
こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?
ほぼ一年振りでご期待いただいた方には申し訳ありません。
活動の主体がメルマガになり、ブログをどう活かすか考えてました。
(メルマガは2ヶ月に一回の頻度ですが、それでアップアップである)
そこで、メルマガで取り上げた記事を1つ取り上げて掲載してみたいと
思います。その分深掘りをして言いたい事が伝わるよう努力してみます。
メルマガでお読みいただいた方には重複した内容になります。
メルマガが2ヶ月に一度の頻度ですので、そのネタ利用ならば少なくと
も同頻度で書けるかと思います。
要するにキャパシティの上限がすぐ来てしまう。それが緩和できるかの
再挑戦です。
締切があると嬉しくもあり、その重圧に簡単に負けるという過去の実
績があります。もろい。気楽に行きましょう。
Contents
「幸せを売る商売」
人はどんな時に幸せになるのか
「人はどんな時に幸せになるのか」という幸福論の授業が、イェール大学
にあるそうです。心理学者ローリー・サントス教授による「心理学と幸せ
な人生」という講義で、イェール大学史上もっとも人気のある授業だと言
われています。
人が幸せを感じにくいのには、いろいろな理由があることは、直感的にお
分かりかと思います。
その理由の一つが、「いつの間にか、それが当たり前になってしまう」と
いうことです。
心理学ではこれを「快楽順応(ヘドニック・トレッドミル)」と呼びます。
1971年に心理学者フィリップ・ブリックマンとドナルド・キャンベルが提
唱した理論で、人はポジティブな出来事にもネガティブな出来事にも時間
とともに適応し、結局は元の幸福水準に戻ってしまう、というものです。
よく例え話になる「もし、宝くじに当たったら…」というのも、お金を使
い果たしたという結末の前に、当選の喜びはやがて"その状態"に慣れて薄
れてしまうことから始まっています。
短期的な高揚感と、中長期の効果
この話を私たちの商売に当てはめて、もう少し掘り下げてみると、人は短
期的な事象に一喜一憂し、中長期の効果を感じにくい、という性質が見え
てきます。
毎日の接客で新作を購入していただいたとすると、販売した側はそれで一
区切りです。しかし、購入していただいたお客様にとっては、そこから「
購入の高揚感」が始まります。
その良い気持ちが続くか続かないかで、「幸せの密度」も変わってきます。
イェール大学の講義を踏まえると、お客様の高揚感は一時的なもので終わ
ります。
新作のデニムパンツを持っていることに、やがて慣れてしまうからです。
ここで皆様に提唱したいことは、「お客様の購入後の高揚感が長続きする
様に気を配ってみませんか?」です。
お客様が「損した」と感じる瞬間
高揚感を下げるでろう、つまり「失敗した」気持ちになるのは防ぎたいです。
お客様が損したと感じるのは、次のような時です。
- 似合わない
- 褒められなかった
- 後で安くなっていた
- あまり着なかった
これらを避けるには、購入前の吟味も必要ですが、それ以上に「ご自身の
ワードローブへの溶け込み具合」が大事になります。
先の授業では、「慣れを防ぐには、味わい尽くす=味わう期間を長くするこ
とが重要だ」と教えてくれます。
実際、2005年にケン・シェルドン氏らが発表した研究でも、幸福の低下速
度を落とす鍵は「感謝」と「変化」にあるとされています。お客様に「褒め
られる」「ワードローブとの相性を聞かれる」という体験は、まさにお客様
自身に感謝や満足を言語化させる行為であり、この理論を接客に落とし込ん
だものだと言えます。
つまり、お客様への接客は事前のアプローチから当日の接客も大事ですが、
最終的に幸せ(買い物の成功)を決めるのは、アフターフォローにあると思い
ます。
例えば「購入から3ヶ月間は"味わう期間"」というように、フォローすべき
期間をあらかじめ区切っておくと、購入後のお客様に「いつ・何を」すべき
かが明確になり、スタッフ間でも実践しやすくなります。
都心のたくさんの通行量のある店舗では現実的でないと感じるかもしれま
せん。しかし、自分の顧客の見分けはつきますから、限定して試していけ
ばいいと思います。
長続きさせるには、
・小さく始める事
・ハードルを低く設定する事です。
自店が都心にない場合は、ご来店数が少ない分十分に取り組む時間はあるは
ずです。また都心店にはない競争戦術を常に探しているでしょうから参考に
していただければと思います。
再来店時こそ、フォローのチャンス
再度ご来店いただいた際には、過去にお買い求めいただいたお品をご着用さ
れている確率が高いはずですから、その点はしっかりフォローしたいところ
です。
きちんとお褒めして、ワードローブとのマッチングをお聞きする。その会話
の延長から、お客様のワードローブの弱点を推測することもできますし、何
より自店で購入いただいた商品に高い幸福感を持っていただくことは、他店
での買い物体験との明確な差別化になります。
多くのお店は販売前の施策としてインスタグラムやキャンペーンを行います
が、売ったらお終い、すぐ次に移ってしまいます。
ご購入を終点にしてしまうのは、とてももったいないことです。
こうなってしまう背景には販売実績が大事というより、評価制度が売上に
しか紐づいていない、という構造的な問題があるためだと思います。
お客様のライフタイムバリュー(顧客生涯価値)と考えると重要なアクシ
ョンだと捉え、販売には中期的視点もあると、評価制度への組み込みをお
勧めします。
ライフタイムバリュー(LTB)とは
=平均購入単価✖️購買頻度✖️継続期間✖️粗利率です。
主力顧客20〜30名という現実
私の感覚地ですが、年商1億円ほどのお店でも、主力の顧客様は20〜30名
ほど、少し広げても50〜70名ほどだと思います。これはチームで十分に聞
き取りできる範囲です。
実はこれは経済学でいう「パレートの法則(80:20の法則)」そのものです。
売上の大部分は、一部の優良顧客が生み出しているという考え方で、限られ
たリソースをどこに集中させるべきかを考えるうえで、理にかなった発想と
言えます。
その方たちの分くらいは、販売後の「味わう期間」に寄り添った接客をして
はどうでしょうか。
昔から販売の現場では、顧客が何をお買い求めになったか、ワードローブが
どうなっているかを記録してきました。今はAIもありますから、やり方次第
でいくらでも工夫できます。
購入者向けに発信するインスタグラムのような、こんな使い方もあるはずで
す。
商品特性には「人と違うから良い」ものと「人と同じだから安心」なものが
あります。人と同じだから〜はいわゆるトレンドです。
今ならカーヴィパンツがそうでしょう。ご購入されたお客様にインスタに
登場していただいたり、組み合わせの成功例を披露していただくなども
良い試みだと思います。
VIP接客の事例と、中小店舗への応用
前職の時に、旗艦店の店長から聞いた話です。
VIPのお客様の接客では、そのご自宅に伺い、季節から外れたアイテムを
タンスから整理し、それを別荘に送る分と、親戚などにシェアする分とに
仕分けするそうです。
そのうえで、新たに加えた方が良い推薦リストと、その活用スタイリング
例をお渡しし、ご納得いただいた上でサインをいただく。おそらく百貨店
の外商も、同様のお手伝いをされているのだと思います。
もちろん、地方の専門店で自宅訪問までは難しいかもしれません。ですが
、同じ発想は来店時のヒアリングシート一枚でも再現できます。
「前回ご購入いただいたお品、その後いかがですか?」「今のワードローブ
で、もう出番が少なくなったものはありますか?」と聞くだけでも、規模を
問わず同じ効果が期待できます。
お客様から見て求められているのは、次の3点に集約されます。
- 時間がない
- ワードローブを組むにはアドバイスがいる
- 買い物体験そのものを大事にしたい
このような「視点」で寄り添う事が大事かと思います。
結果として、購入品を長く味わっていただけることになります。
経験に「思い出」をのせる
この様なサービスの提供には「対価(低下販売)」が必要なわけですが、
上位顧客様であれば十分に成立するでしょう。
カーネギーメロン大学のジェフ・ガラック氏の研究によれば、経験にセン
チメンタルな(思い出としての)価値を付けることが、快楽順応への対策に
なるとされています。
またポジティブな経験は、他人に話すことでもその幸福感を引き延ばせ
ることが分かっています。
こうして生まれた「幸せ」は、ご友人にレコメンドしていただける、口コ
ミという形で返ってきます。これは心理学でいう「返報性の原理」――何
かを手厚く与えられると、人はお返しをしたくなる――にも通じるもので
す。
やればやるほど、自店の未来が安定していくのです。
個人の販売員様へ
この業界で自分のキャリアを上げていくには、上記のような中期課題に対し
て「どのように取り組み、どんな工夫を行い、こういう成果を得たか」を職
務経歴書のような形で用意し、毎シーズン上書きしていくことです。
自分の努力や実力を見える化し、書き出して、そのスキルに"値段"が付くよう
にしていくと良いと思います。
「いくらで雇われるか」という受け身の思考ではなく、自分で自分に値段を
つけていく姿勢を持てれば、どこでも働けるでしょう。
そういう積み重ねこそが、縮小する市場でも生き残っていくための技だと思い
ます。
今回はテクニック論に見えたかもしれませんが、短期的な売り上げ目標への
アプローチは重要視される反面、中期的なアプローチは低くみられがちです。
現在の市況回復にはまだ少し時間がかかると個人的にはみています。そんな時
でもできる事はあるので積み重ねていきましょう。
ではまた次回







