こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?
更新3ヶ月飛ばしてしまいました、申し訳ありません。
私事ですがその間、親の看取りと会社の退職がありました。それらが
ひと段落した所です。
円満退職ですが、私の出身会社は情報が流用されることを気にする社
風なのでプロフィールは非公開のままでいようと思います。
現在の活動拠点は九州(福岡中心)です。古くからの顔見知りの関係
であるメーカー様のブランディングと地方老舗セレクト店へのアドバ
イス業務を始める予定です。
元々、こちらのサイトも立ち上げ時から中小メーカー様と地方専門店
様へのアドバイス・サイトというコンセプトですので、そのスタンス
を継続していくつもりです。
今後は業務を通じてリアルな現場を知ることで皆様方のお悩みもより
深く理解できると思います。
さて現在、過去にこのブログで書き散らかしてる内容を専門店様向け
にまとめる作業をしています。(描き散らかしているの意味はテーマ
がバラバラだったという意味です)
まとめた内容で見開き4pのチラシを作成し、福岡の合同展(ゴールド
ラッシュ)で定期配布しています。現在8号までお配りしました。
対象は過去にお付き合いさせていただいた専門店様のお悩みを思い出
しつつ、ご夫婦経営の年商5000万前後ぐらいのお店を想定して書き
ました。つまり現状打破にきっかけが欲しいと考えてる方です。
今後は、過去号を含めnote等に出せればと考えていますが先になりそ
うですのでご興味ある方はご連絡ください。
どうしても書かないと考えがまとまらないところもありますので、こ
のブログとチラシの内容は被ってきますが、被る部分は本人は大事と
思ってると言うことですのでよろしくご理解ください。
今回はまず8月の頭の雑感から始めたいと思います。
Contents
史上最高の猛暑の影響
エルニーニョからラニーニャへ変化すると”かも?”という5月の気象庁
の予測は遅すぎて役に立たないと思ってましたが、ラニーニャ+イン
ド洋海水温上昇の勢いは半端なかったですね。
気温が一番上がるとタンクトップが売れますが、ユニクロにはしっか
り揃えてあるの(それでも白は完売)数字は取れたのではないでしょ
うか。(ポロシャツもトレンドでもあり勢いついてくると思います)
都心大手が順調に数字を伸ばしたのに対して、地方専門店は弱含みの
話が聞こえてきます。猛暑に対応した素材調達、元々苦手な時期で在
庫を持ちづらいなど好機を活かせない背景もあると思います。
WWDで目にした記事ですが「顧客様は冬は冬で楽しみにしている。
季節の長短で臆する事なくお勧めしていく」と言うのはなるほどと
思いました。
通年でインナーが大事になってくるので、素材トレンドを考えると
カット、アイテムでカーディガンが大事になってきそうです。
地球温暖化原因はは100年〜200年のデーターではデーターが少なす
ぎて語れないそうですが、ここ100年に限って言えば、少々高めの最
高気温は過去にも例がありますが問題は深夜までの最低気温が下がり
にくくなってるからのようです。だから夜も疲労が抜けないのですね。
SONYの新商品(とは言えバージョン5)も話題でしたが今後の機能
性商材の開発でも、この「24時間高温で疲れが抜けない」というの
がヒントになりそうです。(ワークマンにありました)
男性の日傘も定着しました。私の住むここ南国でも大雨の日に傘を持
っているのにささないやんちゃ小学生はよく見るのですが、そんな子
でも日傘はしっかり使っております。使ってみるとその効果がよくわ
かるのでしょう。
皆様発案の新商品も学校指定になるチャンスかもです。ラニーニャは2
年連続もあるので、来年も注意です。ただ今年の冬は普通に来ます。
暖冬にはならないと思います。
ラニーニャは夏も冬も極端なのが特徴です。
ご注意ください。
合同展で現物補充、皺寄せがメーカー側に
5月と7月の合同展を見てましても夏の現物リピートの注文が多く、出
品している防寒物には興味が薄い専門店が多かったように感じました。
専門店様は猛暑対応が最優先の感じでした。
中小メーカー様は自社商材のブランド化が進まないとなかなか先物発
注には結びつかない気がします。しかしそうなれるのは100社に1社ぐ
らいでしょうか?
10本ぐらいのラックを出して新規商品は実質3本分ぐらい、残り7本
は現物やリピートの再展示です。
現物は単価も低く単品ヒットで型数も限られます。毎回大きく取引先
が増える雰囲気はなくこれでは中小メーカーは明らかにジリ貧の一途
です。現物はリスク分の掛け率を上げたらどうかと思います。
(メーカーさんは注文の姿勢が見えたら作ろうと手控えるので、発注
規模のある大手専門店様が「サンプル数が少なすぎる!」と一番困っ
てるとも聞きます)
専門店側からこの風景を見ますと、専門店がシーズン末に現物を追い
かけるのは、シーズン頭に考えていたシナリオがシーズン末にはずれ
てくるのでズレの埋め合わせが必要になるためだと思います。
元々、柔軟性を維持するために3〜4割ほど期中に予算を残す考え方
もありますが、なかなかまめな方でないと実行できません。忍耐力も
要るますし経費も気になります。
そして、シナリオが維持できないとなると現実対応に力を注がざるを
得ないのでしょう。前々の準備ができていないと、相撲の引き技のよ
うに安易な方へと転向してしまいがちです。引いて引いて。。(以前
から紹介してるように人は利益より損の防止に情熱を持ちます)
これを少し俯瞰してマクロな視点で見れば、市場全体が成熟化してる
中では専門店様の中で二律背反が発生している時期です。
全体の客数が伸びない中で、一部顧客のリクエストに応じていますと
経費が重くなってきます。伸びがなくなると途端に店もスタッフも歳
を取った事を感じさせます。
やがて経費はトントンから”重みを感じるように”加速していきます。
伸びが鈍化した中で従来のオペレーションを維持するとそうなります。
ここでサービスや業務を端折ると上得意様のクレームに直結します。
(2が成長期、3が成熟期、4が衰退期、Bは利益)
大手も退職者の穴埋めを遅らせて自然減を増やすように”従来の戦術”
を継続する歪みを人件費で調整したりします。そうなると運営は変
わらないので業務が溢れ出し、一人三役のような創業時と同じよう
な肉体的苦労がオーナーにまたのしかかってきます。(オーナーが
その役をしないならその下の方が担ってるはずです)
と、成熟期というのはそういう時期です。成長期と成熟期のあいだな
らまだ成長のジレンマとも呼べるかも知れませんが、成熟から衰退の
向かう後期のジレンマだと価格競争しか差別化がないのでより苦しく
なります。(少人数で量をこなす道)
そういう時期に合同展の役割を問われるとすれば、「現物展」という
のは”柔軟性を保つ”ために必要な役割で十分に役に立つ存在です。た
だメーカーさんからすると新規客を見つける、新ブランドのお披露目
という役割は減少するでしょう。
なぜならばこの時代に専門店を起業する方の立場で考えれば、実店舗
ありきではなくなるでしょうし、テーマーもニッチを選んだりするの
で開拓方法も合わせて”変化”する事でしょう。
メーカーさん、専門店様共に変化するしかない
理由は、成長期の成功戦略と成熟期の対応策は自ずと違うからです。
簡単に言えば、成長期は足し算引き算です。在庫や店舗数を足し算す
るのが一番効果があります。成功したチャネルをひたすら広げる。
特定の事業に集約するのも、一旦整理する施策は引き算は入るものの
、整理後は集中して投資する足し算戦略です。
でも成熟期はその成長がなくなるので従来の競争から抜け出したかっ
たら全く別の価値観を提供しなければいけません。しかも既存事業は
全力で続けながらです。
走りながら着替えるようなもんで考えただけで転びそうです。
これを「(今まで大事だった)何かを捨てて何かをくわえる」と表現
する人もいれば「新しい価値✖️新しい喜び」のような掛け算で考える
べきだという人もいます。
例えば、業種は違いますが回転寿司の3強は国内出店の余地がなくな
りつつあります。既存店はSNSバズリ目的テロ対応でレーン流しを売
りしづらくなりました。成長鈍化下の中で食テロ防止、売り上げ維持、
回転寿司の魅力向上の3つを同時に解決しなければいけなくなったの
です。
その答えとして、スシローは10店舗ほど画像タッチ方式のディスプレ
イ店を開発しました。(デジタルスロービジョン)
このように、よりDXを工夫した新店舗や海外出店に活路を見出そうと
しています。どこも”変化”は当たり前の時代です。
よってメーカーさんと専門店様の2人3脚が理想として考えますと、
(成長期の)成功体験から変身できない専門店様が内側の走者だとす
れば外側に走者のメーカーさんは歩調を合わせるしか仕方がないです。
メーカーさんからすると、
1、自分のブランドで一人で走る(新ブランドで卸に頼らない)
2、変化している専門店様とお付き合いする(自分も変化する)
3、変わらない専門店様に歩調を合わせる(リストラしお付き合い)
の3択になるでしょう
(私の考えでは専門店様との伴走を目指すメーカーさんの変化はよりリ
ードタイムを短縮する方向になると思います。原料に近いポジションに
なるか、工場の傘下に入るか、サプライチェーンの短縮化ではないでし
ょうか?)
今までの考え方が通用しないことを受け止める
ここからは専門店様の立場で考察してみましょう
自分のスタイルを変えない
自社のスタイルを変えないと言うのは、
同じような仕入れ先から同じリズムで仕入れ、同じように残してキャリ
ーを抱え込む。
ブランド集積が売りで、口座を開けたブランドロゴをウインドウーに
ペタペタと貼りつける。一昔前はブランドで店格を表すこともあり、
ベタなアピールも必要悪とされましたが、SNSの時代はどれも中途半
端にしか揃わないからどのブランドファンからも飽きられ易くなって
います。
悪意があるように書いてますが、どのやり方でも利益が出て現金が増え
ているのならばとやかく言われる筋はありません。
ここまでお店が続いているんですから、どのやり方でも通用した時代
はあったのでしょう。しかし、そうでないのならばやり方を変えなけ
れば市場から退場になってしまいます。
創業した当時は、意識的・無意識に関わらずその時良い戦術を選んで
いるわけです。それを見直すべきポイントに到達したことをどうやっ
て推し量れば良いのでしょう?
それは手元現金ですね。在庫が残って現金が増えてないなら変身を考
慮すべきです。
ではどう”変化”を考えれば良いでしょうか?
コペルニクス的(天動説を捨てて地動説に変わった)視点の転換
例えば大手さんの行き詰まりを例に挙げてみましょう。
撤退的進化系としてポートフォリオの組み替えがあります。
服以外の扱いを増やしている、服以外の企業と提携したり傘下に加え
ています。
自分は服屋だと定義付ければ、服をどう売るか、どう着ていただくか?
が課題であり目標になります。そうなると服のウエイトを減らすこと
は自分らしくない?ように思えます。
しかし、ここで天動説と地動説のように視点を顧客側に映してみまし
ょう。
自分が顧客だとすれば自分のライフスタイルはこの20年でいろいろ変
わって来てると思います。家族構成や職場も変わったせいかも知れませ
ん。変化は当たり前だと感じるはずです。
それならば、同じように顧客のこれからの20年のライフスタイルを思
いやることは自然な行為です。その時に服の購入頻度が落ちる事が想
定されたら?どうでしょう。
顧客の思いに寄り添うと考えれば、いろんな物を扱ってもおかしくは
ありません。そう言う考えがあればポートフォリオの組み替えがある
でしょう。リユースを扱う子会社を持ったりするかも知れません。
昔話になりますが、私の在籍していた会社が旗艦店を出した時にマー
ケティング会社が出したレポートを読む機会がありましたが、そこに
は「こういうアッパー向けのセレクトが成立したとしても、富裕層の
市場は小さい(30年前の話)、進むべき道はLVMHグループのように
富裕層というターゲットにライフスタイルを提供する役割を担うべき
だ」という内容でした。
最近のWWDレポートで小島先生が同様の提言をされてます。「セレ
クトはターゲットを高級路線に絞るべきだと」、ベターラインのセカ
ンド以下の事業からは撤退すべきだという内容でした。
MD上の提言も含まれますが、私の理解では「顧客をよく見ることで
なすべき事は見えるはずだ」と読み解きました。
大手企業がポートフォリオを組み替えているのは「何かを捨てて何
か(大事なものを)加える」作業なのだろうと思います。またそれ
はお客様が欲している方向への変化なのだと思います。
従業員は変化が怖い
Chat GPTによるAI革命が現在進行中ですが、世論的にはあまり盛り
上がってません。確信的信奉者と一般大衆の温度差は大きいでしょう。
そこにあるのは変化の怖さです。
自分が”その後”の世界でも安心安全に身分や職が守られるのか?は誰
しも心配するところでしょう。
そういう意味で、この業界の従業員の大半は販売関係ですから「販売
の未来」には大きな心配があるでしょう。自分が定年まで働けるのか?
また多くの従業員は既存の事業を支えている役割だと思います。自分達
の頑張りは自分達の評価に反映してほしいと思っているでしょう。
そういう不安を抱えて平等な評価を求める従業員の立場からは、ポート
フォリオの組み替えや、服の比重が下がる、新規事業への投資などの
経営の動きはどう見えるでしょうか?
普段から十分に寄り添ってないとそういう話も聞いてもらえないでしょ
う。また過度に寄り添いすぎて従業員の不安と経営が一体化してしまう
と変身はできなくなってしまいます。
大手企業のニュースを見ていて思うのは、積極的に顧客のこれからの
20年のニーズ、して欲しいことを考え自らを変化させてく企業のニュ
ースと、自らを今の立ち位置で定義してしまいそこから変わらない自
分達は”変わらない事が正しいんだ”と天動説で市場に留まろうとする
保守的企業のニュースの2つに分類されていると感じます。
「儲けようとすると繁盛は逃げていき 繁盛に努めると儲けは近づいてくる」
変身のポイント
この章のテーマ「儲けようとすると〜」は商業界 倉本長治先生の言葉
です。
私はこの言葉に「どう変化すればいいか?」という問いの答えを見出し
ています。「繁盛」がキーワードになりそうです。
市場、バザールの賑わいは視覚や、聴覚、嗅覚など五感を刺激する空気
感がそこにあります。
そういう事業はなんだろう?
もし地動説を唱えて、顧客の要望に合わせて自らが変化していこうとす
るならば顧客の聞くのが一番良いかも知れません。
前記したセレクトの未来は、会社が大きくなった戦略はファースト事業
を見せ球にしてセカンド事業で刈り取るだったかも知れませんが、それ
も物が欲しい90年代の戦略です。
今の顧客に聞けば何を望んでいらっしゃるか?その要望に素直に応える
文化があるかに掛かってくるのでしょう。
「これが良いと」ストレートな答えを頂けなくても、提案に対して賑わ
いの香りがする方向が求めるヒントになるかも知れません。地方の専門
店様も同じだと思います。
知の探査と現状の深掘り
ここまでの変化の話は以前から紹介している「両効きの経営」と重なる
ものです。
成熟期まで差し掛かった企業は規模もありますから、大型トラックが急
な右折左折が出来ないように少し前からハンドル操作をしていかなけれ
ばいけません。
無理なハンドリングでトラックが横転するのは自分の主力事業を壊して
しまい、飯が食えなくなる状態ですから避けるべき事態です。
ですから、出島ような環境を作り、普段から有能なスタッフを配置して
学ばせ、仮説を立て実験させる行動が必要でそれを「知の探求」と呼び
ます。これを手に例えると左手の役割とします。
右手の役割は既存事業の深掘りです。もう掘り進める余地がなくなった
とか前記した寿司チェーン店の国内事業課題などがそうですが、それに
飽きずに取り組むという事です。
この両手をうまく使っていくという経営指南書ですが、最近読んでる「
世界標準の経営理論」にも大きく取り上げられていました。
日本国自体が高齢化で成熟期に入ってますから、アパレル以外の多くの
大企業もこの両手の使い方に取り組んでいるという紹介がされてます。
その本を読んで思い当たったのは
「知の探求(新しい事業創造)」をする場合、ゼロから行わずに類似
の企業を買収してそこを出島として人材を送り込むことでより深く理
解していく方法があると出ていました。
私が思い当たったのはアダストリアさんがウエルカム社(雑貨)の事
業を一部引き受けましたが、単なるM&Aの類かも知れませんが上記の
様な経営戦略を取ってるのでは?と思いました。
アパレル企業がどこを目指せば良いかと言うと、小島先生が旧御三家
に高価格特化戦略を勧めているように、それぞれの既存事業の価格帯
によって”繁盛するポイント”は違うのだと思います。
そんなことを地方の合同展示会で感じました。
元マイクロソフト社長の成毛眞さんの話を聞いて
「アイフォンで使われてるGPSはアインシュタインの相対性理論が元
になってるが、100年前に発表された時は世界で3人しか意味がわか
らない発明と新聞に書かれたそうです。偉大な発明を庶民が日常で理
解するのに100年かかっている。そしてこれから10年で次から次に大
発明が続くと期待されてる。けど歴史が示す通り多くの人は理解出来
ないだろう」
と言う内容でした。この話も聞いてワクワクする人と怖く感じる人に
別れると思います。
そう言う変化があたり前の時代に生きてる方々を顧客とする以上、私
達もなんらかの影響は受ける事でしょう。世の中が変われば顧客も変
わり私たちの役割も変わると言う事だと思います。
既存事業を飽くなき辛抱で稼ぎ続け、知の探究を絶やさないようにし
ましょう。
ではまた次回