在庫の連携が他の販売チャネルとされていない

◉期初の見込みが外れる場合のBプランが無い

◉担当者の思い込みで在庫を準備する

◉ECではシーズンイン後値引き以外の販売促進アイデアがほぼない

 

これを言い換えますと、大きく3つの課題になります

①EC単独の予算を建てる

→EC単独の在庫を持つ

②EC販売では売れるまでの過程が見えない

→顧客の顔が見えず反応がわからない

③売る側が自分の短所を理解していない

専門店:保守的、在庫が積めない、勢いが付かない

メーカー:攻めすぎ、在庫偏り、初速が失速していく

 

では、この3点を見ていきましょう

在庫を販売チャネル毎に用意する

在庫を抱えないのが一番いいことは分かっている

一番いいのが分かっていても出来ないのが辛いところです。

また、何が売れるかはシーズンインしてからでないとわかり

ません。

 

シーズンイン後瞬時に売れてしまう売れ筋は、多くて3割ぐら

いですので、残りの7割は比較的足が遅い商材になります。

 

ですので、よく見かける多品番の商材を投入するのは、この

3割の売れ筋を何かで補完したいからです。(売れたものの追

加生産は難しくなってるため)

 

EC担当者に「目標死守」を命じれば、何としても目標達成をと

EC投入量に拍車がかかります。(しかも、売上もプロパー売り

と値引き売りを区別してカウントしていません)

 

 

よって全体の投入量が増えるほど、7割の足の遅い在庫は増え

ます。

 

残った7割の商材はその後長い時間を掛け、値引きとクーポン

で少しづつ売り減らされます。会社に引き上げても他の部署が

その在庫を売ってくれる事は無いからです。

 

担当者からすれば、仕入れ原価を上回っている販売価格であれ

ば、多少のタイムセールやクーポンは問題ないと考えるでしょ

う。足が遅いとはいえじわじわ売れているのは事実ですから。

 

ですが、担当者はEC販売の利益目標を与えられてなかったしま

す。ですのでプラットフォームから販売手数料で40%引かれ

たりするのは計算に入れてなかったします。

 

またキャッシュフローを知る立場にもいませんから、投入量増

加に伴う在庫分の支払いが先行し、手元現金がどんどん薄くなっ

ている事も知りません。社長だけが後で冷汗をかくことになっ

たりします。

 

業界で最近人気の在庫管理ソフトは、そういう在庫を抱えるしか

無い状況を前提として、持ち越し在庫の優先処分選定をしてくれ

る物が売れているそうです。

 

このご時世、EC販売を増やさなければいけないと、盲目的に取り

組み、在庫を持つことを正当化したり、対応策への取り組みを担

当者任せにしたりして、セール比率の上昇に歯止めが効いていない

のではないでしょうか?

 

さすがに専門店様の場合は、仕入れ値が安いわけではなく店頭の

販売価格を大事にしますので、ここまで崩れる事はありません。

 

しかし、5店舗程度のお店を持つ会社であれば別注オリジナルを

行っているでしょうからこのような蟻地獄の誘惑を感じることは

あるでしょう。

 

ECは売れるまでの過程が見えない

専門店は有利

専門店は資金力が限られているのでEC在庫の持ち方に不利があ

るものの、顧客との関係作りには1日の長があると思います。

 

EC販売は専門店様にとって遠隔地の見ず知らずの潜在顧客を掘

り起こすためにやるのではないと考えます。

 

ランチェスター戦略の様に思考すれば、地域で一番店になるため

に顧客利便性を向上させる戦術として取り組むべき事でしょう。

 

いつもの顔見知りの方が店に寄る時間がないという不満足解消の

為にサービスを提供すると考えればわかりやすいです。

 

ECで買っていただく前提に、ラインやインスタでの情報提供があ

り、ライブでもっと寄り添う情報提供ができる。それぞれのアプリ

への反応で推し量ることもできるのです。

 

上段で「ECの問題点は在庫を積み上げる事だ」と申しましたが、そ

の解決法を専門店様は持っているのです。

 

ある一定のファン層、顧客リストを持っていればシーズンイン前に

”売れそうな”手応えを掴むことができるのです。

 

あらゆる商品を売る時に活用されるのは「テスト販売」です。日用

品から家電、車など必ずモニターでテストされます。

 

(アパレル業界ではこのブログでも紹介した”オーバーマイヤー方式”

があります。)

 

ですので、専門店様のベストな在庫解決法はメーカー展示会場で

インスタライブをして事前オーダーをもらう事です。それでボトム

300本オーダー獲得の成功例もあるのです。

 

逆に言うと、このような顧客の顔を掴んでないメーカーサイトでは

手当たり次第に在庫をぶつけて反応を見ることに頼るので、ますま

す本当の顧客が見えなくなるようです。

 

EC販売はその過程で興味を持った消費者がいるのか?どんな気持ち

なのかを掴みにくいのが特徴です。

 

それ故、ECに呼び込む過程のSNSで顧客反応を掴んでいくことが、

後々(在庫を積む段階で)大事になります。

 

事前に手応えが知り得るモニター機能を持たないままに、EC販売を

力づくの在庫投入で行ったりすると蟻地獄にハマる事になり、いつ

しかそう言う現状を「仕方がない」と肯定する様になってしまうの

です。

 

そもそもプロパーで価値を感じてもらえるお客様が全体の約15

%、そのブランド好きだが価格優先という方が約3割、ブランドよ

りも価格という人が3割、残りは無関心と私は考えてます。

 

要するにクーポン付けたり、タイムセールでお客様を引き寄せよう

としても価格優先価格重視の約6割の人の興味を引く事になるだけ

だと考えます。

 

トップ15%の顧客と会話するには、途中のSNS等で信頼関係を

構築することが重要になのだと思います。

 

 

値引きでじわじわ売れると言うのは、これら6割の人と駆け引きし

てるからに他ならないのです。しかし、価格優先という方が納得す

るところまで引き下げるというのはしんどい。

 

それでも、この手法でEC販売を伸ばそうと言う、資金力のある所

EC用の専用商材や新レーベルを用意したりします。従来の3割下の

価格帯で。

 

でも結果は、やはり売れないものはそこから値引くし、ブランドイ

メージは毀損します。

 

ですので、メーカー様も急がば回れで専門店の様にトップ15%の

上顧客を育て上げて、ECに誘導するプロセスがないと、売上高の追

求のさきには薄利多売で在庫リスク増大のECサイトが出来てしま

うでしょう。

 

その不可能を可能にしてるのがD2Cメーカーで、まずファン層を

囲いこめているので、テスト販売も可能です。そういうファンの

グループ化を「サロン」と呼んだりします。

 

ジャニーズのようなアイドルのファンクラブもそうですが、参加し

たいと思わせる努力と参加し続ける(脱落させない)努力の2つが

必要です。

 

D2Cも楽ではないわけですが、そのようなシステムを持つことで

事前テスト活用で不必要な在庫を削減させ蟻地獄化を防止すると言う

理屈はお分かりいただけるかと思います。

 

短所に向き合う

課題は片付けないと消えない

ここは簡単に述べるに留めます。

 

専門店の課題は

・在庫が積めない、資金力がない

・兼務が業務負荷になる

・顔出しが嫌←顔を出さない言葉に重みはない

メリットは

・顧客の顔が見えている

・信用の積み上げができている

・モニター活用ができる(声が聞ける)

 

メーカーの課題は

・攻めに頼り、出血しても攻めに行く

・担当者を孤立させる

・事前テスト方式を採用できていない(卸先に卸した時点で自分

の利益を完結させてたツケ)

・全体最適を考えない、組織力の課題が背景にある

・型数思想、分からないから分散させる

・顧客の顔が見えないまま全力投球する

・顧客から見てブランドの地位が流動的、常に挑戦者が現れる

 

メリットは

・世界観を作りやすい(差別化の可能性がある)

・自社の特徴を生かしやすい(付加価値向上なのか価格競争力か)

・卸先の協力を得られる(共存共栄の道はある)

・組織的に行動できる

・差別化できれば競争の先頭に進める可能性がある

 

ビルゲイツの警告

売り上げ規模の拡大だけが大事なのか?

コロナが収まり、人々の外出が自由になりつつある事は誠に

喜ばしい事です。

 

商売においても、オンラインとオフライン、両方で商売が盛り

上がるのが一番です。

 

上位15%の顧客がオンラインとオフラインを使い分けてこそ

オムニチャネルになるのですから、どちらでお買い求め頂こう

ともそれは顧客満足として成功なわけです。

 

それぞれの販売チャネルで目標を決め、担当者で責任を分けて、

担当者は目標達成で評価されてと組織マネジメントが入って来る

と途端に話がややこしくなって来ます。

 

担当者は担当者が見ている範囲で部分最適を目指しますが、それ

が全体最適になっていない場面が多々ありますよ。。と言うのが

今回のテーマでした。

 

顧客満足を全体最適に置いて、会社がチームとして動くと言うこと

は、チームに有軟性を要求します。これは練度が必要です。

 

専門店様のように少数で運営されているチームでは、店頭、仕入れ、

EC、SNS、発送と業務負荷に対して柔軟性が求められます。

 

時代の変化、サービスのレベルアップ、と言えばそれまでですが

対応して行くのは大変ですね。つまり辛い習慣にせずに継続でき

る習慣化、ルーティーンにして行かなければいけません。

 

今回は大まかにメリット・デメリットに分けてみました。それぞ

れのお会社に違いがあると思いますので、質問等あればお気軽に

お問い合わせ下さい。

 

最後に申し上げたいのはビルゲイツの警告です。

 

コロナが武漢ウイルスという報道とともに世界を驚かせた時に、

こういうパンデミックはいつ起きても不思議ではなかったと

事前に警告していたのがビルゲイツ財団創始者の彼でした。

 

その彼が、再度警告しています。

 

今回よりも強毒で伝染力も強いウイルスによるパンデミックは

また起こると言っています。

 

売り上げや運営がどうのこうのと述べましたが、この様な”もしも”

の事態にオフラインの顧客との繋がりを持つことは有益と思い

ます。

 

EC販売は専門店様にとって顧客満足の最大化のため必要であり、

メーカー様に置いては経営のリスク管理の為に必須だと考える

わけです。

 

長々と稚拙な論考にお付き合いいただきありがとうございました。

また次回

 

 

 

スポンサーリンク
おすすめの記事