前編
後編
長文だったので、前編・中編・後編に割りました
予測差異を補完する生産方式
予測のスタイルに合わせた生産方式があるのでまとめておきます
- 発注量を決めて川上から流すのを「プッシュ型」生産
- 顧客要望から川上に発注を上げるのが「プル型」生産
- ある程度まで半完成品を作って、顧客要望を載せて完成させるのが「BTO型」生産
(BTO=built to order オーダーに合わせて作る)
プッシュ型はまとめ生産、これだけ数を出すから安くしてくれという生産方式です。
プル型は需要に合わせて、生産していくやり方でトヨタ生産方式です。
需要に合わせて川上では段取り替えが発生します。
「赤」が売れると思ったら「黒」のオーダーが来た、「黒」が止まって「緑」になったと
市場の動きに川上の段取りを合わせていきます(そういう用意をした上で)。
コンビニの補充はこのプル型で賄われていますよね、店により1日の補充回数の違いはありますが。
BTO型はデルコンピューターで有名になった作り方です。パソコンはだいたいお客の要望で
画面の大きさや品質の程度が組み替えられると思いますが、その方法の元祖が「デル」です。
(どの程度の、どの段階の半完成品を持つかで種類が分かれます)
生活の中でこの生産方式の違いを見つけることができます
例えば、寿司屋のカウンターはプル型(注文に応じてシャリから握る、需要が起点。部品の準備は
ある)
回転寿司はプッシュ型(見込みで在庫をレーンに乗せる、販売予想分を投入)
新幹線が席まで運んでくれる回転寿司は「BTO型」
(シャリはロボットが握っていて(半完成品)スタンバイ、オーダーが入ってからネタを乗せて配達する)
生産方式はいろいろありますが、問題はやはり予測ですね、これが難問です
予測は人がやっていることなので”迷い”が随所に現れます。
予測しにくいのに、予測できると考えてる場合(強気のバイヤー、洋服屋のMDの人とか)
潜在意識では迷いがあるので、発注品番数が増えることが多くあります。
この状況にそっくりなのは絶対に当てたい馬券購入、経験ないとわかりにくかもですが
→迷いと強烈なプレッシャー
→全頭買いしてしまえ
→どれかは当たる
→費用相殺で負ける
(当てたと面目は保つ)ww
このように困難な予測の進化は「AI」に託そうという動きがありますが、新聞等を見ている範囲
では難しそうです。AIのようなデジタル改革が生産部門にも入ってきており「インダストリー4.0」
という未来が見えてきてる事はご紹介しましたので、予測は無理でもリードタイムの劇的な短縮化は
実現できる可能性が大きい(私見ですが)です。
予測自体は限界があると考える業界が多く、トヨタ生産方式が有名ですが、需要と供給を限りなく近
づけることを目指す考え方があります、これをシンクロナイズと言います
(会社の本体が工場にあるから出来る考え方なのですが。。ベースの考え方はリードタイムの短縮化
です)
販売と生産(仕入れ)のシンクロナイズを目指す
ソフトクリームとたこ焼きに話を戻しますと、理想とするビジネスモデルは途切れない客足
に対してさほど”待たせない”間隔で商品を渡せている状態です。
販売量と生産量がほぼシンクロナイズ(同調している:合理的な量の在庫を持つ)している
という事になります。
シンクロナイズはトヨタ生産方式では早くから言われてきた事でありますが、いかんせん
トヨタ方式を真似できる所が出てこなかったという難しさもあり、現実よりも「概念的」な
理解に留まっております。(この点は私の勉強不足で知らないだけかもしれませんが。。)
また、車という商品も大体日本で販売される量は予想が立てられる範囲であり、車種や色の
区別はあるにせよ❷ある程度予測できる領域だから出来るんだと言われてもいます。
大事なのは❷の予測へのブレを自社の風土と生産技術で❶のレベルへと押し上げている姿勢なのだ
と思います。
ですので、(トヨタ的風土がないと)多品種の業界でこれをやるのは難しい。
服飾業界の場合、この生産量の読みにくさに加え「納期:販売時期:賞味期限」の組み合わせが
入ってきます。細かく見ていくと非常に管理しにくくなってきます。
(逆にいうと特定のアイテムに絞れば可能性は増します、ベネトンのニット、GAPのデニムなど)
ましてや、アパレル業界はどこも自社工場なり仕入れ先を持たないので、理想を追求していくと
シンクロナイズを集団で(川上と一緒に)行わなければいけません。
かなりのオーダー数を持ったところがリーダーシップを取らないと非常に難しいです。
(皆、自社の生産効率を気にするので。。この部分はまた別テーマで)
(これもシンクロ)ww
トヨタ生産方式は欧米のアパレルでは常識なので、中国、インド、シンガポール系の生産会社が
こういうシステムを組みつつあることから、まるっきり夢物語でもないはずです。
(つまり工場がブランドを持てばトヨタのような市場とのシンクロが目指せる)
では、品番数の多い服飾業界での在庫の持ち方へのヒントはないのでしょうか。。
後編へ続く