99 :「ワンマン経営を考えてみる」

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?

 

今日はワンマン経営について感じるところをまとめて見ます。

個人的に最近中小経営者とお会いする機会が増えました。

 

いろんなタイプの方がいらっしゃいますが、創業者の方は個性

的という印象を持っています。

 

元々、創業者は”開拓者”でいらっしゃいますから周囲とは違う

オーラを持っている方が多く、その源泉は起業への情熱やファ

ッションへの熱情、商売への執着だったりしますからそれらが

個性を形作るのだと思います。

 

そんな情熱あふれる創業者を称して「ワンマン経営者」と呼ば

れる事があります。その意味するところはいろいろです。

 

仕事へのプライドとも聞こえますし、風通しの悪さを揶揄する

様にも聞こえます。そんなワンマン経営について考察してみまし

た。

 

Contents

創業期と成熟期で良し悪しでがち

まずはワンマン経営をフラットな視点で良し悪しを点検してみま

しょう。

 

ワンマン経営の長所

1)意思決定の迅速性: ワンマン経営の企業は、経営者が唯一の意思決定者であるため、迅速な意思決定が可能です。これにより、市場の変化や競合他社の動きに迅速に対応できる利点があります。

2)柔軟性と適応力: ワンマン経営者は自社の状況に迅速かつ柔軟に対応できるため、急激な変化にも迅速に適応できます。これが、市場のトレンドや消費者の好みに即座に応えることを可能にします。

3)経営者の情熱と専念: ワンマン経営者はしばしば自身のビジョンや情熱に基づいて事業を興しており、その情熱が組織全体に伝わることで、従業員のモチベーション向上や企業文化の形成に寄与します。

4)費用対効果の最大化: ワンマン経営の企業は、意思決定の中枢が一元化されているため、経営者が費用対効果を重視しやすく、無駄なコストを削減しやすいというメリットがあります。

 

長所を見てみると、創業者が市場に素早くアジャストし易く、機動力

もあるため修正も効きやすい様子が伺えます。また創業期にありがち

な”夜明け前が一番暗い”状況でもビジョンを語りチームを引っ張る起

業家の側面も伺えます。

 

総じて創業期から成長期にかけて躍動するイメージです。

 

ワンマン経営の悪い点

1)意思決定の偏り: ワンマン経営では、経営者一人が全ての意思決定を担当するため、その判断が偏りや誤りを含む可能性があります。これにより、経営判断のリスクが高まることが懸念されます。

2)組織の成長制約: ワンマン経営者が企業の中心である場合、企業の成長において限界が生じることがあります。成長に伴い業務が複雑化する際、一人の経営者がすべての業務に対応できなくなります。

3)意見の多様性不足: ワンマン経営では、経営者の意向が強く反映される傾向があり、組織内での意見の多様性が不足する可能性があります。これが新しいアイデアやイノベーションの抑制につながることがあります。

4)経営者の過労: ワンマン経営者が全ての責任を負うため、業務量が非常に大きくなり、過労やストレスのリスクが高まります。これが経営者の健康や企業の持続可能性に悪影響を与える可能性があります。

 

悪い点を4つ見てみると、会社が大きくなった時に現れる事象に

ワンマン経営が不協和音を出てくる感じです。

 

創業期は商売がわかっていることが会社のステージを引き上げる

事につながっていますが、組織が大きくなると出てくる問題はバッ

クオフィス含む全体的な課題へといく様です。

 

組織の問題の代表例はコンフリクト(二律背反)です。短期と長

期、集中と拡散など優先順位の混乱などがあります。

 

攻めだけでなくこのような守りの場面も想定していくと意思決定

に関わる議論には意見の多様化が必要になるのでしょう。

 

その様に考えると、成長期にはどういう経営をしようが勢いが

全てを解決するのしょうが、組織の成熟期には意見を引き出す

リーダーシップが重要なのでしょう。

 

創業期にはエネルギーが必要であり、そのエネルギーのポテンシ

ャルを称して「ワンマン経営」と呼ばれるのでしょうが、成熟期

にはそのエネルギーの偏りが問題になるという事のようです。

 

0→1の場面と1→10では求める人材が違う

経営環境はコンフリクトし、逆境の場面が増える

現在視点でこの業界を見てみると、多くの企業が20年、30年を経

過しており市場自体も成熟期と言えるでしょう。

 

ですので経営環境ではコンフリクトが満載ですし、インフレを初め

思うようにならない環境が連続しています。

 

おもてなしの人材は生産性を求められ、顧客満足だけを考えてれば

良い環境ではなくなっています。多くの有名ブランドを持つ企業で

は増加する経費と成長性の鈍化の板挟みになっています。

 

顧客は従来通りの対価に値する満足を求めますが、ブランド側は効

率化という評価指標のもとにより多くの売り上げ達成を目指します。

 

両者の歯車が噛み合わなくなると共に、期待に比例する不満足がク

レームになって表面化します。ある意味顧客満足は従業員の持ち出

しサービスになってきています。

 

創業期にはそのような全体最適を考える団結力もありましたが、成熟

期にバトンを受け取った経営者に同じようなリーダーシップは荷が重

いケースも多いように思います。

 

組織の置かれているステージで望ましい経営とは

では成熟期における望ましい経営スタイルを考えてみましょう

成熟期の望ましい経営スタイル

1>分散化と委任:
成熟期の組織では、経営者が全ての意思決定を行うのではなく、適切な権限と責任を組織内の異なるレベルに委任することが重要です。これにより、組織全体が柔軟かつ効果的に機能し、意思決定の迅速性が維持されます。

2>組織文化の強化と共有:
成熟期の組織では、共有された価値観やビジョンに基づく組織文化の確立が重要です。経営者が組織メンバーと共有価値観を築き、協力と協調を促進することで、組織全体の一体感が生まれ、成果を最大化できます。

3>効果的なコミュニケーション:
成熟期の組織では、情報の円滑な流れが必要です。経営者は従業員との効果的なコミュニケーションを確保し、意思決定プロセスや組織の方針を透明に伝えることが求められます。これにより、組織内外での情報共有がスムーズに行われます。

 

出てくるキーワードは権限委譲、コニュニケーションというのが

重要になってきます。

 

大手の企業であれば定期的な若手従業員の雇用や異業種からの中

途採用もありますから世代間や価値観GAPを埋めるためのコミュ

ニケーション作りは当たり前ですが、中小企業ではどうでしょう

か?

 

このコミュニケーションが同族内となると親子関係や夫婦関係の

しわ寄せのような”感情”が含まれてくると難しくなります。

 

そのようなこじれた関係の中に入ろうとする従業員はいませんか

ら、そのような歪さを抱えたままの経営になっているのは地方で

は見かける残念な光景です。

 

全ては継承時に現れる

過度なワンマンは繋ぎ目を否定した生き様になってしまう

経営30周年以降も伸びてる会社を見てみますと、創業者は会長に

なり新たな担い手が新社長の二人三脚が上手くいっている場合で

はないかなと思います。(あくまで私の考える理想です)

 

ワンマン経営の弱点を一言で言うと「継ぎ目の否定」と言えるの

ではないかと思います。

 

継ぎ目とは後継者であり、先の権限以上やコミュニケーションは

継ぎ目の前提となるワードです。

 

良い意味でワンマン経営で業績を伸ばした方が、次のステップで

考えるべき姿というと

ワンマン経営者への継ぎ目目前時のアドバイス

A)信頼できるリーダーシップチームの構築:
ワンマン経営者は、信頼できるリーダーシップチームを構築し、権限と責任を適切に委任することが重要です。これにより、組織全体がリーダーシップの下で協力し、成果を上げることができます。

B)組織文化の醸成:
経営者は共有価値観を従業員と共有し、組織文化を築くための努力を怠らないようにします。従業員が経営者のビジョンに共感し、それを実現する使命感を持つことで、組織全体が成熟期においても一体となりやすくなります。

C)効果的なコミュニケーション強化:
経営者は透明性を重視し、組織内外でのコミュニケーションを強化します。従業員との対話やフィードバックの機会を増やし、情報が隅々まで浸透するように努めます。これにより、組織が変化に対応しやすくなります

 

まずご自身の強みのリーダーシップ経営をチームの形にすること。

その上で会社内の透明性を高め、自分の代わりとなる屋台骨として

ビジョンを社内に浸透させることが大事のようです。

 

その上で、一方的なコミュニケーションではない対話がある環境を

作るのが王道になると思います。

 

しかし、それらはどうしても時間が掛かる事なので、事前の準備が

ないまま引退時期になると、それらのツケがまとめてやってくる事

態になります。

 

それがワンマン経営の最も悲劇的な場合だと思います。

 

デュエットの勧め

コンフリクトを利用する

中期と短期問題のように2つの問題を抱える成熟期の社長は大

変です。

 

短期の数字をクリアしながら、サプライチェーンや人事課題、

システムのDX化など中期にまたがる改善も行う必要があります。

 

インフラ改革はナタで切り開く場面であり、数字の調整は小刀で

仕上げる局面と全く要求されるリソースも違うのです。

 

先の事例で会長と社長のW経営が上手くいくと言ったのは、この

ような二律背反の課題を分けて担当すると良いのではないですか?

という提案になります。

 

取引や仕入れの形態は習慣となってしまいなかなか改革は難しい。

そういう社内外の反対を退けても断行する役割は創業者しかでき

ない面があります。自分が作ったルールは自分で壊す事ができます。

(会長として中期課題を手助けする)

 

数字の短期課題は例え環境要因が影響を及ぼそうが、社長で対応す

べきミッションです。

 

ですので、成熟期になれば出てくる問題を会長と社長のハーモニー

体制で運営するのが理想的かなと思います。(社長が新たな右腕と

両方の課題を解決できればベストでしょうが、ワンマン経営の下で

複数の人材が育っているとは想像できません)

 

ワンマン経営者の方の印象は、皆さん自重気味にお話しになられ、

自虐で表現する方も多いように感じられますが、その裏には強い自

負をお持ちです。

 

最後まで仕事を全うする情熱で次世代へと繋いでいく。繋ぎ目が目

立たなければ目立たないほど成功と言えるのではないでしょうか?

 

今回は以上です

また次回

 

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