25:「キュレーションをお勧めする理由」〜起

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

 

今回はサイトのテーマにしている「キュレーション」の意味を説明をさせていただきます。

それと同時に、物が売れない時代を勝ち抜くには「キュレーション」が大事だというメッ

セージ合わせて述べさせていただきます。

以前「ロングセラー」を作ろうと、メーカー視点で書きましたが、セレクトショップの商

材の大半はロングセラー、不朽の名作です。これらは名は知られていますが、消費者に手に

取ってもらうには「なぜ買わなければいけないのか?」を伝える必要があります。

 

 

ものをタダ並べただけの店では無いというからにはお客様にわかり易く訴える、心に響く

訴え掛けが必要です。それがキュレーションという技であり姿勢であるという話です。

 

Contents

キュレーションサイトとキュレーションの違い

「CURET ION」キュレーションとは良く聞く言葉ですが、意味は

「人の手で情報を集め、整理して公開(共有)すること」です。

ですのでネットで見かけるキュレーションサイトの意味するところは

 

キュレーションサイトとは

キュレーションサイト
キュレーションサイトとは、キュレーションによって情報を人手でまとめて提供している(キュレーションサービスを提供する)Webサイトの総称である。        Webilio 

 

いわゆる「まとめ記事」が集めてある情報サイトであり、書き手はランダムになっている

事が多いです。記事をロボットが巡回して探してくる手法で、記事に誤りがあり炎上した

まとめサイトもありました。情報がまとめてあるのは便利ですが信用度はまちまちです。

 

このサイトは書き手も現在は私一人ですし、様々な情報をすぐさま集める工夫もされてな

いのでいわゆるキュレーションサイトには当たりません。そこで題名に使っている「キュ

レーション」の意図するところを説明しますと。。

キュレーション

もともとは美術館や博物館で企画展を組む専門職のキュレーター(curator)に由来する言葉ですが、キュレーターが膨大な作品を取捨選択して展示を構成するように、インターネット上にあふれる情報やコンテンツを独自の価値基準で編集して紹介するサービスもキュレーションと呼ばれ、IT用語として広く使われています。さらに近年では、人材教育や組織開発の分野においても、価値創造を促す新たな役割としてキュレーションの概念に注目が集まっています。  WEbilio

元々は美術館で〜と書いてあります。美術館でもモダンアートやストリートカルチャーの

様なトレンドを扱うこともあれば、古典的な巨匠の作品を集めて展示することもあります

。通な美術ファンから入門者にまで作家の個性を伝えるべくキュレータは展示会の都度工

夫します。

 

私がキュレーションという言葉を使いたい訳は、美術館のキュレーターが古典を使う場合に

企画・展示方法をあれこれ工夫する様が我々の業界の価値表現にも近いものがあると思うか

らです。

 

キュレーターの役目

佐々木俊尚さんの本に良い解説があったので参考にして説明します。

 

キュレーターは良く知られている画家の作品を紹介するにも、切り口を考えます。画

家の作風が固まるまでに、紆余曲折の葛藤や人生の苦難が背景にあったりします。作

家の人生を時間で対比させたり、同時代の違う作家と重ね合わせたり、そこは美術展

の企画者として腕が表される部分です。

 

良く知られているモネを例にとってみます(参照「白いキャンバス」

小さい時から絵が上手く、有名な「睡蓮」は86歳、最晩年の作品です。

一転して暗い絵ですがこれはモネが38歳、展示会で酷評されパトロンが破産し苦難の時代に

最愛の妻を亡くします。この絵は妻の死顔を模写したものです。もっとも辛い時代の作

品です。まったく作風が違います。

そのご世間の喧騒から逃れる様にパリから離れ郊外に自分の庭を作ります、モネ の庭

として有名です、この時43歳。作品に時間と共に変化する光を取り込もうとする作風

に変わってきています。世間から少しずつ認められてきた時代です。

 

この様に、若い時の苦労と時間の経過が作風に影響していきます。

貴方が美術館のキュレーターでモネを扱うなら、どの様に企画しますか?

 

印象派として同時期のルノワールらとグループ展示をする、モネの庭を作った以降の

モネらしい作品で企画する、もしくはたった五年しか違わないのに作風に大きな差が

出た40歳前後を切り取って展示する。。

 

いろんな切り口で一人の画家を紹介する事が可能ですね。その企画意図に反応して入

場者数が増えればキュレーター冥利なんだと思います。

 

温故知新

洋服屋のキュレーターはバイヤーになるでしょう。VP担当はあるもので飾っていき

ますが、キュレーターはもう少し能動的な動きです。

 

本来のセレクトショップのありようは古今東西のエレガントな逸品を紹介してくれる

存在です。時代が追い風となり服がブームとなる中で、トレンドが競争ポイントとな

り戦略的にオリジナル商材が開発され変化してきましたが、原点は「温故知新」の視

点でオーナーがお勧めしてくれる商売でした。

 

意味づけをする重要性

神は細部に宿るで、蘊蓄を語りやすいのもブランドの特色ですがここでキュレーター

が行う仕事は、1点の作品を語るのではなく「流れ」をストーリーにして伝える事で

す。もう少し広がりのある語り口が必要とされます。

 

テーマを設定した上で、ストーリーを展開させ落とし所がある、言ってみれば俳句の

様な感じでしょうか。。お題に合わせて季節を盛り込み、自分の感性を主張する。。

雑誌では「ブルータス」が近いと個人的には感じています。

 

(ブルータス バックナンバーより)

古参の知恵

お付き合いしてキュレーターだな!と強く影響を受けた方が高知インター中津の竹下

様です。

ケース1)白いスニーカーだけを仕入れる。ナイキやアディダスはもちろん、スペルガ

、トップサイダー、ビルケンまで白だけで売り場を構成する。

ケース2)顧客が求める形が決まっている場合。例えばポロシャツに決まりという

シーズン。色を多色展開する、顧客が少し驚くぐらいの横展開をする、12〜24色。

 

インター中津様の場合は150坪の郊外店ですので、入り口のアイキャッチが重要に

なります。SNSでよくサムネイル(表紙に当たる部分)が重要と言われるのに似てい

ます。人間は視覚情報を重視するのでファッションならではのキュレーションは効果

が大きいのです。

 

服のこれから4つのカテゴリー

  1. 機能性
  2. エッジ
  3. ロープライス
  4. 温故知新

(この4つといっている理由は、旧モードプレスの記事「ファッションが終わる前に」

「ライフスタイル・フォー・セール」に影響されたものです)

 

簡単に説明すると。機能性も服の原点は体温調節にある訳です。ですから特に「保温」

と言う機能で高く評価され、一旦地位を確立するとそのブランドイメージは揺るがない

ものになります。

 

(この部分の努力は軽視されてます、まるで「業界で1番になれないと意味がない」と

言う理由で努力が放棄されてると感じます。)

 

エッジ性は服好きの要素が色濃くでるゾーンです。コムデギャルソンをトップに、連な

るところは意見も分かれると思います。東京コレクションのスポンサーに(継続しない

ですが)ベンツやAmazon、楽天がなるのも勘所を押さえた投資だと思います。

 

トレンドは安く買えるのが若者にとってはもっとも嬉しい事で、一時はファッションの

民主化と言われましたが、ロープライスは落ちるまで落ち、セカンドユースともつれあ

う状況で、サスナビリティ的に地球資源の無駄遣いの汚名まで着せられてます。このま

までは誰も得はしないのですが、世界中に売れば採算が取れると言う蜃気楼を追いかけ

ているのでしょう。。

 

最後に残るのが

セレクトショップに準じる業態が選ぶべであろうキュレーターの道です。集めて、整理

して意味付けしてSNSで店頭で語られるわけです。温故知新に限らず切り口は多様にあり

ます。

 

ただ、SNSもそうである様に「わかりやすく」という条件はあると思います。一昔前の

通だけがわかる世界に閉じこもるのはいただけません。

 

ビームスの試み

ビームスジャパンがキュレーションショップとして名乗ってます。

セレクトというより、「人の手で集めて整理して公開する」というキュレーション精神に

溢れる店になっています。セレクトショップでは特定のブランドが一人歩きしたりしま

すがこういうお店では企画者のセンスが表に出てきます。

 

ビームスでは会社の原動力は「人」だという事で、楽天の商材を名物バイヤーや店長がキ

ュレーションするとこうなる」という企画もしてました。ビームスの様にブレない姿勢が

ある店は長く生き残っていく事になるのでしょう。100年企業を目指してもらいたいです。

 

特段、地方のアパレル専門店が価格競争や尖ったブランドを仕入れなくても、手間暇かけ

た珈琲を提供する居心地の良い喫茶店の様に、”て仕事”を顧客にわかやすく伝える事で十

分地方で役目を果たしていけるのではと思う次第です。要するに強みを今風に伝えるという

事が言いたかった事です。

 

そしてこのサイトも皆様と同様に、定番のネタを新たな切り口「キュレーション」で提案し

ていきたいと思います。

ではまた次回

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